[前] [戻る] [次]
01/13 『グランダイバーズ 悪魔が最後にやってくる!!』 著者:青田竜幸/富士見ファンタジア文庫
01/11 『流血女神伝 喪の女王4』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
01/10 『ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
01/08 『ブラック・ベルベット 緑を継ぐ者と海へ還る少女』 著者:須賀しのぶ/コバルト文庫
01/06 『マリア様がみてる クリスクロス』 著者:今野緒雪/コバルト文庫
01/03 『マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵』 著者:今野緒雪/コバルト文庫
01/02 『マリア様がみてる イラストコレクション』 著者:今野緒雪・ひびき玲音/コバルト文庫
01/02 『マリア様がみてる 仮面のアクトレス』 著者:今野緒雪/コバルト文庫
01/01 『VS−ヴァーサス− file5 <V>と<S>』 著者:麻生俊平/富士見ファンタジア文庫
□2007/01/13(土)グランダイバーズ 悪魔が最後にやってくる!!
(刊行年月 H16.07)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:青田竜幸/イラスト:蓮見桃衣/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
シリーズ第3巻にして最終巻。主役がブロウ、シェルと続いて最後は残っていたアンリ
の番。と言っても「主役……か?」みたいな微妙な立場に置かれていたのは不憫な気がし
ないでもない。なにせ正義の宣教士から一転してラスボスになっちゃうんだもんなぁ。
アンリの場合は性格に表と裏があって、更に奥深く封印されている第三人格まで存在し
ていて、それらが代わる代わる主人格として現れるもんだから収拾がつかなくなり大変な
状況に。入れ代わる度により最悪な方向へ事態が傾くもんだから、封印人格が解放された
時は「こりゃもうこの世界滅んだな」とか意外と達観しながら成り行きを眺めてたのだけ
ど、でもこれって何処かでブロウが何とかしてくれるだろうって思ってたからかも。
まあ今回できっちり纏め上げなきゃならなかったらしく、かなり強引な手段で収めてし
まった感じはするんだけど、ラストは適度な余韻を残す綺麗な終わり方だったんじゃない
かなと。ただ、アンリの封印人格や、結局詳細が語られる事は無かったブロウの生い立ち
などは、もっと小出しにしながらシリーズを続けて欲しかったし、著者の方もそうしたか
ったのではないだろうか? というのは勝手な憶測だけど。この辺は仕方がないか。
既刊感想:三匹、荒砂に舞う
不死者は、遠き故郷より
□2007/01/11(木)流血女神伝 喪の女王4
(刊行年月 2006.08)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:須賀しのぶ/イラスト:船戸明里/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
ユリ・スカナの歴史に燦然とその名を刻んだ偉大なる女王逝く……。実際にそうなのか
どうかは別として、神の意思の介入がとかく強調されている物語なもんで、誰がどう見て
も“己の力で己の運命を切り開いて歩んで来た”ようでいて、その実「神の意のままに導
かれた運命だったんじゃないだろうか?」なんて風に思えてならない。この辺りの気持ち
がもう何とも表現しようもないもので……どうしようもなく遣る瀬無くなってしまう。
とりわけバンディーカの過去に触れる度にこんな「もし〜だったら」ってな事を考えた
りしてたんだけど、本当に神の意思が働いてるんだとしたら自力で運命を切り開く事なん
て出来ないじゃないか! 必死になっても虚しいだけじゃないか……とガックリ肩を落と
す事になる訳で。バンディーカの最期間際の衰退ぶりを目の当たりにしてしまうと、余計
に“彼女自身が選んで辿り着いた終着点”とは必ずしも思い切れなくて……。
もしどうにもならない意思に対し人の身で抗えるとしたら、やっぱり激動の道を現在進
行形で歩み続けているカリエに期待を寄せてしまうのだけれど、相変わらず翻弄されっ放
しだなこの娘は。現時点で最も出会って欲しくないと思ってた人と巡り会ってしまったし、
原因作ったらしいサルベーンの動向もよく分からんし、どう転ぶか先が読めないねぇ。
既刊感想:『流血女神伝』感想一覧
□2007/01/10(水)ブラック・ベルベット 菫咲くころ君を想う
(刊行年月 2006.05)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:須賀しのぶ/イラスト:梶原にき/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
シリーズ第4巻。何ていうか……大主教達の協調性の無さは酷いな。とは言え『全ては
ヴァルカーレの為に』という信念が共通して彼らの中に存在している限り、別に協調性が
あろうがなかろうが大した問題ではないのかも知れない。ただ、もっとこう威厳に満ち溢
れているようなイメージがあったもんで、子供染みたサンティスとナダルの罵り合いなん
かは思わず見てて吹き出してしまったぞ。まあこういう偉い人達って大概性格がどっか変
な方向に捻じ曲がってるんじゃないか? って想像は割と当たってた気もするけれど。
で、今回はハル神父が主役的位置付けなエピソード。この人、結構過去に関する謎が多
くて何となく近寄り難い存在だったのだけど、過去の悲恋が語られた事によってぐっと身
近で親しみ易い存在になったと思う。だって、ここまでやられたらハルに肩入れせずには
居られないでしょ? 逆にルヴィエのあまりにもあまりな外道さが、結局はハルを一層際
立たせる役でしかなかった事を考えると、私怨によって狂気に走り私怨によって滅んだ彼
が哀れに思えてならない……なーんて事はない。ハルに対する憎悪がここまで歪んでしま
うと、最後の方はもう救い様がなくてねぇ。ハルは少しでも救われたようで良かった。
外道と言えばヴァルカーレも相当の外道野郎だ。キリの過去もなかなか衝撃的で刺激的
で興味深いものだったなぁと。キリに対しては当初クールビューティーな印象を抱いてた
筈なんだけど、精神的な脆さを表に見せ始めてから徐々に可愛くなって来ているね。
既刊感想:神が見棄てた土地と黒き聖女
病める真珠が愛した司祭
緑を継ぐ者と海へ還る少女
□2007/01/08(月)ブラック・ベルベット 緑を継ぐ者と海へ還る少女
(刊行年月 2005.08)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:須賀しのぶ/イラスト:梶原にき/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
シリーズ第3巻。ジョンやレインボウの思わせ振りな態度から、「多分そうなんじゃね
ぇかなぁ?」って予感は抱いてた。でも、お先真っ暗な状況を何とかしたいが為にここま
でキリが大胆に一気に行動を起こすとは思ってもみなかった。そもそもシルヴァーナの目
から逃れられるわけがないと考えてたからなぁ。まあシルヴァーナからしてみれば、キリ
の行動など容易く先読みしつつも、あえて望む通りに逃してみたってとこだろうけど。
今回は何はともあれこの結末について。途中までは希望も可能性も充分とは言えないま
でも多少は持たされていたから、「どうにかして欲しい」という気持ちに力を込めながら
読めていたけれど、終わりが近付くに連れてもうどうすりゃいいのか分からなくなってし
まったよ……。何となくこういう結末に辿り着くってのは予想も覚悟も出来てたんだけど、
実際それを突きつけられたら予想以上にダメージがでかくて参った。キリの心中はどうだ
ろうねぇ。勢いのままにディートニアまで突っ走って来て、お偉いさん達がこのまま黙っ
てファウラーに帰すとはまず思えないし、キリ自身も直ぐ何処か他の場所へ動く気にはな
れないだろうし……。ここまでが序章との事で、次からの新展開が非常に気になる所。
既刊感想:神が見棄てた土地と黒き聖女
病める真珠が愛した司祭
□2007/01/06(土)マリア様がみてる クリスクロス
(刊行年月 2007.01)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:今野緒雪/イラスト:ひびき玲音/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
シリーズ第26巻。バレンタインデー本番。ベースは去年と同じく『次期薔薇様のお宝探
し』で、細部に色々と手が加えられバージョンアップを遂げたイベント。カードを隠す側
の様子は本編イベントの後で描かれていて、隠す場所やその場所を選んだ意図なんかは三
者三様の性格がもろに反映されていてちょっと面白いなと(白薔薇カード隠し場所の解答
は次巻へ持ち越されてしまったので、志摩子が選んだ場所はハッキリしなかったけど)。
そういや去年度のバレンタインデーってシリーズ5巻と6巻だから、今思い返してみて
シリーズ初期の頃の出来事だったんだなぁ……と、しみじみ感じるのはそれだけ長く続い
ている事の表れか(そりゃ作中で1年以上も経てば色んなイベントが起こるよなぁ)。
そして……遂にと言うのかとうとうと言うのか、ラストで巨大爆弾投下。さあ、これで
おそらくもう待った無しでしょ? とか思わせておきながら、まだ引っ張る可能性があり
そうな気もするけれど。しかしこんなとこでおあずけ食らわされるのはたまったもんじゃ
ない! と愚痴りつつも、それ以上に期待感で膨れているので楽しみに心待ちにするしか
ない。以前祐巳が瞳子にロザリオを渡そうとした時は明確な結果が語られていたけれど、
今回は全く逆の立ち位置で結果は次へ持ち越し。いよいよ決まるのか? それともまだ波
乱が待ち受けているのか? 果たして祐巳はどのような言葉を瞳子に返すのだろう。
既刊感想:『マリア様がみてる』感想一覧
□2007/01/03(水)マリア様がみてる 大きな扉 小さな鍵
(刊行年月 2006.10)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:今野緒雪/イラスト:ひびき玲音/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
シリーズ第25巻。帯の『瞳子の秘密が明かされる!?』はちと誇大表現な気がしないでも
ないけれど(読み進めていけばそんな所かなと想像浮かべるのは割と容易いので)、これ
までの祐巳に対する瞳子の数々の行為について、ようやく真の意図が明らかにされたとい
う意味は非常に大きなもの。何せこれまで瞳子が大なり小なり騒動に発展する行動を起こ
す度に、「この娘は一体何を考えてこういう事を起こしているんだろう?」なんて考えて
しまってたもんだから。要は必要に応じて装着していた仮面の下の素顔を窺い知る事が出
来なかった(と言うよりさせてくれなかった)訳で。それが今回ようやく、本当にようや
く仮面を外して素顔を見せてくれたお陰で一気に進展してくれたんじゃないかな?
今回瞳子を中心にストーリー展開を追う事でとりわけ目立っていた要素が二点。ひとつ
は祐巳の瞳子への接し方。物凄く苦手意識があるように思えてた頃が嘘か冗談だったかの
ような“お姉さま”な対応にびっくりだ。生徒会役員選挙を経て、確信を持って瞳子の真
意を把握出来たからだろうか(まだ瞳子が負けるのを目的に立候補した、という心理状況
の説明はハッキリなされてないのだけれど)。もう一つは乃梨子の存在。瞳子にとっては
想像以上に大きな支えだったようで、この巻のラストシーンは凄く良かったなぁ。
瞳子の感情が大きく動いたので、これで祐巳の妹選び問題もいよいよ大詰め……か?
既刊感想:『マリア様がみてる』感想一覧
□2007/01/02(火)マリア様がみてる イラストコレクション
(刊行年月 2006.08)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:今野緒雪・ひびき玲音/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
『くもりガラスの向こう側』までの表紙イラスト、雑誌Cobaltで掲載されたイラ
スト&コミック、グッズ関連に使用されたイラスト、あまり表に出ていないらしい秘蔵イ
ラスト、それらにショートショートを加えた、タイトル通りイラスト尽くしの一冊。
イラストメインなので普段書いている感想とは違うんだけど、まあ私自身はマリみてイ
ラストのどれも好きなので、こういうイラスト総集編みたいな内容も凄く良かった。一応
小説表紙に絞って語ってみるなら、初期の頃のキャラクター像はシャープで大人びている
感じがして(特に第1巻の祐巳と祥子見てそう思った)、徐々に丸みを帯びて柔らかくな
って来ているかなぁという印象。この辺は文章とはまた違うので、ちと曖昧な表現かも知
れないけれど……。好みで言うと『ウァレンティーヌスの贈り物(後編)』『真夏の一ペ
ージ』『薔薇のミルフィーユ』辺り。特に祐巳、由乃、志摩子の3ショットが好きだな。
ショートショートの方は、まだ心臓病を患っていた頃の由乃が、令からロザリオを受け
取って姉妹になるシーンを描いたエピソード。あ〜そういやこれは今までの中に無かった
っけなぁ。黄薔薇姉妹は色々と面白い話が多いので、既にやってたものと思い込んでた。
今とは違い気弱な雰囲気ながら、芯に今と変わらない活発さが垣間見えた由乃が印象的。
既刊感想:『マリア様がみてる』感想一覧
□2007/01/02(火)マリア様がみてる 仮面のアクトレス
(刊行年月 2006.07)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:今野緒雪/イラスト:ひびき玲音/集英社 コバルト文庫]→【bk1】
シリーズ第24巻。おおよそ出来レースな生徒会役員選挙に急遽瞳子が名乗りを上げた事
で、一石を投じ波紋が広がる形となったエピソード。山百合会メンバーに対する生徒達か
らの尊敬や羨望の眼差しが多分に含まれた支持は絶大だから、祐巳、由乃、志摩子の三人
が落選って事態に陥る可能性は万に一つも有り得ない。ただ、他に立候補者が現れた場合
は100%当選確実……とは言い切れない訳で。ふと、リリアンの歴史を遡ってみて「山
百合会メンバー以外の立候補者が当選した事はあるんだろうか?」なんて事を調べてきた
くなったり。でも薔薇様方の存在が創立から引き継がれているならば、そういう異常事態
は例がないだろうなぁとか(だからこそプレッシャーも結構掛かると思うのだけど)。
祐巳の場合は自分の当落の心配より、瞳子が立候補した事に飲まれちゃってどうしよ〜、
ってな方向に気持ちがぐらぐら傾いてばかりでさあ大変……な状況。もっとも、最後はち
ょっとした切っ掛けを得て腹を括る事が出来たし、前向きに考えて進む祐巳らしさが戻っ
てくれてホッと一息。しかし肝心の瞳子の意図はサッパリ分からんね〜。母親に選挙の事
を語っていた(らしい)姿が本心であり素顔なんだろうか? ここまで難儀だともう引き
延ばし云々ではなく、最初から祐巳が『妹選び』で難儀な段階を踏んでゆくのを想定して
描かれているのかなぁと思えるようになって来たので、黙って行方を見守る事にする。
既刊感想:『マリア様がみてる』感想一覧
□2007/01/01(月)VS−ヴァーサス− file5 <V>と<S>
(刊行年月 H17.07)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:麻生俊平/イラスト:硝音あや/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】
シリーズ最終巻。なんだけど、最終巻だと指摘されなきゃ確実に「まだまだ続くんだな」
と今後の展開に期待を寄せてしまう終わり方。要するに“これからが俺達の本当の戦いが
始まる!”エンドで、見事なまでにバッサリ打ち切られてしまってもうガックリ……。
こういう『最終巻』ではあっても『完結』はしていない結末ってのは、書き手にとって
も読み手にとっても不本意なものだと思うのだけど、この作品に関しては特に著者の方の
無念さがあとがき一杯に滲み出ていて切ないなぁ……。ただ、本来進んで欲しいと思って
いた方向へなかなかストーリーが展開してくれない、という歯痒さがあったのも確かで。
元々次郎はヴァーサスの一員として<流出技術>の悪用が引き金で起こる事件を追うの
ではなく、家族を滅茶苦茶にした高エネルギー人間(後のRタイプ)殲滅の為に戦いに身
を投じていた筈。それなのに何時まで経ってもRタイプ達と絡まないので、途中から行く
先がイマイチ定まらなくなってたような気がして。或いはもう少し<流出技術>とRタイ
プとの繋がりを描いた上で大きく動かす予定だったのかも知れないけれど、そこまで進め
られなかったのかな……とか。蒼の事も未だ分からない所があるし、次郎との絆を描く部
分も充分とは言えず、伏線も幾つも残されたままで口惜しさばかりが残ってしまった。
既刊感想:1、2、3、4
[
戻る]