NOVEL REVIEW
<2005年11月[前半]>
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11/07 『我が家のお稲荷さま。5』 著者:柴村仁/電撃文庫
11/06 『電撃!! イージス5 Act.II』 著者:谷川流/電撃文庫
11/05 『はにかみトライアングル2』 著者:五十嵐雄策/電撃文庫
11/04 『護くんに女神の祝福を!7』 著者:岩田洋季/電撃文庫
11/03 『護くんに女神の祝福を!6』 著者:岩田洋季/電撃文庫
11/02 『護くんに番外編で祝福を!』 著者:岩田洋季/電撃文庫
11/01 『護くんに女神の祝福を!5』 著者:岩田洋季/電撃文庫


2005/11/07(月)我が家のお稲荷さま。5

(刊行年月 2005.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:柴村仁/イラスト:放電映像/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    耳掻き……私は日常で癖みたいにやってるので、こう痛々しさが手に取るように分か ると言うか……勿論実際そこまでやっちまった事はないですが、“ぐさ”と擬音付きで 深々と昇に突き刺さったシーンがあまりに痛過ぎて思わず本を閉じてしまったよ……。  うう〜ん……護り女の巫女さんの膝枕で耳掻き、と言う役得の代償としてはあまりに 大きい痛手だと思うのだけど、でもコウの膝枕で耳掻きも捨て難いじゃないか! と考 えると片耳の犠牲くらいどうって事ないか?(昇はあんまし堪えてないみたいだ)  初っ端から“男の浪漫とその代償”を見せられたので、ついつい横道逸れてみたくな りましたが、物語の本筋とは全然関係ないです。メインは最近頻繁に出没の噂が流れる 『灰色の狼人間』に関わったり追跡したり真相を暴いたり。他の電撃文庫の頁数と比較 すると少々控えめで、読む前からボリューム不足を心配してました。まあ確かにお腹一 杯にはなれなかったけれど、一冊で一つのエピソードがきちっと纏まっていたから手応 えは充分。変に後引かずこの巻だけで終わらせているのが良かったのかなと。  シリーズ作品って結構次巻に持ち越される要素があったりしますが、思えばこの物語 は面白いくらいにそういう持ち越しが殆ど無い。だからスッキリ終われる事が多いのだ けど、逆に何か道標を定めないと先を描き難いんじゃないだろうか……と考えたりも。 佐倉を立てれば昇との関係で楽しめそうだし、妖怪退治をメインに持って来ればクーの アクションが映えるだろうし。今後どんな展開になるか気にしながら続きを待つ。  既刊感想: 2005/11/06(日)電撃!! イージス5 Act.II
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:谷川流/イラスト:後藤なお/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    雑誌連載だからいつかは話を纏めなきゃならんだろうなとは思ってたけれど、たった 十話で完結するとは思わなかった。どうやら連載してた電撃萌王自体が終わるのに合わ せての事らしいですが、九話のラストから最終話である十話の内容が明らかにそれまで の雰囲気と異なっていたので、仕方ないと納得しつつも唐突さは拭い切れずでした。  しかし雰囲気が違うと言えば、今回の内容そのものが前巻読んで抱いていた印象と随 分違っていたかなと。前巻は秀明と一つ屋根の下に暮らす五人のキャラクターの個性を 描き分けながら、そういうシチュエーションのお約束に忠実なラブコメ路線ではなくて、 実は“戦隊ヒロイン”がメインだったのだけど、今回は最終話以外もろにラブコメシチ ュエーションでちょっと驚いた。巴とはデートイベントでフラグ立っちまうわ、無邪気 な琴梨の密着でドギマギさせられるわ、凌央が妙な存在感を醸し出しているわ、挙句に 切り札の妹キャラも登場するわ、この急激なラブコメ転換は一体どーなってんだ!?  と、まあ雑誌連載をそのまま追っていれば、そんなに急激な変化とは感じなかったか も知れないけど。ただ、終始ドタバタな騒動をやっていたからこそ、最終話の締め方が これまでの流れと異なる性急さが少々残念だったかなぁ(多くはまだ終わって欲しくな いと言う意味で)。とは言えラストは綺麗に纏まっていたと思うし、爺さんの粋な計ら いによってハッピーエンドな心地良い余韻も読後に得られたので概ね満足でした。  既刊感想:Act.I 2005/11/05(土)はにかみトライアングル2
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:五十嵐雄策/イラスト:みずき/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    また人外さん達が弘司を惑わす小刻みな連作短編かと思ってたら、全体の三分の二程 度を使った中編規模の二泊三日海水浴エピソードだった。主人公を取り巻く三角形が何 時まで経っても拮抗した正三角形のままだと、最初は良くても段々面白味が薄れて来る もので、前巻はそれが延々と続いていたからイマイチ楽しめなかったのですよね。  しかし今回は多少挽回でまずまずの手応え。何が良いかと言ったら、当然の如く不動 の幼馴染みキャラ・奈々の懸命な頑張りによる躍進。素直になれない所でまだちょっと 未亜、千鶴、さくらの三角地帯に切り込めないんだけど、だがそこがいい。佐藤さんの 力強くて頼もしい後押し応援もあって、素直になれなくても精一杯気持ちを表そうと弘 司に近付こうとして、それでも踏み込めずに悶々と想いを募らせる姿が愛らしい。  と、幼馴染み贔屓の偏った応援をしてますが、正直「くそ〜この人外三匹邪魔なんだ よ〜」とか拳を握り締めている時点で何かダメなのかも知れません(奈々って結構影に 隠れがちだからねぇ、余計に贔屓目で見たくなるのですよ)。あと良かった点は正三角 形が微妙に崩れていた事。海水浴の夜祭イベントでは未亜の一人勝ちだったんじゃない かなと。この調子で奈々も含めた三角錐が乱れてくれると更に面白くなりそう。  最後の妹エピソードは一つだけ独立してたのと、今回限りですぐにオーストリアへ帰 ってしまったから、楽しめなくはなかったけどそれ程でもなくて微妙な感触。まあさす がに妹まで乱入してきたら収拾つかなくなりそうなので、一端退場させたのは正解だっ た気もする。とりあえず流されまくりな弘司がハッキリしなければいかんですな。  既刊感想: 2005/11/04(金)護くんに女神の祝福を!7
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    積んでた分纏めて読んだので、前巻の興奮冷めやらぬまま新展開の新学期に突入。決 して譲らないエメレンツィアの護への想いってのは、今回もいい感じに絢子を焦らせな がらじわりじわりと効いてました。ただ、今回彼女の頑張りよりも更に印象的だった事 があって、それは勿論入学早々生徒会(正確には絢子)に喧嘩を売った恐れ知らずな新 入生・柿崎由良理と、彼女が生徒会の対抗組織として築き上げた絢爛会について。  まあ周囲の掘り下げに力を入れていると、どうしても護と絢子のラブラブ指数が下が ってしまうのだけど、逆にそればかりだと頼り切りで飽き易くもなるので、肝心な場面 だけ押さえておけば、ある程度の息抜きも必要なのかなと。それに今回は粋がった新入 生の暴れっぷりと、絢子にのされてのへこまされっぷりが面白かったので満足です。  他には第四章のタイトルでもあった“それぞれの恋のかたち”、これもなかなか面白 く転がっているんじゃないでしょうか? エメレンツィアは「なるほどそういう逸らし 方があったのね」と今後は護と竜照の板挟みで楽しませてもらえそうだし、護も由良理 の敵意と希実子の淡い好意を持て余しそうで絢子の介入にも離せなさそうだし。ちゃっ かり復帰を遂げた摩耶の提案によるゴールデンウィークの行事がどんな事態になるのか も今から楽しみです。最後の余韻から、もしかして《銀のマリア》の登場もある?  既刊感想:       番外編 2005/11/03(木)護くんに女神の祝福を!6
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★★★(10/10) [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    好きなジャンル×好きなシチュエーション×メインが好きなキャラクター×好きな展 開×好きな結末……好き好き好き好きってまるで絢子が護に言ってる事みたいだけど、 一応個人的にと付け加えておいて最高のデキでした。賞賛の拍手は言うまでもなくエメ レンツィアの感情描写に向けられていて、特に卒業式のクライマックスで絢子に縋り付 いて涙してようやく気付かされた本心を吐露するシーンがもう堪らなく良かった。  五巻目からの予兆はあったのでこの流れは順当と頷きながらも、あとがきによるとエ メレンツィア登場時点で既に決められていたのだそうで。これは元々護と絢子の間に介 入する余地がないので(ヨハンみたいな強引な例外はあれど)、三角関係やっても成立 し難いし盛り上がらないのでは? と否定的に考えていたので意外と言えば意外。  しかしよもやお義兄様ラブで護に傾きそうもなかったエメレンツィアの感情描写で、 ここまで魅せられてしまうとは嬉しい誤算。護に迫る行為が“愛するお義兄様の為”な のか? それとも“異性として本心から好きだから”なのか? 最初は圧倒的に前者寄 りだった気持ちがやがてせめぎ合いを見せ、徐々に後者寄りに傾き一気に押し切ってし まう……この一連の流れとバランスとペース配分が絶妙で本当に良かったと思う。  で、気になるのは今後の展開。本音を言うと自分では最高潮のここを最終巻にしても いいと思った。きっと護と絢子の関係はガチガチだろうから、エメレンツィアの勢いも 今回以上は望めない? と考えたりとかで。ただ、進級してからの新展開に期待したい 部分もあるので、どう繋ぐか心配や不安や懸念はあるけれど楽しみにしてみたい。  既刊感想:       番外編 2005/11/02(水)護くんに番外編で祝福を!
(刊行年月 2005.03)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    プロローグ→幕間→エピローグの流れで、編入前から編入したばかりの頃の戸惑いを 経てようやく慣れ始めたエメレンツィアの姿が描かれている。全部合わせても一本の短 編より短い頁数ですが、最初から五巻の時のような馴染み方が出来てたのではなく、周 囲の反応に躊躇いながらも少しずつ今の学校生活に染まってゆく所がしっかり表れてい て良いなと思いました。しかも護と絢子に介入しそうな素振りを見せているこのタイミ ングで、エメレンツィアを束ねる役に起用して際立たせてくれたのは嬉しい限り。  肝心の短編について。基本的に呆れるくらい護と絢子がラブラブしているのがメイン だから、まあその辺りは毎度の如くにんまりしつつ楽しませてもらえました。個人的な 好みで挙げると『世界一えくせれんとな髪の毛』かな? タイトルから大体想像ついて たけれど、想像以上に凄かった。何しろ汐音の髪型が“普通のストレートヘア”だった のが驚天動地の大異変。いや、普段散々馬鹿にしてネタにしてた癖にそりゃないだろ、 と絢子達の驚愕ぶりに突っ込み入れたくなりましたが。しかし周囲に漂うビアトリスま で我を見失い落ち着きを忘れざわめいてる程だから相当のもんだったんだろうなぁ。  あとは護の妹・逸美のダイアリー。相手に知られぬようコソコソっと護と絢子のいち ゃつきを覗いている逸美(と生徒会長)の行為は、何となく読者視点に近い親近感があ ったかなと。心底兄貴と絢子との関係を応援したいと願う気持ちが心地良かったです。  既刊感想: 2005/11/01(火)護くんに女神の祝福を!5
(刊行年月 2004.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:岩田洋季/イラスト:佐藤利幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】    挫折と絶望に打ちひしがれながらも、何とか《プロセインの魔王》ヨハンを退け絢子 との『愛の絆』を深めた護くん。今回は緊迫ムードの前巻からちょっと一息入れた、ド タバタラブコメのバレンタインデートラブル。あ〜やっぱり何人たりとも護と絢子の間 に入れないこのラブラブっぷりは見ていて和むなぁ。前巻みたいな危機的状況はマンネ リ打開の変化球として非常に効果的だったのだけど、この二人の関係が揺らいでしまう 状況ってのはそれなりに刺激が強いので、眺めていて気が休まらないんですよね。  急遽帰国した絢子の祖父・鷹栖尚幸に護が誇れる恋人である事を認めさせる為、バレ ンタインデー当日に仕組まれたゲームに挑む。最初は敵側が妙に都合良く手を引くもん だから「何故だろう?」と首捻ってたんだけど、要は李海狼の“他者を傷付けてまで手 段を選ばない行為には走らない”という性格的なものだったのかな? まあ結局全部終 わってみれば彼らも、そして護と絢子も尚幸の掌の上で踊らされていた訳ですが。  あとはもう何と言ってもエメレンツィア。名前短縮してエメたんと愛称で呼びたいく らい可愛さが増している。初登場時はヨハン好き好きだったので、これじゃ護と絢子に は絡まないだろうと思ってたのに、もしかして絡みますか? これってそろそろ絡めま すよと予告しているようなもんじゃないですか? 前の感想で「エメレンツィア絡みの 三角関係展開にはならない方がいい」とか書いてましたが撤回です。あっさり撤回。  既刊感想:


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