NOVEL REVIEW
<2006年02月[前半]>
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02/15 『想刻のペンデュラムII』 著者:鳥生浩司/電撃文庫
02/12 『でぃ・えっち・えぃ そのよん!』 著者:ゆうきりん/電撃文庫
02/10 『二階の妖怪王女3』 著者:あらいりゅうじ/電撃文庫
02/09 『水晶宮殿 nerim's noteIII』 著者:長谷川昌史/電撃文庫
02/08 『空ノ鐘の響く惑星で9』 著者:渡瀬草一郎/電撃文庫
02/07 『カレとカノジョと召喚魔法5』 著者:上月司/電撃文庫
02/06 『がるぐる!<上> Dancing Beast night』 著者:成田良悟/電撃文庫
02/05 『絶世少女ディフェンソル』 著者:マサト真希/電撃文庫
02/03 『イリスの虹』 著者:七月隆文/電撃文庫
02/02 『いぬかみっ!8 川平家のいちばん長い一日』 著者:有沢まみず/電撃文庫
02/01 『神栖麗奈は此処に散る』 著者:御影瑛路/電撃文庫


2006/02/15(水)想刻のペンデュラムII

(刊行年月 2006.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:鳥生浩司/イラスト:石田あきら/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  う、ごめんなさい全然続くとは思ってなくて続編もあまり望んでなかったらしくて前 巻のストーリー展開がどうだったかもイマイチ覚えてなくて……どんな話だったっけな ーと首捻ってる始末。しかし今回は思い出せないストーリーの続き云々よりも、キャラ クターの多角関係の描き方が素晴らしく良かったと思う。かれんとはもう兄妹じゃない とは言われても洸への想いは妙に背徳感漂うもので、更に幼馴染みの沙夜が負けじとば かりに露骨にかれんの邪魔して割り込んだり、ちょっとドロドロな具合が堪らない。  その上沙夜の憧れていた兄の登場で複雑な関係が加速する。まあその辺りのキャラ同 士の絡みは総じてなかなか面白かったのだけど、洸達の敵となる相手がどんな存在で何 を狙っているのかどうも掴み切れない部分が多くて。それは前巻も同様だったから手応 えが得られなかったんじゃないだろうかと。ただ、今回はサリエルの存在と沙夜の兄・ 一磨の意思が大分物語に介入してくれたお陰か、続きを待ってみてもいいかな? とい う気持ちが一巻目読了時と比べて俄然大きくなってくれたのは収穫だったと思う。  しかし改めて思い返してお兄ちゃん兄さんお兄ちゃん兄さんお兄ちゃん兄さん……と お兄ちゃん好き好きな物語だなー。一磨が加わって余計に濃くなった感じ。何かその煽 りを喰らって絢が少々不遇だったような……。あまり恋情込みで洸と絡まないからだろ うか? 誓人絡みでの壬琴との激しい戦いは充分な活躍ぶりで良かったのだけどね。  既刊感想: 2006/02/12(日)でぃ・えっち・えぃ そのよん!
(刊行年月 2006.01)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:ゆうきりん/イラスト:小宮裕太/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  そろそろこの辺で前作『めがねノこころ』みたく不完全燃焼で終わってしまう危惧を 抱いていたのだけれど、売れ行きは順調のようで気が付けば『ヴァルキュリアの機甲』 と同じ巻数に。光を《堕落》させる為に犯させる《罪》も残り僅かなのであと2、3冊 くらいになるのかな? ともあれこれなら最後まで完走出来そうでホッとした。  うっかり人前で開くと大変な事になる口絵と本文挿絵が更にパワーアップでエロさ倍 増。もう裸ばっかです。内容は悪魔娘達が光に《罪》を犯させようと画策し、天使の使 徒……というか既に使いっ走りの便利屋状態になっちゃってる気がする愛がそれを防ご うと孤軍奮闘するってパターンはこれまでと変わらず。ただ、今回は獅ぃ子が持つ《高 慢》の《罪》だけに絞られていたからか、それとも消極的な光がそんな自分を変えたい と自発的(ってこれも悪魔娘達に唆されての事だけど)に行動起こして目立っていたか らか、ストーリー展開はこれまでと比べて少々上向き加減で良かったかなぁと。  あとは毎度お馴染み、作中の至る所で繰り広げられている“傍から見たら独り言”な 愛と天使様のコントがお馬鹿で楽しい。言ってる事はもっともだけどこの天使はもうセ クハラ親父or上司以外のなにものでもないな。「さっさとヤっちまえ!」という煽りも そろそろ受け流してばかりではいられない状況で、勢いに押されなければサッパリ踏み 込めない愛が今後どんな行為を示すか見物(まあまだ一線は超えられないだろうけど)。  既刊感想:そのいち!そのに!そのさん! 2006/02/10(金)二階の妖怪王女3
(刊行年月 2006.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:あらいりゅうじ/イラスト:かんたか/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  妖姫が百鬼一族の再興の為に今の時代に顕現したとか、百鬼一族を滅ぼした魔龍一族 との確執とか、危惧していた通り本当に何にも触れられなくなっちゃったよ。いや、実 は自分でも前巻感想を見るまで、「そういやそんな経緯もあったっけ?」と失念してし まうくらい今回も全く描かれてなかったからどうしたもんだろかと。多分シリーズが進 めば着地点が定まる頃に焦点当たるんだろうけど、その前に忘れてしまいそうだ……。  どうも暫くは完全にユキトや妖姫達が設立した『妖怪事件相談所』の妖怪退治メイン でゆく模様。ただ、そういう方向へ進めているのがダメかと言えばそんな事もなくて、 これが妖怪退治の物語だと意識して読む分には結構面白く仕上がっている。まあカメラ の薀蓄とかは著者の趣味丸出しで、興味抱けない人にはどうなんかなー、と思ったりも しましたが、結果的には妖怪と深く関わる要素なのでこれもありかと落ち着いたし。  意外だったのは、ユキトの成長ものとしても読んでもそこそこ楽しめるようになって いた点。親父譲りのすちゃらかでお調子者な性格だけど、強くなりたいという姿勢がい い具合に描かれていたかなぁと。あとはもうちょいラブコメって欲しいとこだけど、キ ャラの個性で押す割にはラブコメ要素が薄いんだよな〜この著者さんの作品って。  既刊感想: 2006/02/09(木)水晶宮殿 nerim's noteIII
(刊行年月 2006.01)★★★★★★☆☆☆☆(6/10) [著者:長谷川昌史/イラスト:Nino/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  ネリム視点なのに地の文が三人称文章っぽく感じてしまうのは、そもそもネリムが自 分自身をも客観的に映したがっているのか、それともネリムの性格や感情による所が大 きいのか。結構相手の挑発に揺らいだり、感情の昂ぶりが抑え切れずに突っ走って危機 に陥ったりしてるけれど、そういう時でさえもどこかネリム自身で感情を語ってないと いうのか、妙に冷めた印象だったり。……まあその辺のネリムに対するイメージっての は最初からずっと一緒なのだけど、要は相変わらず感情移入し難いキャラだなぁと。  シリーズ作品と括って続けなくてもいいのでは? なんて意見が浮かんだのも前巻同 様で。何でそう思うかと言うと、シリーズ全体でどんな事を描いて行きたいのか? 何 処へ向かって物語を進めて行きたいのか? この辺りが三巻まで続いたのに未だにしっ かり定着していない手応えだったので。幾つか「これじゃないか?」と思う要素もある にはある。けれど現時点では整理し切れてなくてごっちゃになっているような感じ。  例えば表題通りネリムのノートに旅の足跡を記しながら彼の成長を描くのがメインな のか、それとも母が残したヤドラ一族の能力の謎を追うのがメインなのか、或いは侵略 を広めるシュキンバス軍と相対し関わるのがメインなのか……混合して描いても纏め方 が上手ければ感じ方は違って来ると思うのですよ。この作品はイマイチ上手く行ってな いんじゃないかなぁと。ただ、毎巻ごとでの描きたいテーマはよく伝わって来るし(特 に今回の“欲望”などは)、今回いいとこで切れたのでまだまだ追う気でいます。  既刊感想:nerim's noteII 2006/02/08(水)空ノ鐘の響く惑星で9
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:渡瀬草一郎/イラスト:岩崎美奈子/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  フォルナム神殿での攻防戦と、アルセイフに攻め入ろうとするタートムとの国境戦を 切り抜け、ようやく腰を据えて国政に力を注げるまで落ち着きを取り戻す。そしてここ ぞとばかりに機会を狙っていたように色恋沙汰が次々と。盛り上がるフェリオ、ウルク、 リセリナの三角関係と、クラウスとニナ、ブラドーとソフィア辺り。しかしまあフェリ オが壊滅的に鈍感なのも、育った環境が原因で知らないのだと自身の口で語られてしま っては、「この鈍感野郎!」と無碍に蹴っ飛ばしたくなる足も引っ込むというもの。  ウルクはリセリナの複雑な想いを理解した上で、直接的な態度と言葉で優しく彼女を 受け入れているようだし、何かこの三角関係は強固に安定しちゃった感じかな。酔っ払 ったウルクのあの大胆不敵で衝撃的な行為があっても、他に紛れ込んで来る懸念が色々 あるから簡単に崩れそうもない(まあフェリオにとっては良い刺激だったかね)。  次へ進むべくの準備段階という幕間的な手応えだったけれど、それでも手綱は緩めず 恋愛エピソードばかりに傾倒せず、ラトロアの刺客がもたらした幾つか興味を引かれる 要素も含めて、今回も安定した満足感で面白かったです。特にフェリオの出生の秘密が 直球ではないにしろほぼ確定で明かされた事、仮面の男メビウスの素顔を見て驚愕した リセリナとの関係、そしてラトロア国家元首ジェラルド・メイスンの底知れない腹の内、 などが印象的でした。ジラーハへ向けての新たな出立、新展開の次巻も大いに期待。  既刊感想: 2006/02/07(火)カレとカノジョと召喚魔法5
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:上月司/イラスト:BUNBUN/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  帯にクライマックス直前とあったので、そういうもんだと意識してたけれど、普段通 りの日常が続くばかりでこれまでより山も谷もない平坦な展開だな……と少々だら〜っ としながら読み進めてました。が、遂に最後の最後で期待に応えるビッグウェーブがや って来た! 実はこの巻で張られている重要な伏線の幾つかは、解かれないまま最終巻 へ持ち越されている。だから終盤の遊矢と玲の一種の賭けみたいな戦いの果てに何が起 こったのか……詳しく語るにはあまりにヒントが少ないのだけれど、遊矢の行為が誰に どんな影響を及ぼしたのか? これはラストシーンの雪子を見ればもう一目瞭然。  最初から今回の引き際にこの結末を想定していたって事は、きっと表向きはクリスマ ス直前で浮き足立つ平和で平穏な日常風景ってやつも、きちんと計算して描いていたん だろうなと。遊矢に何とも言えない危うさが垣間見えたとしても、このゆる〜い平穏な 空気がすっぽり包み込んでしまう。今はまだ普通に恋人達のクリスマスイベントが催さ れるのだろう、と誘導しておいてからの最後のこの突き落とし方は狙ってやっているよ うにしか思えなくて。しかも絶妙のタイミングでうまい事効いてるんだよなぁ。  雪子が遊矢の一挙一動に一々反応して、気にしたり、焦ったり、妬いたり、飛躍した 妄想を働かせたり、そういう様子が今回は何時にも増して凄く可愛く見えた。だからこ のラストが非常にダメージ大で堪えるもので……くっ! 早く最終巻が読みたいぞ。  既刊感想: 2006/02/06(月)がるぐる!<上> Dancing Beast night
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:成田良悟/イラスト:ヤスダスズヒト/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  新潟と佐渡を繋ぐ巨大な橋の真ん中に浮かぶ人工島に住まう変人達の狂気の宴、『越 佐大橋』シリーズ完結編の開幕。えー、読んでいて“完結”の二文字が頭に欠片も浮か ばないのは、馬鹿騒ぎなノリがちっとも変わらず衰えないからだろうか? それとも一 応の区切りという意味合いが強いせいだろうか? まあ一度は島を去った二匹の犬が同 時に舞い戻った上巻ラストで、集大成っぽい手応えを初めて掴んだ感じでしたが。  今回の物語の流れて主役的立場に置かれているのは、殺人鬼・雨霧八雲と迷探偵シャ ーロット。とは言え他も自己主張が激しい奴らばかりなもんで、とりわけ目立つ扱いで もないですが、この二人を中心に焦点を当てて物語を動かしているのは確かな事。  ただ実際にあまり直接的に関わる事はなく、雨霧とシャーロットがどんな危険に巻き 込まれてゆくのか上巻だけではハッキリしない。下巻へ向けて興味を引かれるのは、暗 躍している『バネ足ジョップリン』が一体何者かって事と、今回の騒動を裏で操り躍ら せている本当の黒幕は誰かって事。現在表に見えているものは果たして裏を隠すまやか しかそれとも見せ掛けか、きっと何か仕掛けがあるだろうと予想しつつ下巻を待つ。  既刊感想:バウワウ! Tow Dog Night       MewMew! Crazy Cat's Night 2006/02/05(日)絶世少女ディフェンソル
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:マサト真希/イラスト:芳住和之/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  そんなあとがきの片隅にちっちゃな文字でこそっと呟かなくても……。スカイワード 続行不可の後からこの物語刊行に至るまで随分難儀されたようで。本来なら先行きの予 定を立てていたであろうスカイワードの方がすんなり書けると思うのだけどねぇ。  で、この物語は読みながら色々と把握するまでが結構大変だった。と言うより読了後 も設定の幾つかはまだ掴み切れてなかったり。こちら側(人間達?)の境界を護る存在 と侵そうとする存在との対立を描いたもので、敵と互角に戦う為には王と呼ばれる主人 と従属する守護士との共闘関係が常に必要、と。一応最低限これだけ押さえておけば読 み進める為の情報としては充分か。でも、特に終盤で戦闘に入ってから何か読み進め難 い感じがあって、多分その原因は“<○○○○>”と攻撃の際の台詞の付加部分。これは 文章装飾が過ぎる気が……その文字の雰囲気で攻撃内容を掴め! みたいな感覚的なも のばかりで、実際にどんな攻撃なのかを把握出来ないままの事が多かったかも……。  ただ、ユイナが慎を“門の王<レクス>”として選んだ理由を明かさずにいた事で、中 盤まではうまく興味を引っ張ってくれてるなと思う所も。気になっていたその理由が明 かされた時は慎同様コケそうになったけれど、王になってと告げるずっと以前から、慎 の姿を追い続けていたユイナの一途な感情は凄くいい描き方だなぁと思いました。  問題なのは続き。どう読んでも単巻完結ではないのだけど、どうやらこちらもシリー ズとして続刊が決まっている模様。とにかく無事完結して欲しいと願うばかりです。 2006/02/03(金)イリスの虹
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:七月隆文/イラスト:平野克幸/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  目を引くアイディアってのはそう簡単にあれこれ編み出せるもんじゃないけれど、こ の“情報”を用いたアイディアは非常に興味を引き付けられて面白いものだなぁと思い ました。ただ単に出しただけではなく、物語の中にしっかり組み込み読み手を楽しませ てくれる配慮も充分。著者名改名後に刊行したあの『萠乃たん』とはえらい違いだ(萠 乃たんも気に入っているのでダメとかそういうのではなくて、雰囲気そのものがね)。  “情報を書き換える事の出来る存在”入州帚と、“人間の情報を喰らい生きる存在” ハーピーとの戦いに巻き込まれてしまう少年・唐崎省吾。彼は特別な能力など何もない 脆弱な一般人として描かれていながら、帚に関わる事で知らず知らずのうちに彼女の気 持ちを惹き付け大きな支えとなっている。帚自身の全てにおいて救い様のない絶望感し か見出せない中、省吾が側に居るというだけでホッとする安心感に包まれる。無意識の 内に自分を変えてくれる省吾に対して、帚は多分そう感じてるんじゃないかな?   しかし途中でハーピーまで惹き付けるとは思いもよらず、しかも帚も含めて三角関係 の恋愛感情が描かれるとは。この辺から妙な方向にズレそうになって焦ったよ。そして ちょっとだけ敵味方関係や戦い忘れてこのままいっちゃってくれとか思ってしまう。  ハーピーは結局叶わぬ夢でしたが、帚と本当に姉妹だったのか、それとも便宜上の姉 妹だったのかはよく分からかった。同種の敵がまだ存在するのかな? それと帚を様々 な意味で救う方法はあるのか? とか。続刊決まっているので続きに期待です。 2006/02/02(木)いぬかみっ!8 川平家のいちばん長い一日
(刊行年月 2005.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:有沢まみず/イラスト:若月神無/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  アニメ化&コミック化決定で絶好調の波に乗る本シリーズ。うむ、大団円でいい最終 回だった……と思ってたら何か最終回じゃないらしい。「そこんとこもうちょっと見せ てくれたっていいじゃねーかよぅ!」と、これまでの数々のチラリズムに焦らされまく り、そして遂に来るべき時に謎の全てを明かす集大成的位置付けと感じられた今回。  一応主役を張っている啓太。こいつは物語がここまでシリアスに傾いても、どうやっ てもギャグキャラ弄られキャラを抜け出せないのか。そこんとこが犬神達が慕う啓太の 持ち味と言えば聞こえはいいけれど、全般に陰が薄過ぎてちょっと泣けて来た。実質こ こまで伏線を張って来た“川平薫”についての様々な種明かしがメインで、薫と彼の犬 神達が主役級の扱い。この辺りについては描写にかなりの気合が感じられ、特に薫とな でしこを始め犬神達との深い絆を描く部分は凄く印象に残る良いものでした。  あとはラスボス的存在の大妖狐と赤道斉に興味を向けておき、途中で展開を一転させ る捻り方もなかなか面白かった。両者とも強大な力を持つ存在でありながら、どこか絶 対悪に徹し切れない所があり、その性質がもろに出た結果だったんじゃないかな〜。  ……で、ここからどうやって続くんだろう? まあこの結末で埋める箇所はまだまだ 転がっていると思うのだけど、綺麗に終わってるんだから余計に弄らなくてもいいじゃ ないのさ、という気持ちが大きく。期待と不安半々で続きを待つとしましょうか。  既刊感想: 2006/02/01(水)神神栖麗奈は此処に散る
(刊行年月 2006.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:御影瑛路/メディアワークス 電撃文庫]→【
bk1】  “神栖麗奈”という存在を追う物語の続編。一体何処まで神栖麗奈による感染の連鎖 が続くのか? 果たして神栖麗奈に対抗し得る者、止める術を知る者が現れるのかどう か? など、最初読むまでは未来へと続く展開を想定していたのですが、実際には全く 逆で過去から“神栖麗奈”が生まれて一人歩きするまでを描くものだった。まあ確かに このまま先に進んでも起因がハッキリしないと気になり続けてたかも知れない。  しかしあとがき読んでも苦労が窺えるように、神栖麗奈が形成されるまでの描写はか なり難儀したんじゃなかなってくらい把握し辛かったのが正直な所。もう四章の神栖麗 奈が神栖麗奈と向き合う部分なんて、よく噛み砕いて読んでいても頭こんがらがりそう でした。充分に理解も納得も出来たんだけど、躓きも結構多かったから……う〜む。  ただ、神栖麗奈が自身を語る四章はなかなか面白いものでした。何せ彼女と関わるそ の他大勢の人間からは彼女の本質が全く見えないもんだから、本当の神栖麗奈は何をど う思い感じているのか凄く興味深くて。一章から三章で神栖麗奈が関わった部分を、四 章の彼女視点で再度見せる辺りも良かった。ラストシーンも「あ〜そういう風に繋がる のか」としっかり納得のゆく形で。でも続きはもう出ないかな? 前述のように神栖麗 奈の感染と連鎖反応が何処まで続くのかと未来を追ってみたい気もするのだけど。  既刊感想:神栖麗奈は此処にいる


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