NOVEL REVIEW
<2005年05月[中盤]>
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05/18 『カレとカノジョと召喚魔法』 著者:上月司/電撃文庫
05/14 『とある魔術の禁書目録5』 著者:鎌池和馬/電撃文庫


2005/05/18(水)カレとカノジョと召喚魔法

(刊行年月 2004.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:上月司/イラスト:BUNBUN/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  召喚魔法をバンバン使用して召喚されたもの同士をビシバシぶつけ合う……そんな熱 いバトルを読む前に想像してたのですが、実は某レーベルを彷彿とさせる如何にもな学 園ミステリっぽいのがメインでした。最後の決め手として召喚魔法の使用による派手な アクションも終盤あるにはあるけれど、そっちよりもとにかく雪子自身が直情傾向な性 格してるから、彼女と黒幕による肉弾戦の方が個人的には熱く楽しめたかも。  謎を追う部分に関しては、キャラクターの相関関係も含めて良い意味で分かり易い見 せ方だな〜というのと、逆にそうじゃない所で二転三転していながら無難に収まってい る物足りなさと。ただ、最後の謎解きによる真相語りはうまさが際立っていたと思う。  単純にリールゥの正体に気付けなくて「ああ、やられた……」と唸らされたのもある のだけど、一番衝撃が大きかったのは“遊矢の演技”について。以下ネタバレ反転で、 リールゥ召喚の代償で感情の一部を失っているかのように見えていたのが、本当は普段 の感情の希薄ささえも遊矢の演技で、真実は自分を“やや感情が欠落した人間”に見え るよう演じなければならない程もっとずっと感情の大部分を喪失していたという事。  この仕掛けはさすがに見抜けなくて、「いや〜うまいわ〜」と心の中で思わず拍手し てました。最後の遊矢の選択も、言われてみれば元に戻ったら戻ったで万事めでたしめ でたしになる訳ではないのかと納得。しかし改めて考えてみると、特に遊矢の今後は相 当危ういんじゃないだろうか? 全体的に結構明るい雰囲気を持った物語ではあるけれ ど、それがほんの些細な切っ掛けから崩れてしまいそうなのがちょっと恐いなぁ。 2005/05/14(土)とある魔術の禁書目録5
(刊行年月 2005.04)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:鎌池和馬/イラスト:灰村キヨタカ/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  あらすじに全然表記が無くて「何か変な構成だな……」と読書中ずっと首捻ってたら 今回短編集だったのか!? と最後にあとがきで気付くという鈍さを発揮。あ、でも短 編集として一応独立した形だとしても、前巻までの流れを切らずにうまく繋いでるな〜 という印象もありました。読了後に思い返してみると、今回の主役的扱いはやっぱり当 麻じゃなくて一方通行(アクセラレータ)だったのかな。3巻では当麻にとって完全に 『敵』であり『悪』であったので、こんな風に内面がぐらぐら揺れるもんだとはあんま り考えが及ばなくて。だからこういう意表を突く描き方は凄く良かったですね。  読んでる側からすれば、自分の今の状況を何も知らずにこれだけ無邪気にはしゃぐ打 ち止め(ラストオーダー)の姿を見せ付けられてしまうと、「助かって欲しい」と望ま ずにはいられないじゃないですか。そこから“一方通行がどんな感情を見せるか?”へ と、間違いなく興味を誘導させてくれる辺りとかはなかなかうまいなと感じました。  あと美琴が当麻に絡んでツンツンモジモジしてくれればもうそれだけでいい。当麻と インデックス? 当麻の不幸と滑稽さはいつも通りで面白かったけれど、インデックス はとにかく彼女自身が中心に立たないとなぁ。ただ、もしかしたら今回の当麻寄りの事 件は、これからインデックスが中心に立って進んでゆく事を示していたのかも?  既刊感想:


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