NOVEL REVIEW
<2007年01月[後半]>
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01/31 『ドラゴンズ・ウィル』 著者:榊一郎/富士見ファンタジア文庫
01/31 『神々の砂漠 風の白猿神』 著者:滝川羊/富士見ファンタジア文庫
01/30 『激突カンフーファイター』 著者:清水良英/富士見ファンタジア文庫
01/29 『ブートレガーズ 神仙酒コンチェルト』 著者:宇野耕平/富士見ファンタジア文庫
01/24 『カレイドスコープの少女』 著者:内藤渉/富士見ファンタジア文庫
01/23 『僕僕先生』 著者:仁木英之/新潮社
01/21 『エレメント・マスター2 イヅキ様の熱愛祈願!』 著者:弐宮環/富士見ファンタジア文庫
01/21 『ジェスターズ・ギャラクシー4 愚神のために恋歌を』 著者:新城カズマ/富士見ファンタジア文庫
01/21 『スプラッシュ!3 黄金の旅人、はばたく!』 著者:三田誠/富士見ファンタジア文庫
01/19 『竜皇の凱歌 アーヴィン英雄伝4』 著者:北沢慶/富士見ファンタジア文庫
01/18 『ワイルドキティ2 あたしに運命決めさせて!』 著者:神代創/富士見ファンタジア文庫
01/18 『鞍馬天狗草紙 二 天空を翔けるもの』 著者:成田良美/富士見ファンタジア文庫


2007/01/31(水)ドラゴンズ・ウィル

(刊行年月 H10.01)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:榊一郎/イラスト:田沼雄一郎/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  第9回ファンタジア長編小説大賞『準入選』受賞作。  今や数多くのライトノベルレーベルで出版されている多作作家の代表格、榊さんのデビ ュー作。心優しきドラゴン・スピノザと、無鉄砲で活発な『自称勇者の代理人』の少女・ エチカとの触れ合いの物語。最初はスピノザとエチカとの掛け合いがコメディタッチで描 かれているのだけど、徐々に登場キャラクター達がそれぞれに己の存在意義を自問してゆ く……というシリアス展開に。ただ、そんな中でもスピノザとエチカの異種族の友情が、 どんな状況下であっても優しく穏やかな雰囲気を失わずにいさせてくれる。そんな物語。  この作品で特に素晴らしいなと感じたのは、基本的に一冊完結が条件の限られた分量の 中で非常に上手く纏め上げている点。これ、仮にシリーズ化を想定した描き方ならもっと ずっと大風呂敷を広げる事が出来た筈なんだけど、あくまでスピノザとエチカの関係を主 軸にし、それ以外の要素は必要以上に語らない……このバランスが実に絶妙だと思う。  主要登場キャラクターの中ではレヴィン、ラウラ、アタラクシア、皇帝(ルイス)、ス テュワートなど、詳しくは語られなかった設定がきっと色々あったんじゃなかなぁ? そ れに断片的にしか描かれなかったエチカの過去や、殆ど見る事が出来なかったスピノザの 過去などはもっと知りたかったので、その辺が薄めなのはちと残念だったかも。 2007/01/31(水)神々の砂漠 風の白猿神
(刊行年月 H07.01)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:滝川羊/イラスト:いのまたむつみ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  第6回ファンタジア長編小説大賞『大賞』受賞作。  もう何も言わなくてもいいでしょ? ただただ続編刊行を切望しています、とだけ…… じゃあまりにあんまりなのでもうちょっとだけ。火浦功さんの巻末解説によると、当時選 考会で「完結してない作品に賞を与えるのはどうか?」となって、「面白けりゃいーじゃ ん」で落ち着いたらしいのだけど、結局続き出なくて大問題となってしまった訳で。  “まだ幾つかの謎が残されている”ではなくて、“何処を取っても謎ばかりが残されて いる”状況。しかしながら、これで終わっていても「続きが読みたい!」と思わせてくれ るだけの面白さが印象深く存在しているから性質が悪い(勿論褒め言葉で)。宴が幼い頃 に見た破壊神のシルエット、冷凍睡眠で人為的に記憶喪失にさせられたシータの素性、リ ーンや香澄らがシータに触れて抱いた“嫌な感じ”の正体、香澄の夢の中に出て来た化物 染みた存在、箱舟が執拗に狙われ続ける理由、そして宴に語り掛けて来たハヌマーンの中 に在る何か……これだけの謎があって、でも面白くて、それなのに続きが出ないんじゃ身 悶えもするっての! 12年経って読んでも全く色褪せない物語。感想で触れるのは初め てだけど、何度再読して何度続きを望んで来た事か。私は何時まででも待ちますよ。 2007/01/30(火)激突カンフーファイター
(刊行年月 H13.01)★★★★★★☆☆☆☆(6/10) [著者:清水良英/イラスト:しろー大野/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  第12回ファンタジア長編小説大賞『準入選』受賞作。  巻末解説の困惑ぶりが何だか妙に可笑しかった。そりゃこの内容じゃどこから手付けて 解説すりゃいいのか悩むよなぁ。感想書くにもどう書きゃいいのか悩むわ。とりあえずポ イントを挙げるとすれば……“強烈なインパクト”であり“他の同期応募作の中では多分 お目に掛かれなかった内容”であり“一線を画し過ぎている”って辺りなのかな〜と。変 態染みたキャラクター達のノリと、圧倒的な勢いで押し切っちゃうタイプの小説。  但し、アクの強い独自の持ち味が面白さに直結しているかと言えば「う〜ん?」と首を 捻ってしまう部分もある訳で。ストーリー展開なんてもんは殆ど存在しないので、ただひ たすらカンフーファイター達の掛け合いを追い続けるのみ。付いて行けなくて途中で脱落 か、最後まで乗り切って「ご馳走様」と腹をさするかの二者択一。中途半端は多分ない。  準入選という賞を考慮して、まあこういう満足度評点になったのだけど、よくぞ準入選 まで押し上げたよな……と言うのが正直な感想(結構感心混じりで)。でも、次がないの でやっぱり一発屋さんだったのかな? この勢いは次に繋げて欲しかったかも知れない。 2007/01/29(月)ブートレガーズ 神仙酒コンチェルト
(刊行年月 H11.01)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:宇野耕平/イラスト:有田満弘/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  『Dクラッカーズ』や『BLACK BLOOD BROTHERS』で御馴染み、あざの耕平さんのデビュ ー作。しかしあざのさんは最終選考残りで賞を受賞されたのではなかったのね。ずっとこ れが受賞作だと勘違いしてた(ちなみにこの作品は最終選考まで残った応募作ではなく、 その後新たに書き上げた新作だそうな)。あと巻末解説に挙げられていた最終選考作『霧 の都の吸血鬼』なんだけど、もしかして『BLACK BLOOD BROTHERS』の前身だったりするの か? 刊行されなかったと言う事は当然読めないんだろうけど、ちょっと気になった。  んで、この作品の事。禁酒法時代のシカゴが舞台。借金返済の為の密造酒製造、ギャン グにマフィアを相手取り銃でドンパチ……ってな内容。一癖二癖あるキャラクター達が譲 れない主張をぶつけ合ってお互いの懐に踏み込んでゆく姿とか、コメディ寄りで小気味良 いおちゃらけたやり取り、それに銃撃戦メインに展開されているアクションシーンなど、 現在のあざの作品に通ずる作風がデビュー作から盛り込まれていて面白かったなぁと。  ただ幾つか惜しい点も。敵ボスのデイルが意外と小物な奴だったり、リーの素性が殆ど 明かされなかったり、ギルバートとアーネスの回想をもっと描いて欲しかったり……など など。でも概ね満足だったので微々たるもの。「彼らの行く先に幸あれ」と送りたい。 2007/01/24(水)カレイドスコープの少女
(刊行年月 H10.05)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:内藤渉/イラスト:四季童子/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  第9回ファンタジア長編小説大賞『佳作』受賞作。  カレイドスコープ=万華鏡、の少女。序盤は意味を図りかねていて「どこら辺が?」な んて考えながら読んでたのだけど、本編ヒロインであるマーセルの本質を知って「あ〜な るほどね」と納得するのと同時に、タイトルの選び方が絶妙だなと感心させられたり。  しかしながら、感心よりも「う〜ん……」って方が多かったのが正直な所。まず冒頭の 回想で騙された! ……いや、じゃなくて思い込まされたって言った方が正確か? こう いう断片的な物悲しい回想シーンが初っ端から描かれていれば、離れ離れになった少年っ てルディンの事かと想像するじゃないか〜。でも本当は……という事実あって、じゃあ物 語に大きく絡んでいるかと思えばそうでもないし。マーセルがその辺の秘めた想いをちょ っとだけ吐露してたけれど、もっと広げてくれてたら面白くなってたかも知れない。  あとは単巻でこじんまりと纏まってしまってるのが勿体無いとか、ヒロインが分散して いる形なので結局際立った個性が充分見れなかったとか、前述のようなマーセルと彼女の 想い人とルディンとの関係がイマイチ盛り上がらなかったのとか色々と不満が。ただ、世 界観の設定はしっかり練られていたと思うので、もう少し伸ばしてシリーズ展開とかやっ てくれてたら良かったのになぁ……と、今更希望を述べても出るのは溜息ばかりだ。 2007/01/23(火)僕僕先生
(刊行年月 2006.11)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:仁木英之/イラスト:三木謙次/新潮社]→【bk1】  僕僕先生へ恋する自分自身に戸惑う姿なんかを眺めていると、王弁って実際は二十二歳 なんだけど十代にしか見えないよな〜。とか、度々王弁の年齢を実年齢より低く感じたり してたのだけど、その辺は他人との付き合いを極力避け続けてきた王弁のニートっぷりが 如何なく発揮されていて興味深い所だったかと。ただ、彼が本当に筋金入りのどうしよう もない引き篭もり野郎だったら、たとえ惹かれたからとは言え僕僕先生に弟子入りしたり 一緒に旅したりなんて出来なかったんじゃないだろか?。一見脱力感一杯でやる気なさそ うでいながら、所々でハッとさせられる聡明さが顔を出す辺りはちょっと面白いなと。  しかし……中国歴史はからっきしなんだよぅ。前にも何かの作品で思い知らされた記憶 が残ってるんだけど、これ最初から知識として得ているか否かの違いは結構大きいと思う なぁ。勿論これだけで“合わない”と言い切るのは安易過ぎるのだけど、取っ付き難さは どうも……ね(まあ途中から分かんない所は読み流してしまえ〜となっちゃったけど)。  僕僕先生は可愛らしい。凄く可愛らしい仙人様だ。でも、個人的にはそんな僕僕先生以 上に、彼女に弄ばれまくっている王弁君の方が「可愛いなあ」とか思ってしまったよ。 2007/01/21(日)エレメント・マスター2 イヅキ様の熱祈願!
(刊行年月 H15.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:弐宮環/イラスト:森井しづき/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  幼馴染み登場! 結とセルフィスと三角関係にならんかな? とか安易な事を考えなが ら読んでいたのだけど、前巻の内容を色々と思い出して根本的な考え違いに気付く。三角 関係とか何とか言う前に、そういえばそもそも結とセルフィスがどうにも何ともなってな いじゃないかよ。召喚術師と召喚された風属性精霊、それ以上でも以下でもなかったな。  おちこぼれ召喚術師の結はセルフィスを精霊界へ送還しようと頑張り、さっさと精霊界 へ戻りたいセルフィスは結をどつき回して鍛え上げている、という構図。この関係を何ら かの切っ掛けで崩して欲しい――つまりどちらか(希望としては両者)が“相手とは離れ たくない”という気持ちになって欲しいなと。前はそういうの期待して読んでいた気がす るなぁ。今回は間違いなく期待してた。で、僅かに結の方がそうなりつつあるか?  最後でえらいことになっちゃったもんだから、結が告げた想いに対するセルフィスの返 答は得られないまま幕引きされてしまったのだけど、少なくとも何にも感じなかったって 事は無いでしょ……多分。もしセルフィスも同様に思っているなら揺さ振られた筈。  どうなるかは次巻で確認ってとこかな。最終的にはセルフィスを送還するか否かが焦点 になって来るだろうか? まだ気になる所も幾つか残っているのでその辺も楽しみに。  既刊感想: 2007/01/21(日)ジェスターズ・ギャラクシー4 愚神のために恋歌を
(刊行年月 H16.03)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:新城カズマ/イラスト:おもて空良/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  んん〜、今どこら辺で何やってるのか最初全然把握出来なかった〜。ってのは読む期間 が激しく開いてしまったのも原因の一つなのだけど、元々物語中での主要惑星の位置関係 が掴み難かったようないやそんな事は無かったような……ともあれ、巻末の帝国航宙略図 やユンガル/ロスホー境界宙域概略図などを何度も眺めつつ、どーにか頭に叩き込む。  それでようやくちょっとずつ内容思い出してきたぞ、と。帝国政権終焉間際で共和国と 対峙している状況……は既に起こった過去のもので、その過去に名を馳せた『銀河騎兵』 達の生き様を、現在の共和国時代の視点から面白可笑しく語ってしまおう、と言うものだ った(ちょっと違うか?) でも個性的過ぎるキャラクター達はしっかり思い出せたよ。  副隊長べレズの恋物語。他のメンバーからは「似合わねぇ」って意味合い込みで大層面 白がられていたし、恋心とは言い難い微妙な感情だったかも知れないけれど、ベレズとニ ムの不器用過ぎる性格がとことん表に出ていて、淡い恋愛って感じで凄く良かった(まあ このまま進んだ所で最後にこうなりそうだなって予感は何処かにあったんだけど……)。  しかしこれも続き出ないねぇ。富士見ファンタジアは何年越しかの続刊がたまにあるの で諦めてはいないけど。せめて過去語りで帝国の終焉までは辿り着いて欲しいなぁ。  既刊感想: 2007/01/21(日)スプラッシュ!3 黄金の旅人、はばたく!
(刊行年月 H16.01)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:三田誠/イラスト:PEACH-PIT/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  失われていたエリシャの過去の記憶を中心に、黄金郷『モールドレ』に隠された真実と、 それを起動させる三つの鍵『聖鍵』を巡っての争奪戦を描いたシリーズ完結編。確か2巻 目を読んだ辺りではもうちょい長く続くシリーズかと予想してた(と思うが記憶が薄れて るのでなんともなぁ……)のだけど、意外と短期だったかも。おそらくちょこちょこ出て たヴァイツハイト国の情勢の方を、これより密に描いてくれるんじゃないだろうか? と 考えていたから。設定としては完結しても眠っている部分がまだありそうな気もしたんだ けど、その代わり『モールドレ』関連についてはきちっと纏めてくれたので良かった。  あとは読んでいてひたすらエリシャの勢いに引っ張られ続けていた感じ。過去の記憶が 甦り真実と直面した後で、きっとドクターに対してもシビュラに対しても、心の内で荒れ 狂う感情を剥き出しにぶつけたい気持ちがあったんじゃないかな? それでも「やっぱり 好きだから」の一言で前向きに踏み出せる辺り、本当に強い娘だなと心底思わされた。  既刊感想: 2007/01/19(金)竜皇の凱歌 アーヴィン英雄伝4
(刊行年月 H16.03)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:北沢慶(原案:安田均)/イラスト:堤利一郎/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  1巻目のアーヴィン(祖父)から2巻目以降のグレイ(孫)へと受け継がれて描かれて 来た物語もこれにて完結。六門世界史上最大の戦火――人間、オーク、ドワーフ、エルフ、 リザードマン、ケンタウロス、六王国全て入り乱れての覇権を争う大混戦。まさに最終決 戦に相応しい盛り上がりで満足感は上々。前巻までの内容が鮮明な内に読みたかったなぁ ……って自業自得だけど。いつまでも読まないでほったらかしにしてたのが悔やまれる。  しかし確かグレイって祖父のアーヴィン同様ハッタリと逃げ足が専売特許だった筈なの に、なんだかえらく立派に成長しちゃってまあ……とか妙に感心してしまったのは、やっ ぱり長らくこの物語に触れてなかったからだろうか? 望まずとも英雄扱いされている義 弟のハサエルの窮地を救ったシーンでは、「おお、格好いいぞグレイ」なんて言葉が思わ ず漏れてしまったりも。とことん逃げ腰でどうにかこうにか危機を脱して来たこれまでの グレイは見ていて楽しかったけれど、大切な守るべき人の為に必死で戦う凛々しい姿もま た良いもので。こういう雄姿を期待して追い続けて来たのが報われた、といった具合。  ただ、最後にグレイとリューナは添い遂げて欲しいって想いが強かったので、結末は何 とも複雑な気持ちになってしまった。当人同士が納得のゆく道を選んだので、幸せな結末 と言えるのかも知れないけれど……まあ切ないけれど仕方ないと割り切るべきかな。  既刊感想: 2007/01/18(木)ワイルドキティ2 あたしに運命決めさせて!
(刊行年月 H16.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:神代創/イラスト:フミオ/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  反抗期の魔法少女、成り行きで勝手に背負わされた借金返済の為に非合法の仕事に手を 出してあくせく金稼ぐ、の巻。今回のあとがきでは、続きありますよ(もしくは続ける意 欲ありますよ)的な感触があったのだけど、残念ながらこれにてお終い。という事はつま り……という訳なのかどうか。尻切れではなく一応きちんと締めている分だけ全然真っ当 な終わり方ではあると思うけど、それでも語られずに残されてしまった分も結構ある。  まあ結末を見た後に無い物強請りをしてみるならば、キットが隠し続けていた事(魔法 が使えたり非合法な依頼受けてたり多額の借金してたり)は、ジムにはまだ伏せておいて くれた方が面白かったかも。それで銀河パトロール隊員のジムと、やってる事がバレて犯 罪者扱いになってしまうキットとの追いつ追われつな展開になってくれてたら尚良かった かなと。……あくまで続いていたならば、の話だけど。むしろ急いで収束させた本編より、 その後のキットとドゴーの出会いを描いた過去編の方が楽しめていたような気がする。  既刊感想: 2007/01/18(木)鞍馬天狗草紙 二 天空を翔けるもの
(刊行年月 H16.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:成田良美/イラスト:山本ヤマト/富士見書房 富士見ファンタジア文庫]→【bk1】  これもまた前巻の内容思い出すのが大変だ。何せ読んだの三年以上前だから。……元々 人間として生まれ育ったのに、何で自分が鞍馬天狗なんかに選ばれてしまったんだ? と いう理不尽さに日々不満をたらたらと零しながら、人間としての生活の全てを奪った陽炎 という男への復讐を糧に生きる少年・天翔丸の物語。で、今回は中編作が三編。どれも天 狗としては未熟で迂闊な天翔丸がちょっとずつだけど成長してゆく様子が描かれている。  注目すべき点は今回からの新キャラで鞍馬寺の住職・八雲。一見して天翔丸と非常に相 性が良さそうでいて、何か窺う視線に黒さが見え隠れしていて恐いなぁ。絶対裏に一物抱 えているぞこの生臭坊主(とは言えその辺は謎に包まれているから憶測のみだけど)。  あともう一つ、陽炎の存在。彼は所謂ツンデレの“ツン期”というやつだろうか? 本 当は天翔丸が気になって気になって仕方ない癖に、彼の為にとあえて厳しく冷徹に接して いる辺りがそんな感じ。天翔丸と馬が合う八雲を含めて三角関係に発展とか……って三人 とも男だけどな〜。しかしここから音沙汰無くなってしまった。著者の方はアニメ脚本を 現在も書かれているようなので、小説も続き出せそうな雰囲気あるんだけどなぁ……。  既刊感想:


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