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03/31 『キーリVIII 死者たちは荒野に永眠る(上)』 著者:壁井ユカコ/電撃文庫
03/30 『ぼくと魔女式アポカリプス』 著者:水瀬葉月/電撃文庫
03/26 『麒麟は一途に恋をする5』 著者:志村一矢/電撃文庫
03/24 『奇蹟の表現III 竜<ドラゴン>』 著者:結城充考/電撃文庫
03/21 『アスラクライン3 やまいはきから』 著者:三雲岳斗/電撃文庫
03/20 『F エフII』 著者:坂入慎一/電撃文庫
03/16 『座敷童にできるコト4』 著者:七飯宏隆/電撃文庫
2006/03/31(金)キーリVIII 死者たちは荒野に永眠る(上)
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:壁井ユカコ/イラスト:田上俊介/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
大賞受賞からシリーズ化して長らく続いてきたキーリも、いよいよこの上下巻がラス
トエピソード。もうすぐ下巻が出るから、それ待って一緒に読めば良かったかなぁとち
と「しまった」と思いつつも、この上巻はとあるキャラの結末というのか、そういうひ
とつの区切りまでが丁度良く描かれていたので、「一刻も早く続きを!」とやきもきさ
せられる幕引きでなかったのは幸い。じっくり腰を据えて最終巻を待つとしましょう。
で、とあるキャラってのはぶっちゃけてしまうとヨアヒムの事。この上巻はキーリ、
ハーヴェイ、兵長、ベアトリクス、ヨアヒムが、それぞれ自分の為すべき事に立ち向か
いながらひとつの場所へ収束してゆくという展開。その中で最も大きく触れられていて、
そして最も重点的に描こうとしていたのは、ヨアヒム自身の長い長い旅の決着だったん
じゃないかなと。本当にね、ハーヴェイが最後に問い掛けたのと同じく「お前は結局何
がしたかったんだよ?」言いたくなる奇行が特に最終章は目立ってたのだけれど、この
上巻ラストシーンのヨアヒムの吐露で何もかも納得させられてしまった……。
しかしこの展開で結末は一体どうなるのか。ハッピーとバッドのどっちがいいか?
で問われたらそりゃ前者がいいに決まってるけど、実際あまりハッピーな雰囲気でも状
況でもない現状(主にハーヴェイの身体が)。一巻と似て非なるとても意味深なタイト
ルも非常に気になる所で、予測のつかない結末が果たしてどのようなものになるのか。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII
2006/03/30(木)ぼくと魔女式アポカリプス
(刊行年月 2006.02)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:水瀬葉月/イラスト:藤原々々/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
主人公“ぼく”こと宵本澪。彼の感情表現に最後まで慣れる事が出来なかったのが私
の敗因か。ある事件を切っ掛けに、澪の感情が壊れてしまった事を彼はそれが普通で当
たり前だと受け入れた。なんだろな……澪が精神的に極限状態に追い込まれると、感情
の吐露がこっちを置いてけぼりで一人歩きして先行ってしまうような、自分で言ってて
「なんだそりゃ?」と思いたくなる感触なんだけどうまく説明出来なくてごめん……。
この澪の感情は、何となく書き手側が澪と同調して勢いに任せた描き方って感じがし
たのだけれど、個人的にはどうしても一歩身を引いた見方しか出来なかった。場合によ
っては「何言ってんだこいつ」となっちゃったり(澪の身に起こった異常過ぎる事態を
思えば、こんなどうしようもなく壊れて擦り切れた表現も充分理解出来るのだけど)。
もう一つ。設定の難解さにもかなり苦戦を強いられた。ただ、これはアヴェイラーズ
が澪に「感覚で理解しろ」みたいな事言ってた気がするので、その程度の理解で頭に叩
き込んでおけばいいのかなぁと。正直読了しても未だによく分かってないんだこれが。
しかしこの結末、と言うよりかは敵対するドルイドの正体を知った時は胸が締め付け
られるような痛さでどうにもやばかった。終盤まで隠しに隠して仕掛けを張る辺りはな
かなかよく考えられていたなと思う。要はこの物語自体の良し悪しではなく、自分に合
うか合わないかの部分なんだろうなきっと。でも次も読む。続き気になってるから。
2006/03/26(日)麒麟は一途に恋をする5
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:志村一矢/イラスト:椎名優/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
これだ! これこそ志村一矢作品の真骨頂。このこっ恥ずかしいお約束的展開のいち
ゃいちゃベタベタな恋愛模様が描かれるのを待っていたんだ! ……と、力説する程に
満足させて貰えたとは言い難いけれど、まあ何はともあれ、焦らしに焦らされまくった
遙と麻由の関係にようやく進展が見られたのは良かったかな。とは言え結局敵方の東雲
がしゃしゃり出て来たせいで、二人の初々しい恋愛要素よりも、毎度微妙な戦いの方に
比重が置かれる内容になりつつあるけれど。あとがきによると残りあと二冊の全七巻予
定だそうで、合わせて物語も今回終盤辺りから結末に向けて大きく動き始めた。
しかしこのシリーズ始まった当初、前シリーズである『月花』の要素がこれだけ深く
絡むとは思ってなかったなぁ。せいぜい番外短編で補完する程度と考えてたんだけど、
東雲の目的から“桜”なんて言葉が出てくる辺り、最初からもろに続編って位置付けを
意識してたのかなと。気分的に良くないのが、終わった物語を再び掘り返されているよ
うな感覚がどうしようもなく付き纏ってしまう所(ここまで来たら今更言っても仕方な
い事だけど)。前の出来事に引き摺られてばかりで、遙と麻由がメインの新たな物語と
しては手応えが弱く印象も希薄なのがずっと不満に映っていたのかも知れない。
この“世界の存亡を賭けての命懸けの総力戦”という流れも、前作の物語終盤のパタ
ーンと非常に似通っていてちょっと引っ掛かるのだけど……続きどうなるかなぁ。
既刊感想:1、2、3、4
2006/03/24(金)奇蹟の表現III 竜<ドラゴン>
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:結城充考/イラスト:KEI/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
今回も。「これでもか!」ってくらい年頃の娘(ナツ)を心配しまくる中年親父(シ
マ)の魅力全開。もう何ていうか……落ち込んでいる娘をどうにか励ましてやりたいけ
ど、もし「余計なお世話よ!」と突っぱねられたらと思うとなかなか娘の懐へ踏み込め
ない……とか考えつつ躊躇い揺らぎまくってるシマが素敵過ぎるぜこんちくしょう!
しかも娘に直接当たれないとなると、今度は落胆の原因である娘の文通相手のボーイ
フレンド宅を訪ねるという大胆不敵な行為に及ぶとはやってくれるこの親父(微妙に違
ってる気もするけど気にしない)。まあ別に血が繋がってる訳でもなんでもないんだけ
ど、ナツに対するシマの気遣いや接し方ってのは父親以外のなにものでもないよなと。
ストーリー展開の方は、何者かに唆されてサイボーグ強化を受けた“ドラゴン”の凶
行を阻止すべくの追撃戦。主役の立場に置かれていたのがイルマとは予想外。彼女の苛
烈で激辛な計算高い性格が行動にしっかり乗っていて、非常に魅力溢れる姿で描かれて
いて実に良かったです。ただ、シマとナツの父娘に似た絆を描く部分がドラゴン追撃の
合間合間にちょっとずつ挿入されるのみだったので、その点は期待してたより少々物足
りなくて残念。それと裏で糸引いてる存在がまだ顔を隠している為、繋ぎみたいな感触
だったかなと。最後に明かされたオズ絡みで新たな展開を予感させる次に期待。
既刊感想:I、II
2006/03/21(火)アスラクライン3 やまいはきから
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:三雲岳斗/イラスト:和狸ナオ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
前巻の流れを引き継いでの学園ラブコメっぽさを強調。新たな演操者登場で機巧魔神
同士のバトルも終盤あるにはあったけれど、智春が絶不調だったせいか戦闘シーンに割
かれた分量は割と控えめ。それより何より今回は記憶喪失で性格変貌しちゃった朱浬さ
ん(記憶喪失時は紫浬と名乗ってた)がもう可愛くて可愛くて可愛くて可愛くて(記憶
が戻ってからの瑤によるラブレター暴露シーンが強烈な破壊力のトドメでした)。
まあ記憶喪失の謎は終盤までずっと解かれないまま進んでたから、「朱浬さんが可愛
いのは分かったけど、そもそもいきなり性格変わったりまた前触れもなく元に戻ったり
ってのはどういう事なの?」と、もしかしたら投げっ放しで続くんじゃないだろかと激
しく不安だったけど、それも杞憂に終わってホッと一息。“朱浬と紫浬”の事実を曖昧
にしながらきちっと興味を引いて次に繋げている辺りはうまいな〜と。真相はどちらが
“朱浬”でどちらが“紫浬”なんだろう? とついつい深読みさせられてしまう。ただ、
それが今後の物語の中で重要な要素に発展するのかどうかは分からないけど。
そしてラストの展開で更に学園ラブコメ度数が上昇しそうな手応えを得た。操緒がこ
ういう扱いになるとは思わなかった。スタビライザってのはこの為に用意されたアイテ
ムだったのね、と。操緒は今回智春ダウンで活躍の場を削がれてしまい脇役に甘んじた
けれど、その分次の巻き返しに期待が持てそう。あと杏ももっと頑張って欲しいぞ。
既刊感想:1、2
2006/03/20(月)F エフII
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:坂入慎一/イラスト:凪良(nagi)/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
う……自分で書いた感想眺めてみても前巻どんな内容だったか全然思い出せん。主要
キャラクター達の性質なんかは続き読みながら思い出せたけど。もし次巻が無事刊行さ
れて読んだ時も同じ事を書いてしまうような気がする。と言うのも、今回は前巻より更
にストーリー性が薄まっていたように感じられたから。これだけの厚さであっても物語
に引き込まれる部分ってのがあまりなくて、結局死した静夜の復活を目論む存在と、目
的成就に為に狙われるサヤ達との戦いに次ぐ戦いばかりが延々と繰り広げられている。
ただ、最初からストーリーの充実よりも戦いそのものをメインに持って来て重点的に
描こうとする意図があったのならば、その点に関してはうまく決まっていたんじゃない
かなと。幾つもの異能力者同士の死闘を、ちょっとくどいなと感じる寸前まで密度を濃
く深く掘り下げている辺りは、どの闘いも結構惹き込まれてました。闘いに赴き闘いに
臨む際のそれぞれの心理、何を考え何を思い何の為に目の前の相手を殲滅しようと能力
を振るうのか? そういう描写に徹底的に拘っている所はなかなか良かったと思う。
あとはストーリー展開も、この戦闘時の心理描写と同様の手応えであってくれたらい
いのになぁ。まあ今回の物語の組み立て方は明確に続きを意識したものだったので、次
に期待を寄せておこう。どうやら生きている可能性もある静夜の本当の行方や、辛うじ
て逃げ延びた暗在のサヤへの復讐心などをしっかり物語に絡めて欲しいものです。
既刊感想:I
2006/03/16(木)座敷童にできるコト4
(刊行年月 2006.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:七飯宏隆/イラスト:池田陽介/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
不明点が色々と明確になって来れば盛り上がる。4巻目にしてようやく求めていたも
のを少しずつだけど貰える様になって、当然ながら手応えは上昇傾向です。とは言えま
だまだ出し惜しみしている部分も多く、「ちょっとそこんとこどうなってんの? もっ
と詳しく教えてよ!」と詰め寄りたい箇所がこの巻でも結構あったりしたけれど。
前巻感想で散々ぶちまけたよく分からない点を改めて眺めてみると、実はあんまり紐
解かれているようには見えなかったのだけれど、今回は座敷童とワラシモドキの対立や、
座敷童の過去の『オリジナル』と呼ばれる存在と現世の『コピー』と呼ばれる存在の関
係などが結構頻繁に描かれていたので、置いてけぼりを喰らうような不満感は大分薄れ
ていたかなと(それでも未だ手探り状態な所はもどかしいんだけどねぇ……)。
それから、今回座敷童達の問題と関連して描かれていたもう一つのイベントが豊葦学
園生徒会選挙戦。万理小路と三千院がサポート役で相変わらずの傍若無人さを発揮、結
果克喜は益々“目立たない陰の薄い主人公”の地位を確立させてゆく。いや、でもこれ
は周囲の目立ちぶりもさる事ながら、克喜本人の押しの弱さと流され易さの方にも問題
があるように思えてならないこの頃。まあ克喜は座敷童達にとって極めて重要なポジシ
ョンに位置しているらしいので、巻き込まれはしても埋没する事はないと思うけど。
既刊感想:1、2、3
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