NOVEL REVIEW
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04/30 『ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン』 著者:新井輝・築地俊彦・水城正太郎・師走トオル・田代裕彦・吉田茄矢・あざの耕平/富士見ミステリー文庫
04/28 『さよならトロイメライ7 想いの輪舞曲』 著者:壱乗寺かるた/富士見ミステリー文庫
04/28 『ぼくのご主人様!?3』 著者:鷹野祐希/富士見ミステリー文庫
04/28 『マルタ・サギーは探偵ですか?4 恋の季節』 著者:野梨原花南/富士見ミステリー文庫
04/27 『シャドウテイカー5 ドッグヘッド』 著者:三上延/電撃文庫
04/27 『リリアとトレイズII そして二人は旅行に行った<下>』 著者:時雨沢恵一/電撃文庫
04/27 『七姫物語 第三章 姫影交差』 著者:高野和/電撃文庫
04/25 『ガンズ・ハート5 硝煙の鎮魂歌』 著者:鷹見一幸/電撃文庫
04/25 『Missing13 神降ろしの物語・完結編』 著者:甲田学人/電撃文庫
04/25 『憂鬱アンドロイド』 著者:真嶋磨言/電撃文庫
04/22 『僕らはどこにも開かない』 著者:御影瑛路/電撃文庫
04/22 『デュラララ!!×2』 著者:成田良悟/電撃文庫
04/22 『シャドウテイカー4 リグル・リグル』 著者:三上延/電撃文庫
04/17 『TAKE FIVE2』 著者:在原竹広/電撃文庫
04/17 『i.d.III 滅びの王国』 著者:三雲岳斗/電撃文庫
04/17 『ソウル・アンダーテイカー』 著者:中村恵里加/電撃文庫


2007/04/30(月)ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン

(刊行年月 H18.12)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:新井輝・築地俊彦・水城正太郎・師走トオル・田代裕彦・吉田茄矢・あざの耕平/  イラスト:さっち・駒都え〜じ・しのざきあきら・緋呂河とも・若月さな・深山和香・村崎久都/  富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】  読了してから改めてタイトル確認して、初めて「ネコの音」ではなく「ネコのーと」だ と気付かされた自分の鈍さに愕然。いや、それよりも何よりも、こういう内容のを富士見 ミステリー文庫レーベルという商業ルートで刊行出来てしまった事に驚愕。凄いね〜。  大元ネタのあれ、デ○ノートは未読で比較不能だったのだけど、ノートの設定自体は同 じようなモノなのかな?(まあその辺はあんまし気にせずとも読めたけれども)。イベン トの企画から立ち上がったのは読む前から分かっていても、どんな内容かは分からず。最 初の内は各作家の持ちキャラの競演かと思ってたら、いつの間にやら“作家同士の競演” がメインに成り変っていて、読んでいるこちら側は唖然呆然。しかし、「……これ、色ん な意味でいいのか?」→「でもまあフィクションだし(多分)」→「面白けりゃいいんじ ゃね?」みたいな印象の移り変わりで、結局最後には充分満たされている自分が居た。  ちなみに……バトン受け渡し間違えたのが築地さん、受け取り間違えたのが水城さん、 一番の功労者が田代さん、最強萌えキャラが吉田さん……って事で良いのか……な? 2007/04/28(土)さよならトロイメライ7 想いの輪舞曲
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:壱乗寺かるた/イラスト:日吉丸晃/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】  アレがアレしてアレだからアレであってアレはアレからアレとアレでアレアレアレアレ ……って、もうナニがナニやら。とりあえず前巻の続きで、拉致られた冬麻が女の子達に アレな事をされちゃって、「いやぁ〜ん、もうボクお婿に行けない……」な状態寸前にま で追い込まれる話。……うん、多分間違いじゃない。それにしても相変わらず弄られ役が 良く似合う男だな冬麻は。まあさすがにこれ程の貞操の危機に見舞われてしまうと、コノ ヤロウ羨ましいじゃねーかこんちくしょー! となる前に妙に可哀想に見えてしまう。  あとは各家系の複雑で微妙な関係と事情。この辺は未だに頭の中でとっ散らかっていて 整理がつけられないのだけど、もう気にしない事にした。目を向けるべき気になる点は他 にも色々あるから。読み進めて行けば自然と整理がついている事だろう、と思いたい。  既刊感想:       Novellette 2007/04/28(土)ぼくのご主人様!?3
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:鷹野祐希/イラスト:和泉つばす/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】  既に4巻目が刊行されているけれど、時間的には各巻の合間に入る中編エピソードのよ うなので、実質この巻がシリーズ締めという位置付けだろうか? 1巻のみでも充分纏ま っていたと思うし、それだけでは不明瞭だった千広に関しても2巻目できちっと描かれて いたし、個人的にはそれ以上あまり望むものも無かったので丁度良い尺度なのかも。  で、今回のメインイベントは元の場所に戻った吉香の気持ちの再確認。入れ代わりで紛 れ込んでしまった雅音は、吉香や別世界の吉朗達と直接的に深い関わりは無い為、それ程 重要人物という感じではなくて。彼女は吉香の真琴への想いを素直な方向へ導く、もしく はそれを吉香に気付かせる役割を担っていたのかなと。エピローグ前で別世界へ続く道は 閉ざされたので、やっぱり長編作として続く可能性は低い模様。本当はもう一つ、春生メ インのエピソードが読みたかったんだけどねぇ。次巻の中編作はどんな内容なのかなぁ。  既刊感想: 2007/04/28(土)マルタ・サギーは探偵ですか?4 恋の季節
(刊行年月 H18.12)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:野梨原花南/イラスト:すみ兵/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】  この物語。最初に『カード戦争』という要素が前押しされていたせいか、“トレーディ ングカードバトルっぽい内容展開になるんだろう”という思い込みがあったのだけど、ど うもここ最近の何冊かに触れた手応えから、元々カードバトルな描写を重要視していたわ けではないような気がしてきた。だって、カード戦争から離れれば離れる程に面白くなっ てるんだもん。……もしかして最初からマルタの恋愛模様を描く事が狙いだったのか?  そんなマルタの恋愛感情。想いを寄せるマリアンナさん=ドクトル・バーチな為、バー チに相談するマルタの気持ちがことごとく筒抜けで、実はバーチの方も満更じゃないもん だから思わずニヤニヤさせられてしまったよ。いつか正体バレるのかな……どきどき…… なーんて想像してたら最後でとんでもない事に! は、早くこの続きを読ませてくれ〜。  既刊感想:       a collection of s. 2007/04/27(金)シャドウテイカー5 ドッグヘッド
(刊行年月 2005.06)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:三上延/イラスト:純珪一/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  シリーズ完結。んー……この最終巻を全体的に見た場合、纏め方がちと微妙で不満が残 ってしまったかな〜。まず、終幕間際の今頃になって蔵前司? アブサロム? ってのが 第一印象で。そういや2巻ラストでアブサロムが消滅したとか蔵前が死んだとか断定され てなくて、その辺りを思い返すと何処かで復讐の為に復活するという予兆だったのか?  とは言え、ここまで強大な力を有してしつこく粘っこく裕生と葉に絡み、ラスボス級の 扱いを受ける事になる予定があったのならば、もうちょい前の段階から復活を予感させる 描写があれば良かったかなと。或いはあと1、2冊ほど続きを上乗せして最後の戦いを描 いて欲しかったりとか。あと少し尺を長く取って欲しいと思ったのは、対アブサロム・ド ッグヘッド、対黒の彼方との連戦がやや駆け足気味と感じられたからかも知れない。  しかしながら、この結末には大満足! ああもう裕生と葉が……裕生と葉が……最後の 最後で“ぐっ”と来たよ。ラスト前で胸が詰まり、エピローグで胸一杯になりました。  既刊感想: 2007/04/27(金)リリアとトレイズII そして二人は旅行に行った<下>
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:時雨沢恵一/イラスト:黒星紅白/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  危機的状況であっても悲惨な現状であっても、どこか“すっとぼけた”雰囲気を醸し出 すのを忘れない。それが時雨沢恵一作品の主な特徴と捉えているのだけれど、実際にはそ んな事ないかも知れないし、当たっているのかも知れない。今回で言えば思いっきりピン チに陥ってるのに恐がる素振りの欠片も見せない子供達とかね。操縦席で必死に頑張って いてトレイズがその状況見てたら「このガキどもめ……」と嘆いたんではないだろか。  久々過ぎて前巻の内容殆ど記憶から抜け落ちていて、この物語はちょっと抵抗あるくら い読み進め難かった為、急遽Iを流し読みしてから読了。まあ今更述べるのもあれだけど、 『アリソン』という物語の影響力が強いね。続編なんだから当たりと言えば当たり前なん だけど、個人的には過去への寄り掛かりは程々にして新しい未来へ進む“リリアとトレイ ズの物語”に期待したいかなぁ(今回はまだそこまでの満足感は得られなかったから)。  既刊感想:  関連感想:アリソンII、III<上><下> 2007/04/27(金)七姫物語 第三章 姫影交差
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:高野和/イラスト:尾谷おさむ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  前巻までは空澄物語、今回からが七姫物語。そんなあとがきのお言葉に「なるほど〜」 と頷き納得する事頻り。七姫達の姿形が明確に描かれた事で、あくまで七宮カセン中心だ ったこれまでの舞台背景から、一気に東和全土へと広がりを見せてくれたという印象。  こうなると、さすがにカラカラ中心でほのぼの〜と穏やかに進める訳にはいかなくなっ てしまったけれど、その代わりにこれから七宮の空澄姫として世界に踏み込んでゆく決意 みたいなものが感じられたのは良かったかなと。それはあくまで静かで、控えめで、僅か ばかりの決意で、まだ他の姫達と同様に自分の意思で何かをしようと率先して動く事は出 来ないかも知れないけれど、それでもカラカラにとっては大きな一歩で大きな前進。  既刊感想:第一章第二章 2007/04/25(水)ガンズ・ハート5 硝煙の鎮魂歌
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:鷹見一幸/イラスト:青色古都/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  シリーズ完結。こ、これは! ……なんとも予想だにしない衝撃の決着。まあ起こり得 る予兆は幾度もあったのだけど、それが全てを終わらせてしまう所に直結するとは思わん よなぁ。勝者と言えるのは西域国でもなければ東域国でもなく、ましてや知の教団などで は断じてなく……この辺の詳細は一応伏せておくかな。何か勝敗に拘っているのがちっぽ けに見えてしまう程の劇的展開。色々なものが見事なまでに洗い流されてしまった。  しかし。こういう展開になったのを目の当たりにして、気が付けばふと胸を撫で下ろし ている自分が居たというのは、つまり私は心の何処かでこんな風な収束方法を望んでたっ て事なのかねぇ? ……うむ。血生臭いのは嫌なので、きっとそうなんだろうな。  戦いが終わった後でケリンがこの戦争を『大掛かりなケンカ』と表現してたけど、言い 得て妙だな〜と感心させられたりも。結局真の困ったちゃんは知の教団の一部の人物のみ だったと決め付けて纏め終わり。あとは新たな時代の幕開けに幸あれと願うばかり。  既刊感想: 2007/04/25(水)Missing13 神降ろしの物語・完結編
(刊行年月 2005.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:甲田学人/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  シリーズ完結。ん〜最終章はもうちょいじっくり腰を据えて展開してゆくと予想してた のだけど、意外にあっさりと纏まってしまった。それでも“一応”付きで曖昧ではない結 末にホッと一息。それぞれが辿り着くべき場所へしっかり着地出来たであろう……と思え たから、それなりに納得のゆくものだったのかなと。ただ、あえて“一応”と強調したの には理由があって、確かに曖昧にはならずに済んでたけど、全然スッキリ晴れ晴れとした 気持ちになれなかったんだよねぇこれがまた(最後までこんな気分にさせられるのもこの 作品らしいと言えるのかどうか)。最後までもやもや〜っとしたのが取れなかった。  結局詠子は何がやりたかったのか? 摩津方は何をどうしたかったのか? 影野は誰に とってどんな存在だったのか? 多分これらの意図を読み切れず理解し切れなかった私の 問題。それでも、本音はあと1、2冊程余分に乗せてじっくりやって欲しかったなと。  既刊感想:101112 2007/04/25(水)憂鬱アンドロイド
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:真嶋磨言/イラスト:珈琲/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  正機と茜。何も知らない他者からは恋人関係に見えて、事情を知ったこちら(読み手) 側からは主従関係に見える。どちらが実際に正しいかと言えば……どちらも正しく当ては まっている、という印象。茜は本来の主従関係を望んでいる様でいて、一方では半ば演じ ている正機との恋人同士な関係を無意識の内に心地良く感じているんじゃないだろか。  この辺は深く描くまでに至ってないので続きに期待……って続き出てないのかよ! 2、 3冊程出てると思い込んでたんだけど、単なる勘違いだったと分かってがっくし。それま で関係の薄かった第三者を交えて正機と茜の進むべき道を少しずつ少しずつ優しく穏やか に描いてゆく……そんな雰囲気が凄く好きな物語なのに、これっきりなのは残念だなぁ。 2007/04/22(日)僕らはどこにも開かない
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:御影瑛路/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  魔法使い、侵食者、無属性、電波的心走査者、殺人者。幾つかの歪んだ性質視点から、 大きなひとつの出来事を多角的に描いた物語。これ、帯にあった『問題作』って表現とは ちと趣は異なるのかな? 非常に不可思議な雰囲気が漂う物語。意識して掴もうとしても、 なかなか掴ませてもらえない“ぐにゃぐにゃ”した感覚……って表現すれば少しはこの歪 み切った空気を伝える事が出来るんだろうか。その辺が面白くもあり、微妙でもあり。  僕らがどこにも開けないのは、どんどん複雑な方へ思考が沈んで深みにハマってゆくか らで、そこからどうやって自分を外側へ開いてゆくか? そういうのが描かれた物語…… のような気がする。複雑に絡ませた末に辿り着いた答えは至ってシンプルなものだった。 2007/04/22(日)デュラララ!!×2
(刊行年月 2005.03)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:成田良悟/イラスト:ヤスダスズヒト/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  おおおおそう来たか! そのキャラのそういう真相は全く見抜けなかった! 前巻読ん だ時、次に誰が主役を張ってもおかしくないくらい“主役級キャラ”が揃いまくってる物 語だという印象を受けたので、「ああ今回は静雄が主役かー」とか思ってたら、とんでも ねぇ隠し玉が仕込まれてやがったよ。終盤で一気に畳み掛ける展開はホント凄いと思う。  元々表で描かれていた性格のイメージが存在していた為、このキャラが主役級にのし上 がって来るシーンってのが想像出来なかったんだよねぇ。だからこそか、意外性は抜群だ った。こうなると、“とある三人”の表向きのバランス、そして裏の事情を踏まえたバラ ンスの対比が非常に面白い事になってしまう。今後もこの三人が中心点となってゆくのか な? 個人的にはセルティの首絡みの方も読んでみたいんだけど……さて続きは如何に。  既刊感想: 2007/04/22(日)シャドウテイカー4 リグル・リグル
(刊行年月 2005.03)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:三上延/イラスト:純珪一/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  予想以上にみちるが躍進。なのに失恋で終わるの確定してるの何とも切ないな。負けじ と葉も裕生に対してかなり積極的に迫ってみたり。ただ、それが記憶を失い忘れたくない 一心からの行為ってのが何とも悲しいね。……うう、最初から分かっちゃいるけど、あま り明るい材料が望めないもんだから、どうしても沈みがちな雰囲気になってしまうよ。  次が最終巻だそうで、現時点では結末の着地点で誰がどんな状況になりそうなのかサッ パリ見当つかない。正直うまく纏める為の残り容量があと一冊で足りるのかどうか結構心 配だったりするのだけど……鍵は他のカゲヌシとの関わりが未だ不明瞭なレインメイカー の存在だろうか。ともあれ、どうかどうか裕生と葉には幸せな結末を。願いはそれだけ。  既刊感想: 2007/04/17(火)TAKE FIVE2
(刊行年月 2005.03)★★★★★★★★☆☆(8/10) [著者:在原竹広/イラスト:野中友/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  へなちょこ五人組が再び行く! しかしこのゆるゆるで弛み切って緊迫したシーンでも おおよそ緊張感の欠片もない雰囲気、あえて意図的に作り出しているとしか思えない。だ ってさ……お前ら! 自分の命が懸かってるんだろうが! せめてもうちょっと緊張感持 って行動しやがれよゴルァ! ……はぁはぁはぁ……って何で読んでるこっちが息切らせ ながら突っ込まにゃいかんのだー! とか何とか、色んな場面でそんな具合だったよ。  ただ、ユルい空気とは割と無縁を貫いていたのが傑と響。この物語の作風からすれば、 なかなかに異質である者にとっては酷く残酷な結末。それ故に非常に際立っていて強く印 象に残るものだったかなと(正直真相が語られるまでその発想はまるで頭に無かった)。  ラストにもうちょい余韻が残れば尚良かったんだけど(主に傑の感情込みで)、その辺 は些細な問題。ん〜、しかしこれ以降続きが出ないって事はまず間違いなく打ち止めなん だろうなぁ。このキャラクター達のユルさは非常に良い持ち味だと思うだけに残念だ。  既刊感想: 2007/04/17(火)i.d.III 滅びの王国
(刊行年月 2005.02)★★★★★★★☆☆☆(7/10) [著者:三雲岳斗/イラスト:宮村和生/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  どうやらこれで“第1部完”の模様。最初から通して読めなかったせいか、「あー、そ ういうこと」的な感覚はちと味わえなかったかな(あとがき参照の事)。どうもこのシリ ーズは前々から含みのある描き方してる部分が多くてねぇ、どんな方向へ進もうとしてる のかずっと掴みかねていたのだけど、ここまで来てようやく情報が大体出揃った感じ。  もっとも、出揃った所で先へ進めなきゃどうしようもない……ってのが現状か〜。キャ ラクターの相関関係、主要登場学校同士の関わり、個々の行動と目的など、より明確にな った箇所もあれば、“F”に関係したものの中にはまだまだ不明瞭な箇所もあり、これか ら物語を盛り上げつつ開示して欲しい謎も幾つも残されているだけに、違うタイトルにな ってでも続編を強く望む。那依もようやく砌に告白した事だし、折角の学園モノなんだか ら不器用な恋愛模様なんかも色々見せて欲しいんだけど、今の所は望み薄だろうか……。  既刊感想:II 2007/04/17(火)ソウル・アンダーテイカー
(刊行年月 2005.02)★★★★★★★★★☆(9/10) [著者:中村恵里加/イラスト:洒乃渉/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】  作中にこれだけ『馬鹿』という言葉が溢れ返っている物語って、他ではあまり見られな いんじゃないだろか? ……ってくらい『馬鹿』で埋め尽くされてた。馬鹿な人達――例 えば常軌を逸する程の変人とかで溢れてるんならまだ救いがある(あ〜こういう表現は正 確ではないかも知れない)気がするんだけど、全ての『馬鹿』が一人の少女に向けて放た れているってのが何か……とっても痛い。何だろね? この身体が軋み心を丸々抉り取ら れる様な感覚は。多分比呂緒とはとてもじゃないけど同調出来ないと感じたので、感情移 入のし過ぎでこうなってるんじゃないと思うんだけど……同情心、なんだろうかねぇ。  でも。本当は比呂緒に対して、私は多分同情心なんかよりもずっと大きな“羨望”とい う感情を抱いていると思う。他の誰にも決して真似する事が出来ない“比呂緒だけに与え られた才能”を彼女は有している。そんな所に強く強く憧れる。表向きではあからさまに 比呂緒を蔑み見下している者ほど、心の何処かで無意識の内に彼女に対して強い羨望の念 を抱き持て余しているんではないかなと(まあ私はそんなんじゃない! と思いたいけど、 他人から見られたら実際にはどうだかね)。しかし続き出そうもないのは寂しいなぁ。  


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