NOVEL REVIEW
<2006年12月[後半]>
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12/31 『VS−ヴァーサス− file4 そびえ立つ海』 著者:麻生俊平/富士見ファンタジア文庫
12/28 『VS−ヴァーサス− file3 グリーン・ドリーマーズ』 著者:麻生俊平/富士見ファンタジア文庫
12/26 『ホーリィの手記6 星の声、時の歌』 著者:加藤ヒロノリ/富士見ファンタジア文庫
12/24 『ホーリィの手記5 エスタルの神聖騎士』 著者:加藤ヒロノリ/富士見ファンタジア文庫
12/22 『A君(17)の戦争9 われらがすばらしきとき』 著者:豪屋大介/富士見ファンタジア文庫
12/21 『A君(17)の戦争8 うしなうべきすべて』 著者:豪屋大介/富士見ファンタジア文庫
12/17 『デビル17[6] 鮮血の学園祭(中)』 著者:豪屋大介/富士見ファンタジア文庫


2006/12/31(日)VS−ヴァーサス− file4 そびえ立つ海

(刊行年月 H16.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:麻生俊平/イラスト:硝音あや/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  今回の事件を引き起こした黒幕は実は○○であった……と、この○○の中に入るべき存 在の“意外性”みたいなものを期待してたんだけど、ちょっと期待し過ぎただろうか?   いや、次郎が命を張って必死こいて真犯人の手掛かり探してるのに一向に掴めないもん だから、なんかこう真実を知ったら衝撃が走るような展開が待っているのかなぁ……なん て勝手に思ってたもんだからね。序盤で次郎に絡んできた軟派野郎がすげー怪しさ大爆発 だったので、「絶対こいつが黒幕だ真犯人だ」と鼻息荒くしてたのに、結局次郎の同情心 を引き出す役割でしかなかったのかと(ほんの僅かな出番であれだけ見事に“嫌なやつぶ り”を演じていたので、こうもあっさり幕を下ろしてしまうのは勿体無い気がした)。  他に次郎と蒼の関係はどうだろう? って事。まあ正直よく分かんない。とてもパート ナーとして噛み合っているとは言い難いんだけど、無意識の内に相手の本質を理解してい る節があるような……この辺りの微妙な関係はもっと掘り下げて描いて欲しいと思う。  既刊感想: 2006/12/28(木)VS−ヴァーサス− file3 グリーン・ドリーマーズ
(刊行年月 H16.07)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:麻生俊平/イラスト:硝音あや/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  またえらく久々な続きもの(最近読むシリーズ読むシリーズこんなんばっかりだ)。ま た前の感想頼りにしつつ頑張って思い返してみる。ええと……<ヴァーサス>という組織 があって、<流出技術(アウトフロー)>と呼ばれる超科学技術を悪用した犯罪と戦う少 年と少女の物語……か(自分に思い出させる為に妙に説明っぽくなってごめんよぅ)。  あと“特撮変身ヒーローもの”っぽいジャンルを物語の中で色濃く描いているのも特徴 の一つ。もっとも、前巻までの段階だと変身シーンで魅せる描写が濃過ぎるくらいに濃か ったような気がするんだけど(この辺も記憶が曖昧)、今回は変身の見せ場よりも数歩先 に進んだ段階での見せ場が存在していたので、あまり派手さはなかったかも知れない。  数歩先ってのは、変身して特殊能力を得て戦いを覚えたその先――次郎が<流出技術> に相対する時に抱える様々な感情について。ただ単に力を振るって『悪』と見なされた存 在を叩き潰すだけなら難しく考える事は何もないのだけれど、次郎の場合はそんな簡単に 割り切れる性格ではないから、様々な葛藤を抱える姿がキャラクターとしての魅力に繋が ってくる訳で。一見して熱血単純馬鹿のようでいて、その実敵であっても“生きている相 手”に力を振るう事に躊躇いを覚えてしまう。一方で彼の対となる蒼は次郎と全く逆の性 格――無表情無感情で相手への攻撃を一切躊躇わないが、相手の感情を読み取って考える 事が殆ど出来ない。イメージとしては炎(次郎)と氷(蒼)みたいな感触だろうか? 今 回はこの二人の性格の対比が事件を通して密に描かれていた事が印象的だったかなと。  既刊感想: 2006/12/26(火)ホーリィの手記6 星の声、時の歌
(刊行年月 H16.04)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:加藤ヒロノリ(原案:安田均)/イラスト:桜瀬琥姫/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  シリーズ最終巻。んんん〜……盛り上がりのピークは前巻のボルカノ絡みの所で、それ 以降から今巻の物語ラストまではやや下火状態が続いてしまったか? ってのが正直な所 で。そういや前巻はボルカノの過去エピソードが大半の旨味を掻っ攫って行ってしまい、 ホーリィにとっての“敵対者”みたいなものがあんまり表に出て来なかったからなぁ。  最後で微妙な手応えになってしまったのは、そこら辺の物足りなさを今回穴埋めし切れ ていなかったのが原因かも知れない。展開が駆け足……ではなかったと思うんだけど(4 00頁ちょいあったし)。例えばホーリィの中にあるもの――本来の白と潜在的な黒の二 面性の能力は何だったのか? 或いはセトが過去のエスタルを混乱の渦に陥れたりホーリ ィの双子の娘を攫ったりしたのは何故か? など、これらは非常に重要な位置を占める要 素なのだけど、ハッキリしたのは本当に最後の最後だったから、充分語り尽くすにはちと 尺が足らなかったかなぁと。掴み切れない所を残したまま終わってしまったのが惜しい。  既刊感想: 2006/12/24(日)ホーリィの手記5 エスタルの神聖騎士
(刊行年月 H15.11)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:加藤ヒロノリ(原案:安田均)/イラスト:桜瀬琥姫/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  色々記憶から欠落していた部分があったので、過去感想眺めながら頑張って中身を思い 出しつつ読んだのだけど……こんなにもどシリアス一直線な展開とは想定外もいいところ だ。しかながら、これは盛り上がりとしてはかなり良い方向に傾いてくれたんじゃないだ ろうかと。急転直下な展開は前巻のラストで既に起こっていたらしいのだけど(ボルカノ の行方をホーリィが追っているのを見るに、劇的な状況での別れがあった模様)、今回は おそらく前巻までの衝撃を軽くぶっちぎってしまう驚愕の出来事が起こってしまった。  あー……これは本当に全く欠片も想像が及ばなかった。あまりに唐突で「嘘だろ……」 と呟く事しか出来なくて。ホーリィとボルカノは何だかんだで想い合っていると信じてた から、どれだけ離れていても最後にはきっと……という気持ちがあったんだけどなぁ。  ただ、この展開だからこそ、ど真ん中に差し込まれたボルカノ主役の外伝エピソードが 非常に重く活きて来る訳で。結局彼の口から直接ホーリィに語られる事は叶わなかった回 想。ボルカノの過去が明かされたと同時にホーリィの過去もこれで全て明かされた事に。 果たして彼女は運命に導かれて結ばれた伴侶と共に、どのような結末を迎えるのか。  既刊感想: 2006/12/22(金)A君(17)の戦争9 われらがすばらしきとき
(刊行年月 H18.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:豪屋大介/イラスト:玲衣/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  これだけ頁数が少ないと、読む前から繋ぎだと分かってしまう訳だ。これで逆に進展 が速過ぎても多分物足りなくて困ってしまってたろうから、どうやっても充分満足って とこまでは漕ぎ着けられなかったと。ランバルト軍は数で押し通そうと総攻撃に徹し、 魔王軍は仕掛けられたら応戦する形で防御に徹し……とこの辺は前巻までと一緒。  動きがあったのはシレイラ自らが最前線間際に立った事と、剛士の心境かな。果たし て両雄が直接戦場で顔合わせるまでに、あとどれだけ巻を重ねればいいのやら。どちら も相手の動きを的確に予測しつつ、想定外の事態にも表向きでは決して慌てず騒がず捌 き切り、今の所戦局は五分五分のように見える。しかしながら、相変わらず攻め立てら れている側の魔王軍が一向に不利に感じないのは、未だ謎のベールに包まれていて全貌 が掴めない『ヤヌス作戦』の影響が大きいのかどうか。いや、剛士自身が味方にも意図 的に隠しているもんだから、作戦内容がサッパリ分からないんだよね。今回のラストで ようやく脅威の一端が垣間見れたような気もするけれど、続きは何時出るのかなぁ。  既刊感想: 2006/12/21(木)A君(17)の戦争8 うしなうべきすべて
(刊行年月 H17.04)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:豪屋大介/イラスト:玲衣/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  こっちも久々だ〜。どうやらランバルト軍による魔王領総攻撃の直前で長らく読むの を止めていたらしく、そういや思いきり前巻から引き摺りつつ続いてたんだなとようや く実感が湧いて来た。ただ、話が大きく動いたかと言えばそんなでもなかったけど。  単純に流れだけを追うとするなら順当以外のなにものでもなく、ランバルト軍の圧倒 的戦力を見れば魔王領側が防戦一方になるのも当然の事な訳で。もっとも、それでも攻 め立てているランバルトに優位性が感じられないのは、魔王領総帥・小野寺剛士に絶対 不利な戦局を一気に引っ繰り返すだけの秘策がきっとあるのだろう……と期待させられ てしまうから。結局今回もその可能性を匂わせるだけに留まってしまったのだけど。  一向に話が進まんのは、いつの間にか現実世界のあれこれを引き合いに出してみて、 “おファンタジア”のあれこれとやたらと比較してみる事で、本筋から微妙に横道逸れ たり脱線したりしてばかりいるから。ずっと前からこんな具合だから既に慣れてはいる にしても、妙に脱線箇所が多いなと感じられたのは久々に読んだからだろうか? まあ 次で魔王領側の秘策が派手に打ち上がる気もするので、そうなるよう願ってみる。   既刊感想: 2006/12/17(日)デビル17[6] 鮮血の学園祭(中)
(刊行年月 H17.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:豪屋大介/イラスト:藤渡/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  中編なんだけど、この進展具合ではまだ半分も語られてないんじゃないだろか。病床 にある天崇神起教の教祖と、唯一の跡継ぎである一人娘・柏葉綺羅を中心に置き、如何 にして対抗馬を蹴落とそうかと睨み合いを続ける各勢力達。それぞれが徹に接触するに 連れて、ようやく何を目論んで動いているのか見え始めてきた感じ。とは言え、思惑が ごちゃごちゃ複雑に絡み合っている為、この先どうなるのかはまだよく見えないな。  今の所徹が学校生活の日常で主に関わっているのは、綺羅と彼女の護衛の愛姫&美姫 なんだけど、少なくとも表向きは何も抱えてなさそうな綺羅はともかく、愛姫と美姫は 単純に味方と割り切れない所があって。護衛とは別に暗躍している部分が果たして徹に どのような影響をもたらすか……中盤以降出番が無かったのでこの辺も持ち越しか。  あとは新たに手に入れた奴隷の調教と新境地の開拓と。少な目な頁数の内半分くらい はセックスに塗れていたかな? 大低ノーマルじゃないから極めて濃いやつ。徹の場合 は目的を達する手段として女の奴隷化に手を染めているから、止めようとしても所詮無 理なんだろうなぁ。まあそっちは程々にして、そろそろ一気に物語を押し広げ進める爆 発力が見たいのだけど……ここまで順調に巻を重ねて来てたのに、急に続きが途絶えて しまう。ここから一年半以上も音沙汰がなくて続刊予定が未だ無いんだよねぇ……。  既刊感想:[1][2][3][4][5]


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