NOVEL REVIEW
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04/10 『桜色BUMP シンメトリーの獣』 著者:在原竹広/電撃文庫
04/09 『猫猫雑技団』 著者:篠崎砂美/電撃文庫
04/08 『おねがい☆ティーチャー みずほと桂のMillky Diary』 著者:雑破業/電撃文庫
04/07 『HAPPY★LESSON THE TV』 著者:吉岡たかを/電撃文庫
04/06 『パラサイトムーンVI 迷宮の迷子達』 著者:渡瀬草一郎/電撃文庫
04/04 『リバーズ・エンド4 over the distance』 著者:橋本紡/電撃文庫
04/03 『IX−ノウェム−』 著者:古橋秀之/電撃文庫
04/02 『僕にお月様を見せないで10 オオカミは月夜に笑う』 著者:阿智太郎/電撃文庫
04/01 『いぬかみっ!』 著者:有沢まみず/電撃文庫


2003/04/10(木)桜色BUMP シンメトリーの獣

(刊行年月 H15.03)★★★☆ [著者:在原竹広/イラスト:GUNPOM/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  ミステリーと括るには不思議屋の行為が致命的に拙い感じで、ホラーとするには恐怖感 の盛り上がりが少々弱い(終盤で桜子が追い詰められてゆくシーンだけは張り詰めた緊張 感が出ていて良かったのですが)。事件の原因となるアンティークなアイテムや、正体不 明の異界の獣などが存在してるので現代ファンタジーとでも言える……かどうかも微妙。  以下ネタバレ反転  不思議屋は事件解決の切り札と成り得る存在なので、この男の使い方がもっとマシなも のだったら内容に対しての印象は随分違ってたような気もするのですが、そのまま最後ま で出張らずに影に身を潜めてりゃいいものを……とか思ってしまいました。死んだと思わ れてた不思議屋の終盤の介入で、それまでの話のバランスを総崩れにしてしまっているの が最も拙い点。桜子が真相まで暴いてるんだから、やっぱり最後は彼女と悟郎や重男との 共闘によって解決に至るまでを導いて欲しかったという気持ちが強かったです。  不思議屋の存在自体も何だか納得のいかない説得力の無さで、唐突に出て来て一人で勝 手に解決して行って結局あんた一体何者なんだという感じだったし。謎を秘めたキャラに するなら、目立たせずヒント出す程度で桜子を解決に導いてやるだけの存在でも良かった んではないかなと。あとは不思議屋に身代わりの術みたいな反則的行為が可能なら、展開 上で全くの無駄死にだった鶴見星花に救済措置をとるくらい出来たんじゃないのかと突っ 込みたくもなったり……どうにも難儀な存在でした。  とは言えこれで切ってしまっては非常に惜しいと感じられたのが桜子というキャラクタ ーが抱える性質とか。主人公あるいはヒロインとしては相当に突き抜けて独特な性格を持 ち合わせており、個人的には凄くいいキャラだなと惹かれてしまいました。悟郎との掛け 合いも半ば見下したような態度が面白くて好きです。なので次巻くらいまでは桜子を追う 為に付き合ってみてもいいかな? 2003/04/09(水)猫猫雑技団
(刊行年月 H15.03)★★★ [著者:篠崎砂美/イラスト:水野耕太/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  キャラクターは個性的なメンバーが揃っていて面白いけど、ストーリーは普通。楽しめ た所もあったので悪いわけでもないのですが、あまりに作中で特筆すべき点が見当たらな いので、どう感想述べたらいいのやらと考え込んでしまいました。  とりあえず物語で何を見せたかったのか……この辺の手応えが曖昧でイマイチ伝わって こなかったのがひとつ。サーカスを見せたいのか宝捜しを見せたいのか、どっちつかずな 所が両方共に余り惹かれなかった原因かな。そもそも一番印象付けたかったのは、ストー リーではなく猫娘・可憐のキャラクター性の方だろうかという気もしましたが。  借金返済の手段として可憐の能力を駆使した宝捜しがメインに描かれていると、じゃあ それで稼げるなら別に背負うものはサーカス団じゃなくてもいいんじゃないか、とサーカ スの必要性の薄さを感じてしまう。逆に本業のサーカスで稼ぐ姿を見せて欲しいと思うと、 宝捜しの部分が必要無くなってしまうだろうし。サーカスと宝捜しを両立させてる意味は “世界各地を興行で巡りながらお宝の情報を収集する”事でちゃんと持たせているのだけ れど、結局「この物語にはサーカスとトレジャーハントの両方とも無くてはならない存在」 と思わせてくれるには何かもう一歩物足りないという印象でした。  キャラの方は前述のように個性派揃いで良い感じ。猫娘ってなんか容姿がお子様な先入 観あったせいか、発育よろしくて色香で男を惑わすシーンもあったりな可憐はちと意外な 印象だったり(反してその言動は想像通りのガキっぽさだったけど)。しかしもし次があ るなら、唸って叫ぶ可憐の数々の必殺拳はシーンに応じてあんまりに都合良過ぎなので、 何も考えなしってのはもうちょっと改めて何とかして欲しいもんです。 2003/04/08(火)おねがい☆ティーチャー みずほと桂のMillky Diary
(刊行年月 H15.03)★★★ [著者:雑破業/カバー・本文イラスト:羽音たらく          /口絵イラスト:合田浩章/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  同名アニメの小説版。桂とみずほの初体験直前のベッドの中から始まり、二人で結ばれ るまでの出来事を回想シーンとして思い返しながら、その中で幾つかのエピソードが語ら れるという構成。初っ端の状況がこれで内容的には18禁一歩手前、もしもアニメでやろ うとしたらNG連発しまくりそうなエロい描写がやたらと多いのが特徴。  あとがきでは結構ギリギリとあったけれど、ギリギリどころかハッキリと桂とみずほが ヤっちゃってると分かる描写もあったし(さすがに直接的な描写や実況中継などを入れた ら18禁小説になってしまうので、あくまでぼかし気味な表現に留まっているけど)、よ く電撃でOKが出たなぁと変な所で感心してしまいました。  桂の視点で思春期の性的感心・欲求を、露骨にくど過ぎるくらい重ねに重ねて描いてい るのが小説版ならではと言えるのかも。アニメだと胸の谷間を覗いてドキッとする程度だ けど、小説の場合はそのせいで桂の身体のどこがどんな風に刺激されてしまったのか、と いうのが粘っこい程丁寧な描写なので、その辺は本当によく描けてます。  もっとも、回想エピソードは桂とみずほとの密会デートが桂の仲間達にバレそうになっ たり桂が小石と一緒に出掛けてのけ者にされたみずほがやきもちを焼いたり、と結構お定 まりのものばかりだったので、ストーリーを楽しめたかという点では微妙な感じでしたが。  桂がみずほに対してハァハァしてる描写は小説版の方が圧倒的に勝っているので、アニ メと比較してどれだけ桂が張り切っているのかを意識して読んでみると面白いかも。 2003/04/07(月)HAPPY★LESSON THE TV
(刊行年月 H15.03)★★★★ [著者:吉岡たかを/カバーイラスト:細田直人/ピンナップイラスト:嘉手苅睦          /本文イラスト:杉本功/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  電撃G'sマガジンの読者参加型企画として立ち上がったのが最初で、ある日突然自分の 通う学校の5人の美人教師が「ママ」となって同居生活をする事になったとしたら? と いうあまりと言えばあんまりな、突拍子も無いキチガイのような設定のシチュエーション を堪能する事を目的とした物語……多分。  アニメ・ゲーム・小説・コミックとメディアミックス展開を見せる中で、本編はタイト ル通りTVアニメシリーズが基盤となっていて、そこから少し過去に遡ったエピソード。  実は読書前の期待値は限りなく低かったとか、かなり予想外とか言ったりしたら失礼か もしれないけれどなかなかに楽しめました。単にパターン化された主人公・仁歳チトセを ママ達がちょっかい出し合うドタバタコメディと思いきや、チトセと5人のママ達がどう いう経緯を辿って同居生活を始めるまでに至ったか……この過程を描く部分に思わず納得 させられてしまうような感じがあって、チトセと新任教師であるむつきとの触れ合いを軸 に、他の4人のママ達やふみつき@眼鏡っ娘委員長の個性をしっかり織り交ぜてうまくま とまってるなという印象でした。  他にもTVシリーズを視聴してる事が前提で裏設定を楽しめる付加要素などがあったり。 例えば本作にはチトセの過去回想でしか登場しなかったけど、はづきとみなづきもチトセ と同く身寄りの無い施設育ちで家族同然のように育った事が語られていたりとか、アニメ でふみつきに付き纏ってたオタっぽい二人の男がどうして彼女にちょっかい出すようにな ったかとか、そういうのが随所にちりばめられていて面白かったです。  ただシチュエーションとしては生徒×教師の恋愛ではなく、母が子を想う母性愛の方が 断然強いので、嗜好に合うか合わないかで楽しめるかどうかが変わってくるかも。 2003/04/06(日)パラサイトムーンVI 迷宮の迷子達
(刊行年月 H15.02)★★★★☆ [著者:渡瀬草一郎/イラスト:はぎやまさかげ/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  IVから続いた甲院編のクライマックスに相応しく、キャラクター総出演で描かれた内容 に大きな手応えを感じる事が出来て満足。心弥、フェルディナンの再登場や、籤方と真女 に宿った甲院の関係は既に1巻目から存在していた事などを考えると、何となくシリーズ 集大成のようにも思えてしまいました。由姫を救うという最も大切なただそれだけの為に 衝き動かされてきた真砂が、多くの人達に影響を与えて結末へと導いたような感じで。    これだけ登場キャラクターが多いにもかかわらず、万遍なく心情描写の深さを描いて見 せてくれた辺りはさすがだなぁという思いでしたが、逆に何かもう誰も彼も良くって(特 にカーマインと山之内のじいさまは良い意味で予想を裏切られた)何処に焦点を当てて感 想を書いたらいいのやら迷ってしまうのが、嬉しかったり困りものでもあったり。  とりあえず何はともあれずっと贔屓でお気に入りキャラだった甲院薫の事。今回カーマ インの言葉で信念の揺らぎに止め刺されるわ、シューウェンには文字通り存在を食われて しまうわでしょんぼりな扱いだったけれど、彼女にとってのラストシーン――籤方に抱か れてのシーンは凄く良かったです。関連して仙崎や座王に関しても“ただ甲院薫の為に” と信念を貫き通した想いというのは、真砂が由姫を想う事と同質に感じられた点で彼等の 生き様に思わず惹き込まれました。  それから真砂達、とりわけ由姫に関しては弓の時の微妙な例があるのでもしかしたらと いう想像もあったのですが……真砂と由姫に「良かったねお二人さん」と声を掛けたくな るような結末でホッと一息。実験室の子供達には、常に「ひとりはみんなの為に、みんな はひとりの為に」という精神で描かれている部分にずっと惹かれ続けてました。なので戦 い済んでそれぞれの新しい道を見出し歩み始めた姿を見て「ああこれで一応の結末になる のか」と少々寂しい気持ちになってしまったりも。今後のエピソードでちょこちょことで もいいから顔見せして欲しいなぁ。    あとがきによるとまたしばらくシリーズはお休みだそうで残念ですが、IIIからIVが刊行 される時も9ヶ月掛かったから今度も大体それくらいと考えて、次はどんなエピソードな のかと想像しつつ期待しながら気長に待ちたいです。  既刊感想:IIIIIIV 2003/04/04(金)リバーズ・エンド4 over the distance
(刊行年月 H15.02)★★★☆ [著者:橋本紡/イラスト:高野音彦/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  このままで行って、次がもう最終巻でこれまで隠しに隠し続けて敷いてきた伏線を紐解 いてちゃんとまとめ切れるのか……という点が、今回読了時点でも物語の中で大きな不安 要素であった事はこれまでと変わらず。スクールでの子供達の触れ合いを描くシーン好き なのですが、断片的な描写ばかりで隠し過ぎな謎がひたすら引っ掛かってしまい、いつも 全体的に微妙な印象となってしまう。  ただ、何故実験対象に拓己達が選ばれて彼等でなければならないのか? そもそも実験 を行う事に何の意味があってどういう結果が得られるのか? などは主に被験者である少 年少女達からの視点ではまだまだ不明瞭だけれど、それを強要させる側の伊地知がどんな 意図で何を子供達に求めているかという部分は、明確にではじゃないけど大分掴めて来た ような感じ。まあこの辺のもやもやは最後でスッキリさせて欲しいと願うばかりです。  少年少女7人の関係は、その意味をも知らされずただ強要されるがままに実験を繰り返 す中で、着実に連帯感と結束力を伴って深い絆を構築し続けている。毎度同じ感想で芸も 無いですが、この部分は本当に凄く好きなんです。  今回はとりわけ拓己の中には唯がいると知りつつ彼に惹かれずにはいられない七海、好 きな人と密会する時に最も素直な気持ちを見せる弥生、伊地知と内通してる事で得体の知 れない痛みを抱いてしまう遙、と女の子達の想いの揺れ動きが際立ってたかな。他に拓己 と直人のじゃれ合いなんかも、顔合わせた当初からは考えられないくらい微笑ましくて良 かった。この抱えた絆が結末を迎える時にどうなっているかも非常に気になる所で、いよ いよ長い間沈黙し続けて来た存在が拓己達にどう影響を及ぼすのか楽しみです。  既刊感想: 2003/04/03(木)IX−ノウェム−
(刊行年月 H15.02)★★★☆ [著者:古橋秀之/イラスト:松竜/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  読了してあとがき読んで、まず金庸という名と小説の事を全く知らなかったので、検索 かけてあちこち巡ってみた所でようやく「ああ確かにもろに影響受けてるな」という作品 作りに頷き納得。相対する二者の間に流れる緊張感や、様々な武具から繰り出される必殺 技でぶつかり合う爽快感などが物語の随所で感じる事の出来る武侠小説。  流石に要である多数の体術武術から描かれているアクションシーン満載な部分は、読み 応えあって面白かったです。ただ、実は読みながらアクション以外で気になる事柄が幾つ か出て来て、本当の美味しさを堪能するのに少々時間が掛かってしまったのが正直な所。  別段イマイチと感じられたから途中で妨げになった訳じゃないのですが2つ程。ひとつ はタイトルの意味で“ノウェム”て言葉は結局私は最後まで分からなくて。単に読解力が 足らなかっただけなのかも知れないけど、ちゃんとした意味はありそう。“IX”てのは著 者の古橋さんの9作目だからというのを巡ってて見掛けたのですが、本当にそういう意味 なのかな?(確かに巻末著作リストを見るとこれが9作目なんだけど) ただ、『I』が 九郎の振るう渦輪槍、『X』が燕児の扱う乾坤双剣の見立てで、この二人の関係を示して いるのかとも思ったのですが……さてどうでしょう。  もうひとつは表紙や折り返しのあらすじで『少女』と思ってたのに、冒頭入っていきな り『少年』で趙五行の『甥』とか断言されてしまって一体どっちなんだと突っ込みたくな った燕児の事。しばらくこれが気になってしょうがなくて、アクションシーンを楽しむよ りこっちの方にすっかり気を取られたりしてました(中盤くらいでハッキリしたけど)。  ストーリー展開の方は序章のようなものだったので、戦いと一緒に燃焼するには少々盛 り上がり足らずな気もしましたが、今後燕児、九郎や超五行等と敵対する罪炎、紫霊など の事情が明確になって絡んでくれば、もっともっと盛り上がりを見せて面白くなってくる のではないかと思います。てな具合で続きに期待。 2003/04/02(水)僕にお月様を見せないで10 オオカミは月夜に笑う
(刊行年月 H15.01)★★★☆ [著者:阿智太郎/イラスト:宮須弥/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  シリーズ最終巻。読了した感じでは特に「これで最後」と強調しなくても、シリーズの 途中で挿入出来るようなエピソードだったので、完結と言うより一応区切りを付けたと言 った方が合ってるような気もしましたが。狩谷先生の復讐関連が立ち消えた事で、やはり ラストの展開はこれを持ってくるだろうというほぼ前巻感想の予想通りでした。  今回の最終巻、唐突な設定を突っ込んだ敵役のオオカミの出現が気に入らなかったわけ ではないのですが(このシリーズで唐突なのは日常茶飯事だし)、ただ狩谷先生と結び付 けるのだけはもっと以前から下準備をしつつ丁寧に描いて欲しかった。ここの部分の取っ て付けた感がどうしても勿体無く惜しい、となってしまったので残念。  でも銀之介の真相知れてもさあ大変にはならず、何か大きな山場でもあるかなと期待し てたわりに事実をあっさり受け入れてしまったのにはちと拍子抜けだったけど、平和ボケ した飯波市在住のお馴染みのメンバー達らしい反応だなと感じられたのは良かったです。    最後のあとがきを読んで、どうにも短編連作のお手軽さがお気に入りで、長編エピソー ドは単に考えるのが面倒臭いからあまりやらなかったとしか思えなかったのですが、つい そこを何とかして欲しかったんだよと言いたくなってしまった。と言うのも、こういうギ ャグテイストなジャンルを手軽に楽しめるのは確かに短編の方なんだけど、個人的に僕月 で面白く印象に残っているのは長編作の方だから(3巻の第七話と9巻の第二十二話とこ の10巻の最終話)。せめて長編を1巻おきくらいの間隔でやってくれてたら……という気 持ちが強く残ってしまいました。  しかしまあ日常のどうでもいいようなお気楽バカ話も結構良かったし、これだけのキャ ラが揃っていたらいくらでもネタが出てきそうなので(と前の感想にも書いたような気が する)、今後忘れた頃でも番外編を持ってきてくれたらまた楽しく読めるでしょうね。  既刊感想: 2003/04/01(火)いぬかみっ!
(刊行年月 H15.01)★★★★ [著者:有沢まみず/イラスト:若月神無/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  本来犬神を使役する犬神使いであるはずの啓太が、本来犬神使いに使役されるはずのよ うこにボロ雑巾のように振り回されまくっていい様に使われてしまう、という全体的にド タバタコメディなノリのお話。強引でめちゃくちゃな展開(一応良い意味)をわりと見掛 けたような気もしたけれど、読んでいて随所で笑える雰囲気があるのは好感触でした。  しかし何度も本気でポロポロ涙を流したり局部露出シーンが異様に多かったり毎話全裸 で逮捕されたりするのってどうだろう、とか作中の啓太を見て思う事もあったのですが、 ようこの我侭放題な行動のとばっちりで受けた数々の仕打ちを考えると、同情したくなる 程に納得出来てしまう可哀相な啓太クン。  で、最初やさぐれ気味だった彼もようこに弄ばれ徐々にキャラが崩れて、終いには最も 笑いを提供してくれる存在になってしまう。本人にとってはこの上なく不本意なんだろう けど実はこの辺が気の毒なくらい笑えてしまえて面白い。ただこの二人は懲りずに何回騒 ぎ起こし喧嘩しても結局元の鞘におさまってしまうから、深い所では強い結び付きみたい なものがあるのかも。まあ当分は啓太がようこに遊ばれる関係が続くんだろうなぁ。  ようこについてはどうにもちらほらと伏線が敷かれているようで、その見え隠れして不 明瞭な部分が気になってしょうがない。確実に何かしらの秘密は抱えてるだろうけど…… 続編刊行が決定してるのでその辺は次巻に期待。あまり啓太がようこに泣かされる展開ば かりだとパターン化して飽きも早いだろうから、今後やるにしても何か工夫が欲しい所。


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