NOVEL REVIEW
<2002年04月[中盤]>
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04/20 『突撃 お宝発掘部 深く静かに掘りかえせ!』 著者:麻生俊平/角川スニーカー文庫
04/19 『クロスオーバー 純白の蟲鎧』 著者:伊東京一/ファミ通文庫
04/18 『天使のベースボール』 著者:野村美月/ファミ通文庫
04/18 『捜査団は大騒ぎ! サウザント・メイジ3』 著者:佐々原史緒/ファミ通文庫
04/16 『魔導士なんて損ばかり! サウザント・メイジ2』 著者:佐々原史緒/ファミ通文庫
04/15 『賢者なんて大キライ! サウザント・メイジ』 著者:佐々原史緒/ファミ通文庫
04/14 『道楽貴族オアジズの冒険2 聖なる十二夜の仮面』 著者:小林めぐみ/富士見ファンタジア文庫
04/14 『道楽貴族オアジズの冒険 殺され女神の箱庭』 著者:小林めぐみ/富士見ファンタジア文庫
04/11 『ダーク・フロンティア・ブルース3』 著者:市川丈夫/富士見ファンタジア文庫


2002/04/20(土)突撃 お宝発掘部 深く静かに掘りかえせ!

(刊行年月 H13.11)★★★★ [著者:麻生俊平/イラスト:別天荒人/角川書店 角川スニーカー文庫]  麻生さんの小説はずっと買ってるけど実際読んだのはザンヤルマ以来という……。富士 見の方でシリアス&重いという印象を持っていたので、実にライトノベルらしい学園スト ーリーだったのは正直意外というか、良い意味で違う面を見れた気がしました。  幼稚園から大学までの全てを一つの広大な敷地に収めて担う真輝島学園が舞台で、嵯峨 史郎と堀田陽介のたった二人の部員からなる「お宝発掘部」と、生徒会の任務として部の 不正調査の為お宝発掘部に仮入部する羽目になってしまった出雲美春の、お宝発掘請負い 捜索ストーリーってとこでしょうか。  生徒からのタイムカプセルを探して欲しいという依頼とその結果に関してやや物足りな いかなと思ったのですが、それは試行錯誤で駆けずり回ってたわりに終盤でやけにアッサ リと見付かってそれまでの苦労が余り感じられなかったのと、タイムカプセルを埋めた当 事者同士のいざこざが呆気なく解決してしまった所にあるのかなと。ただ、この物語は結 果よりも発掘捜査の過程の描写に重きを置いていてそこが一番書きたかった部分なのかな とも感じられたので、結末の物足りなさもそれほど気にはならなかったです。  キャラクターは、愛想が良くて切れ者ながら発掘にロマンを求めてる史郎にぶっきらぼ うで愛想悪いが穴掘り大好きの陽介、そして二人に関わったばかりに道を誤り始めた生徒 会書記でメモ魔の美春、それから発掘部顧問の森助教授に助手の平井さんに図書館の主の 懐と個性的なやつらばかりで読んでいて楽しかったです。  史郎の色々腹の中に思う事を溜め込んでるようで油断ならない所とか、陽介の無愛想だ けど美春に好意を寄せてるのが何故かハッキリ分かってしまう所とか、美春の現実主義で 超が付くメモ魔で生徒会長を崇拝しまくってる所など魅力的に描かれていて良いですね。 その中でも何と言っても絶品なのは史郎の料理でしょう。読んでてついつい史郎のコーヒ ーが飲みたいとか史郎の炒飯が食べたいとか思ってしまいました(笑)。  なんか地下鉄とかバスが学園敷地内に走ってる事から、町ひとつ分くらい軽く凌駕しそ うな広さのようですが、これだと何でもありでネタに困らないような気もするので(笑) 是非続編で普通の校内部活では出来そうにもない事やってもらいたいです。
2002/04/19(金)クロスオーバー 純白の蟲鎧
(刊行年月 H14.03)★★★★☆ [著者:伊東京一/イラスト:寺田努/エンターブレイン ファミ通文庫]  蟲(バグ)と呼ばれる巨大生命体と人間達との、お互いの種の存続と繁栄を賭けた死闘 の歴史を繰り返し続けて現在に至る惑星ラグーン。そして蟲との戦いの歴史から生まれた、 生命を持つ鎧との一体化により強大な力を発揮する超戦士クロスオーバー。蟲の憑依によ り生命を削られ続ける妹・リーリを救うべく、その手掛かりを求めて蟲を相手に世界を旅 する主人公のクロスオーバー・ジュートの物語。  とにかく明かすべき所はしっかり描いて、伏線を張るべき部分はうまく伏せて次巻へ持 ち越しという書き分けの絶妙さが個人的には見事にハマりました。例えば主人公であるジ ュート&リーリや主要キャラのアメリア姫、ライナー、ノイスなどは誰もが過去に背負っ てしまった傷があるのですが、その設定を下手な伏線張りで出し惜しみせず、しっかり丁 寧に語られているのでキャラの深みが増している。逆に今回重要所ながらあまり目立たな かったユナについて詳しい事は殆ど伏せられていましたが、これは今後更なる動きを見せ るであろう事を予感させてくれる伏線としてうまく効いているなと感じました。知能を持 つジュートの蟲鎧・エルクに関しても同様。まだ1巻で明かすには早過ぎると思う部分が うまく隠されていて、知りたいと思う事はこの巻で大体明かされている。こういった展開 や構成に強く引かれた物語。いや、これは進みが遅いくせに謎も伏線も全然明かされない という私が最も嫌うパターンの話に見習って欲しい展開ですホント(笑)。  一つ難を挙げるとするなら鳥肌もんの口絵蟲図鑑でしょうかね。話の内容の良し悪しに は直接関係ない事ですが、ダメな人には受け入れられないかなーとか。直視してると確か に私は鳥肌立つまでには至らないけど何となくぞわぞわするし(^^;)。でも作中では人 間と同じく蟲にも生活や秩序が存在していて、それをジュートとアメリア姫が目の当たり にする。蟲に対する見方が変わったのがこのシーンで、少なくとも単に人間の敵とか気持 ち悪いとかは思えなくなったので一番印象に残りました。
2002/04/18(木)天使のベースボール
(刊行年月 H14.03)★★★ [著者:野村美月/イラスト:尾崎弘宜/エンターブレイン ファミ通文庫]  世間知らずの箱入り娘な良家のお嬢様が没落して野獣の住処・男子校に放り出されると いう、なんかどこぞのえろげーのようなシチュエーションですが、野郎のセクハラ満載な ので一歩間違うと嫌悪の対象になりそうな気も(^^;)。まあ少年漫画のちょびっとHな 感じの描写から「こんなんいいのか?」的本番直前の際どい描写まで様々だけど、作風が コメディなので読んでてもそれほど酷い事されてる感じにはならないかなと。   舞台が男子校に野球だからまりあが一人女の子がいても漢臭さが漂うのかと思いきや、 女の子っぽい男の子・由羽が妙に際立っているので、何故か由羽を気にして過剰に守ろう とする永井とか逆に由羽が恩を感じて特別な感情抱いてる正宗とか、それから中学が一緒 だった涼とか、男同士の爽やか〜な感じの多角関係に少しどきどきしました(笑)。これ で由羽が女の子だったら極めてノーマルな相関関係になるんですが、どうも由羽は普通の 女の子より女の子らしい所があるから他の野郎と恋愛関係になってもなんら違和感ない所 が面白い(永井なんてもろに由羽を好いてるもんなぁ)。  タイトルに野球とあれど、どう読んでも野球の部分がおまけにしか思えない展開。ラス トがいきなり試合終了と同時に尻切れで終わってしまったので、せめてもう少しその後の 余韻を持たせるようなエピローグが欲しかった……。  しかしそれに目を瞑ってもお釣りが来るほどキャラクターの描写と書き分けが毎度の事 ながら非常にうまいってのがこの人の持ち味なのかな。それが3作連続読んでみて最も強 く感じた事かも。今回はまりあが太宰を筆頭に野郎どもから数々の責め苦を味わう姿をじ っくりたっぷり堪能するのが正しい楽しみ方ではなかろうかと(笑)。  ストーリーの内容がキャラの描写に伴ってうまくなってくれればもっと面白く感じられ ると思うんですが、どうも毎回行き当たりばったりという印象が付いて回る。良い意味で 勢いあるとも言えるけれど、続編出す意欲は満々のようなので今後はキャラで引っ張る勢 いだけでなく、ストーリー展開で引かれるようなうまさも見せて欲しいと期待したいです。  …………でも卓球は続編あったとしてどう書く気なんだ?(^^;)
2002/04/18(木)捜査団は大騒ぎ! サウザント・メイジ3
(刊行年月 H14.03)★★★☆ [著者:佐々原史緒/イラスト:まりお金田/エンターブレイン ファミ通文庫]  オニキスの一人称の地は変わらずだったけど、ほえほえ千年賢者のアダマスが出張らな いとここまで物語の雰囲気が違ってくるとは……てなくらい笑いの要素がすっかり影を潜 めたシリアスな展開。楽しさで言えばおちゃらけ漫才やってた前回中盤までの方が上だけ ど、中身の濃さで言えば今回の方が遥かに上と感じました。特に一人称文章の長所である (と思う)視点キャラに感情を込め易いという点が見事に発揮されていて、この物語の場 合オニキスですが、口じゃあーだこーだと愚痴をこぼしてみてもアダマスを心配して想う 気持ちは彼女の眷属にも誰にも負けてないんだというのが凄くよく伝わってきました。  オニキス・ドーナ(天才美少女魔導士)とパラス・オニキス(アダマスの21番目の娘) という同じ名を持つ2人に何ら直接的な接点は無いけど、これを知った後に1巻でアダマ スが初めてオニキスの名を聞いた箇所を読み返すと、アダマスの「オニキス……?」と呟 いていた台詞の本当の意味が分かるという仕組み。つまり序盤の時点でアダマスは自分の 娘・パラスと同じ名前を持った少女だとオニキスを認識してたわけで、この伏線の張り方 に感嘆としてしまいました。それが意図的か単なる偶然かは分かりませんが(笑)。  今回で一旦シリーズは幕と言う事ですが、ようやく面白く感じ始めてきたのでちと残念 で惜しいな〜と。それでもスッパリ区切ってくれた方がダラダラ長々と引っ張って続けら れるよりは余程潔くて良いです。が、あとがきを見る限りではまだまだ裏設定ありそうだ しキャラクターも個性的で魅力もあるし、個人的にはオニキス&アダマスの凸凹コンビの 珍道中話を忘れた頃にでも第2部として読んでみたい。  既刊感想:
2002/04/16(火)魔導士なんて損ばかり! サウザント・メイジ2
(刊行年月 H13.09)★★★ [著者:佐々原史緒/イラスト:まりお金田/エンターブレイン ファミ通文庫]  一人称文体がどうしても某作品とかぶってしまうのはもう仕方がないと思う事にして、 1巻で感じたオニキスの極めて類型的なキャラクター性ですが、2巻目って事で大分キャ ラが立ってきて、この物語の中で他の作品とは違う彼女ならではという部分がようやく見 えたような気がしました。天才美少女魔導士なわりに全然天才に見えない所とか、あまり 魔導の見せ場が存在しない所とか。最初はもろに自己中タイプかと思いきや、天才と言え ど一般社会においては新米扱いなのもあって意外にも周りの騒ぎに巻き込まれて流され易 い苦労人って所が面白い。作品タイトルがオニキスの心の叫びと知って成る程なと(笑)。  天才的な能力を有しながら持ち腐れてる現状はここら辺が激しく影響してるんでしょう が、魔導の力でがしがし敵をぶっ飛ばしまくるというのとはまた違った楽しさがあり、ア ダマスとのどつき漫才にもますます磨きが掛かっていて良かったです。  ストーリーは中編3本。単にどつき合いがメインのようなおちゃらけで、内容の見出せ ない話が続いたらどうしようかと思ってたんですが、オニキスとアダマスが追う戦犯魔導 士の事を中心に据えて、邂逅(第一話)→対策(第二話)→決戦(第三話)と流れに沿っ た展開だったのでホッとしました(笑)。前巻で張った幾つかの伏線も今回終盤でしっか り効いていたし、正直これまでの軽いノリからは考えられなかったシリアスで急転直下な 展開は良い意味で裏切られたという感じでした。  アダマスの「年の功」が発揮されるシーンは、普段のほえほえな姿とのギャップから余 計に際立って見えるので作中では一番気に入ってます。今回は母親としてのアダマスでし ょうかね。一見何も考えていないようで実はその通りって事が多いんだけど、結果的には 常にオニキスの思考の上を行って事実を把握してる所も千年生きてるのは伊達じゃないな と思わせてくれる。そして型通りにオニキスが悔しがると(笑)。  既刊感想:
2002/04/15(月)賢者なんて大キライ! サウザント・メイジ
(刊行年月 H13.04)★★☆ [著者:佐々原史緒/イラスト:まりお金田/エンターブレイン ファミ通文庫]  魔道アカデミー開闢以来の天才美少女魔導士にして「あたし」の一人称文章ときたら、 さすがにどっかの二番煎じですかと言いたくもなってくるんですが。このテのキャラや設 定で同じような事やるからにはやっぱりこの作品ならではという何か引かれるものが欲し かった。話の展開も外見美少女長寿天然ボケエルフにどつかれ役使い魔などのキャラも、 どっかで見たようなパターンからオリジナリティーのカケラも感じられなくて、結局抱く 印象としては「またか」となってしまう。  それでもオニキスと使い魔琥珀とアダマスのどつきあい漫才など、キャラの持ち味を充 分に発揮して引っ張っている内容は、読んでいてテンポが良いし楽しく感じる所も確かに あるので、その辺から多少評価が上方修正されました。要は↑の事を気にしなければそれ なりに楽しめる物語なのですが、個人的にはどうしても鼻に付いてしまったわけです。  今回の第三話は結構練られた展開で先に繋ぐ見せ方としてもうまい描き方だったし、ア ダマスの眷属お助け召喚もぶっ飛んでて面白いし(笑)、普段おちゃらけてるアダマスが 稀にオニキスに対して「年の功」を含んだ言葉や表情を見せる所などは凄く良い感じだし ……なのでキャラのノリはそのままに、「またか」という印象を覆してくれるような引か れる何かを見せて欲しいと次巻以降に期待してみたいです。
2002/04/14(日)道楽貴族オアジズの冒険2 聖なる十二夜の仮面
(刊行年月 H14.03)★★★☆ [著者:小林めぐみ/イラスト:ひさいちよしき/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  1巻に引き続き2巻も合わせて読みました。前回沙漠で今回は極寒の地と対極的な環境 でのお話。聖十二夜――クリスマスから年始明けまでの期間にスタウダッハー村で行われ ている祭の見物と称して、次々と行方不明になっている村人達の事や九年前に廃止された 筈の精霊に贄を捧げる儀式が今だ行われているなどの疑惑に、クラウディア子爵とディー の二人が挑むという展開。  クラウのものぐさで常にお気楽な立ち振る舞いや、口酸っぱく注意しつつも結局翻弄さ れてしまうディーの様子なんかは前巻同様良い雰囲気で描かれてるなと思いました。  ↓で分かり辛いと書いたクラウの中にある本質は、まだ少々ハッキリしないながら前巻 よりは明確に描写されていたのではないかなと。この辺から『神殺し』を成し遂げる為の 主人と従者の結び付きを強く感じられ、また前巻のように場面転換で迷うような構成難も 見られなかったので、かなり読み易くなっていました。   一番印象に残ったのはディーが強く友達を求めてルシアに関わる辺り。微笑ましいと思 ってたのも結末を知った後ではまた感じる所は違ってきましたが、精霊ハルイネの設定や 物語への関わらせ方なども効いていてうまく描けていたと思います。  それにしてもやはり著者の小林さんは、過去に読んだ作品でも同様に感じた事だけど風 景描写に長けていて読むと物語の背景がパッと頭に浮かんで来るような描写がうまいなー と思います。今回の極寒吹雪の雪山風景もまた然りで、クラウのもこもこした常識外れの 厚着がそんな様子に拍車をかけてる所もまた面白い(笑)。    既刊感想:
2002/04/14(日)道楽貴族オアジズの冒険 殺され女神の箱庭
(刊行年月 H13.08)★★★ [著者:小林めぐみ/イラスト:ひさいちよしき/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  普段のものぐさでのほほ〜んとしてるけど本気を出すと実は強いというクラウや、男の 子の格好をしてて実は女の子な従者のディーなどはわりと類型的なパターンだなぁと感じ つつも、設定が効いていたり物語への絡ませ方が巧妙だったりでなかなか魅力的なのでは ないかなと思いました。ディーの場合は別に女の子を隠してるって訳じゃないんですが。  普通に楽しめたのは良く言えば表現描写などに安定感があって、イマイチと言えば型通 りで特に目を引くようなものが見当たらなかったというとこかな。読んでいて時々視点に 迷うというか、今何処で何をやっているのか前後関係が把握出来ない事があって、これは 構成に難があったのか単なる読解力不足なのか……。それに加えてクラウの能力とかディ ーの過去の記憶からから垣間見える“本質”があまりに説明不足で曖昧に書かれ過ぎてい るので、やっている事は分かってるんだけど何とも理解し辛いなぁという印象でした。  クラウは神霊的なものを寄せ付けない体質で、それらと対等の位に引き上げる事により 打ち滅ぼす事の出来る『神殺し』の能力を有し、逆にそれらを引き付ける体質を持つディ ーは打ち滅ぼす為のオアジズの宝刀の力を引き出す事で媒介の役割を果たしてる……って 感じかな? 沙漠や遺跡などの風景描写はさすがと思わせてくれるうまさがあるので、ち ょっと分かり辛かった部分を次は明確に見せて欲しいです。
2002/04/11(木)ダーク・フロンティア・ブルース3
(刊行年月 H14.03)★★☆ [著者:市川丈夫/イラスト:ぽぽるちゃ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]  ジャスティスとライオットは、砂漠の真ん中で変異獣狩りの傭兵部隊フレイム・レンジ ャーズの面々より襲撃を受けるも成り行きで行動を共にする事に。そんな折、近くの交易 宿にてたった独りで遠くの街からやって来た修祓官イルシィと出会い、変異獣討伐の依頼 を受けた部隊にジャスティスとライオットもイルシィに協力すべく付いて行くが……。  相変わらず邪神群とジャスティスやライオット達との激しい死闘の連続で、戦闘シーン を多用していても飽きさせず読ませてくれるのは、その辺りの描写に安定感があってしっ かり書けてるからかなと感じました。しかし毎度思う事ながら物語全体に関する謎が3巻 目にしても非常にちまちまと小出しでしか書かれておらず、全然見えてこないのはどうか なと……。それなのにやってるのは、事件と遭遇してそれに携わる人達と関わっての邪神 群と死闘を演じてジャスティスが奇跡を三度使って邪宗紋を曝け出してしまって……と毎 回同じなのでさすがにパターン化が鼻についてしょうがなかったです。  と言うよりあとがきで作者さん自ら「謎という謎が少しも解き明かされてない」と言っ てるのも何だかな〜でしたが(^^;)。今回関わった傭兵部隊、ライオットと同じ戦鎧鬼 で隊長のシードや魔獣を飼うレイチェルに依頼主で修祓官のイルシィなど、巡礼の旅で二 人が関わる魅力的な人達とのエピソードは前回までと同じでうまく書けてるのですが、そ れだけに1巻限りの登場がいつも惜しいな〜とか勿体無いな〜とか思ったりも。  ジャスティスの事を知ってる風な血盟者達に動向を見守る十二教皇から放たれた『新大 陸災厄』という言葉など、進みは遅いながら確実に謎は姿を見せ始めているので次巻こそ 物語に大きな変化を見せて欲しい、と強調して期待しておきましょうかね(笑)。  既刊感想:


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