NOVEL REVIEW
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04/18 『夏期限定トロピカルパフェ事件』 著者:米澤穂信/創元推理文庫


2006/04/18(火)夏期限定トロピカルパフェ事件

(刊行年月 2006.04)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:米澤穂信/イラスト:片山若子/東京創元社 創元推理文庫]→【
bk1】  凄いね。終章の真相に触れた途端、単品の各章が一直線に繋がった。ただ、私は小鳩 君みたく最後まで手綱を緩めず突き詰めるような思考には至らなくて、小佐内さんが終 章で最初にミスした部分までしか予測出来なかった。これで終わり。小佐内さん無事で 良かった。わだかまりは多少残ったけれどそれでも互恵関係は続くよどこまでも、と。  ああそれなのに、最後の真相語りでブラック小佐内さん降臨。しかし“小市民の星を 目指したいと思っている自体がお互いの嘘だったのかも”なんて含みのある事を言われ てしまったらこの先どうすりゃいいのさ? 互恵関係であり続けられないなら、いっそ 本性曝け出して傷を舐め合う依存関係でも、学校で周囲が抱いてるらしい恋愛関係でも いいじゃないか……と本当にこのまま輝ける小市民の星を諦めるなら、だけど。  どうなんだろ? これまで築き上げてきた互恵関係は、そんなに簡単にスパッと断ち 切れるようなもんじゃないと思いたいけれど。お互いが相手を連想しそうな何かに触れ た時(例えば小佐内さんならスイーツなど)、どうしても頭の中をちらついてしまうと か。そんな風であって欲しいな。まあこればっかりは悶々と続きを待つしかないか。  一品ごとで思い返してみると、感想書いてた多くの人が「絶品!」と挙げていた「シ ャルロットはぼくだけのもの」がやはり私もお気に入り。普段ならそれを暴く立場に居 る筈なんだけど、逆に仕掛けを施す立場だったからより面白く感じたのかなと。  既刊感想:春期限定いちごタルト事件


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