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06/30 『とりあえず伝説の勇者の伝説3 暴力のファーストコンタクト』 著者:鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
06/30 『煉獄のエスクード2 The Song Remains The Same』 著者:貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫
06/30 『殺×愛2 ―きるらぶ TWO―』 著者:風見周/富士見ファンタジア文庫
06/28 『BLACK BLOOD BROTHERS(s)1 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集―』 著者:あざの耕平/富士見ファンタジア文庫
06/27 『緋の剣は誰がために マグナ・スペクトラ』 著者:秋田みやび/富士見ファンタジア文庫
06/24 『EME RED6 BLUE MOTHER VS RED BABY』 著者:瀧川武司/富士見ファンタジア文庫
06/23 『ソード・ワールド短編集 ぺらぺらーず漫遊記』 著者:藤澤さなえ 他/富士見ファンタジア文庫
06/23 『9 TAILSII ―ナイン・テイルズ 聖巫女の預言―』 著者:南房秀久/富士見ファンタジア文庫
06/21 『風の聖痕6 ―疾風の槍―』 著者:山門敬弘/富士見ファンタジア文庫
06/21 『伝説の勇者の伝説7 失踪の真相』 著者:鏡貴也/富士見ファンタジア文庫
06/21 『愛と哀しみのエスパーマン』 著者:秋田禎信/富士見ファンタジア文庫
06/19 『聖竜伝3 竜の翔る天空』 著者:冴木忍/富士見ファンタジア文庫
06/19 『聖竜伝2 竜の歌う砦』 著者:冴木忍/富士見ファンタジア文庫
06/17 『ご愁傷さま二ノ宮くん3』 著者:鈴木大輔/富士見ファンタジア文庫
06/17 『天高く、雲は流れ3』 著者:冴木忍/富士見ファンタジア文庫
06/17 『君の居た昨日、僕の見る明日3 ―And Today You Standing―』 著者:榊一郎/富士見ファンタジア文庫
06/16 『烙印よ、虚ろを満たせ。SCAR/EDGE2』 著者:三田誠/富士見ファンタジア文庫
□2006/06/30(金)とりあえず伝説の勇者の伝説3 暴力のファーストコンタクト
(刊行年月 H15.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:鏡貴也/イラスト:とよた瑣織/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
もうひとつの伝勇伝。長編で通ったかどうか既に記憶もおぼろげなイエット共和国が
今回の中心。………………えっと、短編集三巻目にして特に書きたい事が思い浮かばな
いのだけど、一体どうすればいいんだ? 良い意味で下らなくて馬鹿馬鹿しくて呆れな
がら軽く笑えて楽しく読める。間違いなく好感触な点。でもやってる事は毎度一緒だか
らなぁ。たまには何時も弄られてるライナがフェリスを凹ますとかしてみたら……いや
ダメだ全然想像出来ないな。結局ライナは弄られて旨味を発揮するキャラって事か。
フェリスには剣を突きつけられ、ミルクには魔法で押し迫られ、エステラには騒動の
とばっちりを喰らわされ、新キャラのヴォイスには己の意見反論突っ込みその他諸々を
華麗にスルーされる始末。でもまあライナは愚痴ばっか零してる割に、こういう不憫な
状況に結構馴染んでるんじゃないのか? もしもそんな日常が突然消えたら物足りなさ
を感じてしまうとか。長編の方はどんどん陰鬱陰惨な状況になりつつあるから、理不尽
な迷惑を被ってあーでもないこーでもないと喚き散らせるのは、ライナにとって貴重な
時間なのかも(たとえ長編とは似て非なる設定で描かれているものだとしても)。
既刊感想:伝勇伝 1、2、3、4、5、6、7
とり伝 1、2
□2006/06/28(金)煉獄のエスクード2 The Song Remains The Same
(刊行年月 H17.09)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:貴子潤一郎/イラスト:ともぞ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
突飛な所が無い分だけ地味な印象に落ち着いてしまうのだけど、隙が無く手堅い巧さ
だな〜と感じさせてくれる面白さなのは変わらず。しかし前巻からの流れで新たなレデ
ィ・キィ探しの方に行くのではなかったのね。おまけに主要キャラの多くをバッサリ外
してしまうという決断が清々しい(レイニーも真澄も次巻以降に登場する予定はちゃん
とあるみたい)。薫の成長を描くのが主か……と考えてみたけれど、能力的にも精神的
にもあんまり変化無かったようだから、『エスクード』としての初任務(就任前だった
けど)と、あとは教皇庁と魔術師協会の確執なんかを描くのが目的だったのかな。
クラウディアとオーブリーの低俗な罵り合いは失笑する程度の馬鹿馬鹿しさだったけ
ど、実際の組織の関係は笑ってられる程単純なもんではないだろうな。教皇庁の方に借
りがあるようだけど、もしレディ・キィ捜索がメインになるようなら、この確執の根の
深さも深刻な問題として薫を悩ませそうな気がする(まあ既にクラウディアに振り回さ
れてる時点で被害に遭っていると言えなくも無い)。そういう未来を暗示する為に、今
回あえてレディ・キィ捜索という主軸を外し、教皇庁と魔術師協会、そして魔族と『外
道祈祷書』の争奪戦を強調してみせた……ってのは考え過ぎか見当違いかどうか。
既刊感想:1
□2006/06/28(金)殺×愛2 ―きるらぶ TWO―
(刊行年月 H18.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:風見周/イラスト:G・むにょ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
日数消化が微々たるものなのでストーリーは大して進展せず。密の口から散々出まく
ってる“あの人”は未だ“あの人”の域を出ておらず、一体どういう人なのか? とい
う疑問は募るばかり。そして贔屓にしてる来夏の出番が今回は少ねぇじゃねーかこんち
くしょう! と唸り声を上げてみたり。こうして書き出してみるとなんか不満が多かっ
たらしい。でも、そういう不満をサクヤが粗方相殺してくれたのにはびっくりだ。
いや、今回のサクヤっていつにも増して可愛かったんだよ〜。この目が腐っていなけ
れば、間違いなく“恋する少女”に磨きが掛かっている。全く無知で形だけを真似てい
た当初は「やれやれ分かってないねこの娘は」と冷めた視線で眺めていたもんだけど、
最近は恋愛を理解しようとぎこちなくも一生懸命頑張る姿が妙に健気でねぇ。上辺だけ
で本質をちっとも理解出来てないんだけど、そこがまた初々しくて……はっ? いつの
間にかサクヤに傾き掛けてるのか!? まあサクヤの恋愛奮闘記みたいなのがメインだっ
たから、多少惹き込まれるのも仕方ないと言えば仕方ないと無理やり納得させとく。
気になるのは密が微妙に感情の変化を見せている所。あくまで擬似恋愛でサクヤを利
用しているだけ、とは言い切れなくなり始めているんじゃないか? 打算でのみ動き冷
徹になり切る。この信念の揺らぎが興味深くて面白く、また危険な感じでもある。
既刊感想:0、1
□2006/06/28(水)BLACK BLOOD BROTHERS(s)1 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集―
(刊行年月 H17.07)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:あざの耕平/イラスト:草河遊也/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
一番最初のスタートはドラゴンマガジンでの連載から。これは長編三巻後から始まる
エピソードなので先には出せなかった短編集。いや、読む前からどんなもんかと想像し
てたけど、想像以上に長編との雰囲気のギャップが凄かったよ。まあやっぱりと言うの
か、作中の何処に触れても“富士見ファンタジア文庫作品の短編集”の印象でした。
こちらはシリアスをちょい含みでも基本的にはコメディで押し通して突っ走ってゆく
流れ。大勢が入り乱れてる長編と比べ、こちらはジロー、コタロウ、ミミコが常に物語
の中心に居る為、短編集の方が三人の魅力をより味わう事が出来るんじゃないかな。
ジローは決める時はびしっと決めてるけどそこに至るまでの過程に迂闊な言動と弱点
を曝け出しまくり、しまらないわ格好悪いわ結構散々。コタロウは愛嬌たっぷり振り撒
きながら力不足のヘッポコさを存分に発揮してそこそこ散々。ミミコは“転びたて”の
吸血鬼どもに攫われてばかりで余計な面倒起こしまくる役立たずで随分散々。
だがしかしそれがいい。改めて思い返してみて「どうしようもねーなー」と呆れた溜
息を吐きたく状況こそ、特に面白いなと感じられた所だったりする。ただ、表面上でち
ぐはぐに見えていても、実はがっちり歯車が噛み合っている。どれだけドジ踏んでも何
とかなるさ。そう容易く思えるだけの相手への信頼と絆。ドタバタやりながらも最後は
「いいな」と思わせてくれる。そんな長編合間にホッとさせてくれるひととき。
既刊感想:1、2、3、4
□2006/06/27(火)緋の剣は誰がために マグナ・スペクトラ
(刊行年月 H17.11)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[原案:安田均/著者:秋田みやび/イラスト:藤田香/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
『マグナ・スペクトラTCG』の世界。その中でも『大庭園』と呼ばれる地帯を主な
舞台とした物語。元々はドラゴンマガジンに連載されていたものを大幅加筆して纏めた
完全版だそうな。完全版と言うからにはこれ一冊でひとつのエピソードが完結まで描か
れているのだろうと思ったら、実は未完で続きものだったという罠が待ち構えてた。
もし“これからが俺達の本当の旅(或いは冒険或いは戦い)の始まりだ!”ENDで
も構わない締め方ならば、別に続刊を気にせず受け入れられただろうけど、これはちょ
っと「はいこれでお終い」じゃ納得出来ない幕引きだったもんで、是非とも続きを読ま
せて欲しい。いやしかし……セレストとスーザの関係はもっと綺麗に収まると思ってた
から、こういう方向に進むとは想像及ばなかったなぁ。もっとも、彼女が前世の記憶を
殆ど失ったせいでこんな結末になったとしても、セレストとの絆は潜在意識下に残って
いるらしいので、きっといつか今回の旅の中で見せたような姉弟関係に戻ってくれるだ
ろう、と。そんな眩しい光景を再び見てみたいからこその続刊希望を願ってます。
□2006/06/24(土)EME RED6 BLUE MOTHER VS RED BABY
(刊行年月 H17.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:瀧川武司/イラスト:尾崎弘宜/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
ドラゴンマガジン掲載分と三色だんごと書き下ろしショート。はいはい毎度の如く一
緒一緒。で、終わっちゃ感想も何もあったもんじゃないのだけど、基本的にEMEコメ
ディパートって位置付けは揺らぎようもないREDなので、もうあまり中身のネタで弄
り倒す感想パターンも飽きて来た。あとは各エピソードごとに書くしかないのか。
……でもそれも面倒臭いからやっぱりやめた。相変わらず毎巻面白さのバラつきが激
しい気がするのだけど、『牛鬼ごっこ』『字限爆弾』『肉人』、三色ショート『睡魔戦』
辺りがヒット。あと蒼のフトモモにハァハァ(紅も蒼とコンビを組まされる度に男心を
弄ばれてご愁傷様だな)。REDの場合茜贔屓なので、茜の出番が増えれば増えるだけ
満足度が上がる仕組み。今回はまあまあ。『肉人』での「君を食べたい」ってそういう
意味か! 『睡魔戦』は最後そうきたか。落とし方が素晴らしく絶妙に決まってた。
一方シリアスとか感動モノは何か妙にREDには合わない気がして……『八咫烏』と
かは数少ない三木也絡みで内容も結構好きなんだけどね。こういうのはBLUEの方で
じっくりやって欲しいと思う。アオママのは微妙。アオママ視点語りが微妙だった。
既刊感想:EME BLACK 1、2、3
EME BLUE 1、2
EME RED 1、2、3、4、5
□2006/06/23(金)ソード・ワールド短編集 ぺらぺらーず漫遊記
(刊行年月 H18.01)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[編者:安田均/著者:北沢慶・藤澤さなえ・清松みゆき
/イラスト:かわく/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
虚弱体質でぺらぺら、愚痴がぺらぺら、意志薄弱なぺらぺら根性、薀蓄語りがぺらぺ
ら、方言訛りがぺらぺら、パーティの結束力がぺらぺら、約一名胸がぺらぺ……などな
ど、とにかく“ぺらぺら”がウリの五人組らしい。リプレイの方は新になってずーっと
ヘッポコーズが主力張ってると思ってたら、いつのまにやらNEXTでこの新パーティ
が活躍してたのね(既にリプレイ六巻まで出ているなんて全然知らなかった)。
そんな私みたいな『ぺらぺらーず初体験者』にも実に優しく丁寧に分かり易く描かれ
ているのがこの短編集。五人揃って協力し合うパーティプレイは殆ど無いけれど、その
代わり何人かに分けてそれぞれのキャラクター性を際立たせるような描き方をしてくれ
ている、中編作三本立て。まあきっとリプレイ先に読んでおいた方が愛着湧くと思うの
だけれど、ぺらぺらーずに触れる入門書としてはなかなかに良いデキで楽しめた。
しかしヘッポコーズと比較するってのもどうかなと思いつつも、キャラクターの好み
はこっちの方が上かも。特に好きなエピソードは『グルーピー・ベイビー』、そこに重
ねてメンバーの中でシャイアラさんが一番好きになった。色々と面倒臭がっているけど
根は“いいひと”じゃないか。意外と迂闊な素振り見せてる所も可愛らしい。
あとペルカナがクレスポとどーにかなってくれたらなぁ、と淡い期待を寄せてみても、
現状の二人を見る限り可能性は限りなく低いか。その内リプレイも読んでみよう。
□2006/06/23(金)9 TAILSII ―ナイン・テイルズ 聖巫女の預言―
(刊行年月 H17.11)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:南房秀久/イラスト:シンゴ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
前半は自国トロンヘイムで怪異事件を追い、後半はアランを亡き者にする為に国王ハ
ディングが仕組んだ隣国ヒベルニアへの遠征任務。王都守備隊『九尾の猫』としての隊
員達の戦い、サキの中に在る邪妖を解放しての戦い、純粋な恋愛、泥臭い恋愛、深く激
しい恋愛など死闘の合間に垣間見られる幾つかの恋愛の形……など、これらと全部ひっ
くるめて前巻同様の良い感触で面白かった。加えて今回は“破壊者”サキと“調停者”
アランとの明確な敵対関係も確立されて、今後への盛り上げ方も充分な感じ。
サキとアランの衝突は定められた預言であり、戦い合わなければ世界が消滅してしま
うし、アランが負けてしまっても同様……だったかな? 事の規模が大き過ぎて今の所
あやふやな想像しか出来ないのだけど、どんな形になったとしても最終的にはこの二人
が刃を交える事になるんだろう。ただ、そうなるのはまだまだ先の話と思ってたのに、
どうも次巻で終わっちゃってるらしい。終盤で意外な展開をみせてくれて(アランの仲
間達への思い遣りなのだけど)、トロンヘイムとヒベルニアとに分かたれた隊員達の今
後の行動が俄然楽しみになって来ているのに……。まだ描かなければならない要素が山
積で、残り一冊で全てをうまく纏め切れるとはとても思えなくて物凄く不安だ……。
既刊感想:I
□2006/06/21(水)風の聖痕6 ―疾風の槍―
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:山門敬弘/イラスト:納都花丸/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
和麻の過去絡みの話にケリがつかぬまま新展開へ突入。逃したラピスも今回は登場せ
ず、翠鈴との事にも暫く触れないのかね〜。今回からのメインは4つの神器争奪戦。ま
たもや前後編構成で、敵が何の為に神器を求めているのか詳細までは描かれず。分かっ
ているのは、『精霊喰い』ゴートという者が裏で糸を引いている黒幕らしき存在という
事と、4つの神器を集めて何か儀式らしきものを起こそうとしている事くらいか。
むう、改めて思い返してみると戦ってばっかりだったな。しかも和麻と綾乃の圧倒的
な強さ、危機に瀕しても形勢逆転出来るだけの能力、そして普段は反発し合う(という
より和麻がからかって綾乃がむきになる)関係だけど強い信頼関係で結ばれている二人
のコンビネーション、などを誇示するような描き方。悪くはない。けれども今更そんな
の強調しなくても既に幾度も描かれ続けて来て分かっている事だから。もっと違う所に
も力を入れてあげようよ、と。新キャラの小雷があまりに報われず不憫過ぎる……。
盛り上がって来た所で次巻へ続く。なのでおそらく『精霊喰い』との再戦が描かれる
であろう続きが待たれる。でも現時点で続刊予定無いのが心配。ドラゴンマガジンで連
載はやってる筈だから短編は出ると思うけど、せめて一年以内に長編出してくれぇ。
既刊感想:1、2、3、4、5
Ignition1
□2006/06/21(水)伝説の勇者の伝説7 失踪の真相
(刊行年月 H16.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:鏡貴也/イラスト:とよた瑣織/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
どうも前巻と合わせて前後編だったようで。すっかりほったらかし。それでも読みな
がら色々と思い出せてたからいいのかな? ライナ、フェリスのどぎつい報復を恐れな
がらも約束すっぽかして逃亡とは見上げた度胸。それだけルシルから突きつけられた言
葉が重く圧し掛かり、へらへらしてはいられないどころか逃げに走るまでにライナは追
い込まれていたのかも。まあ結局フェリスの恐るべき機動力で一旦は呆気なく見付かっ
てしまい、それはそれは身の毛もよだつ恐ろしい報復を受ける事になるのだけど。
問題はその後。今回最大の山場も。シオン達と敵対する存在の方へライナが引き込ま
れてゆくのは仕方のない事で、おそらくこの時点ではライナの行動を誰も止められなか
ったと思う。自発的にかティーアの誘導に乗せられたか……どちらでも良くてどちらで
も関係なくて、ただ単純にライナはティーアと同種であり、ライナやフェリスとは別種
だっただけ。シオンは気持ちの上では止めたいと思っていても、その事を充分理解して
いるからどうにもならない。この終盤の展開はなかなか見応えありで良かった。
さて、この他に散らばっている物事をどう束ねてゆくのか? ひとつの見所であり楽
しみでもあり不安でもある。『複写眼』の秘密も、ガスタークの懐に潜り込んだキファ
の調べで少しずつ剥がされて来ているので、そっち方面での盛り上げにも期待したい。
既刊感想:伝勇伝 1、2、3、4、5、6
とり伝 1、2
□2006/06/21(水)愛と哀しみのエスパーマン
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:秋田禎信/イラスト:渡真仁/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
重いシリーズ(エンジェル・ハウリング)やった後だから、思いっきり軽いのやりた
かったらしい。特撮ヒーロー戦隊モノを意識した作り(ただし隊員は二人で一人=主人
公は役立たず)の中に不条理ギャグを混ぜ合わせたもの。私の場合はオーフェンもエン
ジェル・ハウリングも殆ど読んでないのだけど、方々の感想を眺めてみると、これはオ
ーフェン無謀編に近いノリなのか? 確かギャグやっても騒がしくならず、妙に淡々と
進めでゆくのが秋田さんの持ち味だったような気もする(かなりうろ覚えだけど)。
ドラゴンマガジン誌上で6回の短期集中連載。元々これくらいの長さで纏めようと考
えられていた模様。ノリはそんなに嫌いじゃないんだけど、主人公の癖に周囲の流れに
逆らえないあまりのヘッポコキャラな悟がどうにも好きになれず。まあ金郷地を筆頭に
人の話を聞かなさ過ぎな周囲の奴らも問題ありだけど、お前もまあいいやで流さずにも
っと自己主張しろよな……と思ったけど悟の性格じゃ無理なのもよく分かった。
ヒロインの涼香は頭のおかしさ加減が好き(天然ボケに非ず)。まったくこのヒネク
レモノめが。そして涼香の言動を常に冷静に受け流す教子の方がもっと好きだと気付い
た。仮面X蝶最高。愛と佐恵はもう一つ悟との絡みが弱くて残念。なんかこの二人、終
盤結託させられてたみたいなんで続けば面白そうだったかも。でもきっと続かない。
□2006/06/19(月)聖竜伝3 竜の翔る天空
(刊行年月 H18.06)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:冴木忍/イラスト:森田柚花/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
『第一部完』……ってほんっとに唐突だな! 二部は一部の支持率次第とは言われて
も、紛れもなく打ち切りで見事なまでに永遠に第二部始まらないパターンを踏襲してま
すからこれ! もう間違いなく。中途半端な終わり方でこれが最後に付いて続き出た作
品って記憶に無いですよ?(きちんと締めて新展開という流れなら話は別だけど)。
でもね、絶望感一杯にして勢い任せで書いてはみたものの、本音は凄く続いて欲しい
んだよぅ。だってこんな半端な結末で続き出ないのは読み手として嫌だ。ここで一旦切
る為に纏める気満々な駆け足っぷりが露骨なまでに感じられたのも何か悲しいよ……。
結局シンがメドースとああなって最後にこんななってポイッと投げられ、ソルが真の
神竜か偽物かも曖昧にされ続けてきた正体も結局明確には判明せず、割と大きく取り上
げられていたペトル国王絡みの問題なんて心底どーでも良くなっていて、曲者揃いの脇
役達も登場したばかりの頃に感じた魅力は急ぎ過ぎであまり見せて貰えなかった。
それにラトキスはともかくファナがこの道に進まされる理由も分からなかったし(理
由無しとは思えない)、声が復活する瞬間も劇的なシーンを期待してただけにこうもあ
っさりでは不満も募るというもの。……せめて本気で続編希望のアンケート出すよ。
既刊感想:1、2
□2006/06/19(月)聖竜伝2 竜の歌う砦
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:冴木忍/イラスト:森田柚花/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
よもやシンが軍隊に入って出世コースへ収まってしまった(前巻感想参照)。こうい
う展開になるとは思わなくて書いたのに自分でびっくりだ。ラトキスとファナと自称神
竜ソルと共に不自由なく暮らす為、そして安住の地に腰を下ろす為の決断らしく。そん
な流れだったっけ? 物語から“明日の我が身の行方も知れず”な流浪の旅が無くなっ
てしまったせいか、一巻より更に平坦で盛り上がりの弱い内容という感触だったなぁ。
ただ、真っ平らではなく一応起伏の山や谷は盛り込まれている筈なんだけど、なんだ
かテンションが上がるべき所で上がらないし、何処読んでもだら〜っとなってしまい、
大抵「へー」とか「ふーん」で済んでしまう辺りは一体どうすればいいんだろう?
卵泥棒の一件、ペトル王国の国王が抱えている秘密、興味深く惹かれる要素は幾つか
あるにしてもイマイチ面白さに乗り切れないのは何故? 多分シン、ラトキス、ファナ
が今後どういう道を辿ってゆくのか……という意思や考え方を示す部分とあまりうまく
噛み合ってないから。事件との関連性が薄いって感じなのかなぁ。三人のそういう心理
描写もあまり描かれてなかった気がするし、物足りなさを覚えたのもその辺りか。
既刊感想:1
□2006/06/17(土)ご愁傷さま二ノ宮くん3
(刊行年月 H17.05)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:鈴木大輔/イラスト:高苗京鈴/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
ラブコメオーラ大放出していながら、ラブコメがメインと踏まえて読んだりすると、
「あれっ? 想像してたのと何か違うな」となる事も時にはある。真由の過去とサキュ
バスの性質を掛け合わせると、かなりシリアスな雰囲気が出来上がる。この辺りがラブ
コメにはならない裏側の深刻な事情。サキュバスとして男性の精気を吸わなければなら
ないのに、重度の男性恐怖症を抱えている。騒いでばかりはいられないよなぁ。
特に今回は終盤の真由が相当にやばかった。蓄積されて爆発したサキュバスの禁断症
状が表に出るとこんな酷いものになるとは……。同時に麗華が凄く嫌な娘に見えてしま
って困った。そう読み手に思わせるよう意図的に仕組んでいるのだろうけど、それが分
かっていても麗華に対して嫌悪感が積もり積もって参った。紛れもなく最強のツンデレ
キャラなんだけど、今回は矛先が峻護ではなく真由の方に向いちゃってたからなぁ。
しかし前巻からずっと麗華の存在感に押されて圧倒されっ放しだった真由も、負けな
い意思を強烈にアピールした事で巻き返し。ようやく対等の立場になり峻護争奪戦のス
タートラインに並んだ感じ。まあ峻護のあまりな蚊帳の外っぷりが気になると言えば気
になるけれど、優柔不断なへなちょこ野郎が強調されないだけまだマシなのかな。
サキュバスの問題を抱えてる限り、今後もラブコメに傾倒はしなさそう(今回触れら
れなかった麗華に潜むサキュバスの事もあるし)。とは言え峻護を巡る戦い重視でやっ
て欲しいとは思うのだけど。あと麗華は次は良いツンデレを見せてくれたらいいな。
既刊感想:1、2
□2006/06/17(土)天高く、雲は流れ3
(刊行年月 H08.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:冴木忍/イラスト:森山大輔/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
ぬうう〜なんか話の進みがおそ〜い……と唸りはしたものの、明確な殺意を宿してフ
ェイロン一行の旅を妨害する強敵・ライフォンが登場したり、捕らわれていたユメが失
踪してしまったり、全く動いてない訳でもないので差し引きちょいマイナス程度。
でも第三藩王が不穏な動きを見せている、という情報を元に旅立ったのが1巻ラスト
だから、そろそろ第三藩王の中心地帯に切り込んでくれないとダレて来るぞ〜。今回や
っと領地内に入ったはいいが、暗躍するライフォンの攻撃『カマイタチ』に翻弄される
ばかりで全然先に進めてないんだよねぇ。急ぎ焦れば足元を掬われてしまうってのもあ
るのかも知れないけれど、第三藩王の動向も早く知りたい。もう少しの辛抱か。
そういや金色の虎は今回も姿見せてたけど、やっぱりその正体は簡単には明かしてく
れなかったな。多分物語の重要な要素だと思うので、これは想像を巡らせつつ気長に待
つしかないのかも。他に気になるのはユメの行方。結局今回最後まで戻らなかったのだ
けど、果たして捕らえられたのか裏切りなのか、どちらの可能性も否定出来ない。
毎度不幸を背負い込むパジャは今回も良い不幸キャラでした。でも前巻船酔いで役立
たずだった汚名は返上出来たかな? 返上した後はお荷物になり下がってたけど。
既刊感想:1、2
□2006/06/17(土)君の居た昨日、僕の見る明日3 ―And Today You Standing―
(刊行年月 H17.07)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:榊一郎/イラスト:狐印/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
今回は書き下ろしではなくドラゴンマガジン掲載分を収録。主人公もこれまでの優樹
ではなく半人前陰陽師の少女アグニエシカ。連載版の主人公ってとこか。この作品もま
た富士見ファンタジア特有の書き下ろし刊行と雑誌連載を平行している(連載はもう終
わったのかな?)のだけど、別々に分けるのかと思ってたらそうではなくて、両方を混
ぜて一本の線に束ねて纏めてゆく模様。今の所は混ざってみても別段違和感もなく、賑
やかなキャラクターが迷い込んで加わった事で、より楽しさが増したという印象。
まあなにはともあれ新キャラのアグニエシカ。突然幽霊学校に迷い込んでしまった自
らの現状をなかなか受け入れられず認められず、大元の詩月を払おうと騒がしくてやか
ましい。重い過去を背負いつつも打ち解ければ明朗快活な感じで好感度もなかなか。
しかし最初は特にツンデレってイメージはなかったんだけど、とあるイベントで優樹
を意識し始めてから、急速にその性質がアグニエシカの中で大きくなったなぁと。25
8頁の台詞なんてもろにツンデレキャラしてて何か微笑ましくなってしまったよ。
そしてアグニエシカがこうなった事で詩月に恋愛感情が芽生えた……か? 本人全く
自覚してない程に微量だけど、無意識でも確かにそういう素振りは見せてた。とりあえ
ず私が望んでる方向へ一歩前進。でもまだまだ元の世界へは戻れそうにないな。
既刊感想:1、2
□2006/06/16(金)烙印よ、虚ろを満たせ。SCAR/EDGE2
(刊行年月 H17.09)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:三田誠/イラスト:植田亮/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
烙印システム実験都市<オケアーノス>が舞台。閉鎖空間での“傷”持ち(スカード)
同士の激しい死闘。キズナと過去にまつわるエピソード。一応巻数付いてるけど、前巻
終わらなかった所から持ち越しての続きという感じではなくて、今回から新展開という
印象(前巻読んでから間を開け過ぎたせいか、一部記憶が欠落しているような気もしな
いでもない)。まあ自分の感想改めて眺めてみた限りで、前巻ラストは綺麗にうまく纏
まっていたようなので、新展開って感触もまるっきり見当違いではないのかなと。
キズナまたもやボロボロに傷付きながらも、ちひろの行動力に支えられて最後は一応
良い方向で幕。何となくぎくしゃくした感じの二人の距離も、危機的状況の中で共に戦
った事で随分縮まった模様。ただ、キズナが<カッサンドラ>の予言通りにはさせなかっ
たカラの事だけは気掛かりとして残ったけれど(かなり絶望的な物言いしてたから、元
気な姿で登場する可能性は低いのかも知れない)。そして今後の展開。毎巻きちんと話
を纏めてくれているので、逆に次どうなるか分からない。幾人か伏せられていた『名も
なき七人』が徐々に表に姿を現しつつあるので、メインはそこで落ち着くのかな?
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