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04/30 『カレンダーがーるず AGAIN!』 著者:朝倉衛/ファミ通文庫
04/28 『カレンダーがーるず OVER!』 著者:朝倉衛/ファミ通文庫
04/28 『黒闇天女にご用心 ビンボー神は女子高生!?』 著者:伊東京一/ファミ通文庫
04/27 『赤×ピンク』 著者:桜庭一樹/ファミ通文庫
04/26 『ナイトウィザード リプレイ 紅き月の巫女』 著者:菊池たけし/F.E.A.R./ファミ通文庫
04/23 『Bad! Daddy3 パパのキッスは苺味』 著者:野村美月/ファミ通文庫
04/22 『Bad! Daddy2 五月祭にパパは踊る』 著者:野村美月/ファミ通文庫
2004/04/30(金)カレンダーがーるず AGAIN!
(刊行年月 2003.12)★★★☆
[著者:朝倉衛/イラスト:明日美周/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
初っ端からかなり大風呂敷が広げられていたストーリー展開、今回は七曜艦隊の初登場
『土曜艦』とその艦に関係する新キャラ投入により、少しずつだけど横に広がるだけ広が
った物語に奥深さが出始めてきた。とは言っても、まだ手応えが序盤戦っぽくて方向性が
定まり切れてないような印象。おそらく木曜艦の主人公・勇太と水曜艦の好敵手・玖珂と
の根深い確執を中心に、ぐるぐる周って行くんじゃないだろうかと。そうなると、今度は
土曜艦とリュネット&テルが今後どういう扱いになるのかっても興味深い所。
と、何となく読んでいると先の事ばっかり気になってしまう。地球侵略の為に再来する
と囁かれている『創造者』が、現在ではいつ襲撃を仕掛けてくるのか全く分からず、対抗
すべき七曜艦隊も半ば待ちぼうけ状態。ストーリーの盛り上がりに期待を寄せる身として
は、早く『創造者』なる存在が登場して七曜艦隊とぶつかって欲しい気持ちも大きい。そ
れが今の段階では遠い先にあるように感じられて仕方ないから、七曜艦隊同士の軋轢より
もずっと未来に起こり得る戦いの方を優先的に想像してしまうのかも知れない。
それでもまずは目先の事。今回はリュネットとテルのカップルが主賓みたいな扱いでし
たが、中盤であまり印象深いシーンが用意されてなかったような気がしたので、この2人
の関係を描く辺りにもうちょっと焦点を当ててくれてたらなと。序盤の出逢いと終盤の対
峙はなかなか良かっただけに惜しい。結局要所は勇太と日女、もしくは勇太と玖珂が占め
ているような展開なのは、ここが全体的なストーリーの主軸になっているからか。
この調子だと次巻以降も『創造者』は存在のみ示して脇に置かれたまま、勇太と玖珂の
激突になりそうな予感。それなら、何度も何度もぶつかり合いその結果として導き出され
る答えをしっかり物語の中に盛り込んで欲しい。そうしないと平行線のままパターン化し
た展開にもなりかねないので。ただ、ドンパチやってるばかりじゃなく、たまには息抜き
に勇太と日女の高校生活エピソードでも入れてくれたらそれはそれで面白くなりそう。
既刊感想:カレンダーがーるず OVER!
2004/04/28(水)カレンダーがーるず OVER!
(刊行年月 2003.01)★★★☆
[著者:朝倉衛/イラスト:明日美周/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
第四回エンターブレインえんため大賞『佳作』受賞者の受賞後第1作。佳作受賞作は色
々あって未だ刊行されていないとの事らしく、この物語が初刊行作品となるそうで。
一目見たその日から少女は一途に健気に彼への恋心を育み、1年後の今日この日遂に彼
への想いを打ち明け、勝者の証であるキスを彼と交し想いを成就させたのでした……で終
わりじゃなくて。エピローグのようであって実はプロローグ。この恋愛成就が全てのスタ
ートラインの物語。どうやらこれから、いきなり初っ端で結ばれてしまった勇太と日女の
激甘な日常を綴ったラブストーリーが展開されてゆくみたいですよ? とは冒頭だけ読ん
だ時の印象。実際にはかなり見当違いな想像でしたが、しかしこんなに突然目まぐるしく
状況が変化してしまうってのもちょっと想像が及ばなかった。一応あらすじとかで多少は
理解把握出来てた筈なんだけど、蓋を開けた中身は更に上方を飛び回っていた。
かつて人類を支配していた『創造者』なる存在と、それに対し七曜艦隊(カレンダーフ
リート)計画を用いて反旗を翻し『創造者』を退けた人類。その七曜艦隊はいつ再び襲来
するか知れない『創造者』を長きに渡って今もなお現在進行形で待ち続ける切り札。
で、これは何とも先の見えない気の長い話だなと。正直新人作家さんがこれだけスケー
ルの大きな設定を組んでしまって大丈夫かな? という不安感を抱いた。けれども先の展
開に興味を引かせる面白さも確かにある。まだ七曜艦隊の内二艦しか登場していないし、
『創造者』がいつ再襲来するかも予測が利かないし、玖珂との対立もまだまだ前哨戦と言
った具合だけど、今後の盛り上がりに期待を寄せられそうな要素も結構見られました。
少し駆け足気味で唐突に感じた勇太と日女が関係を深めてゆく過程は、もうちょっと丁
寧に描いて欲しかったかも。2人の絆の強さがそのまま敵を退ける強さへ直結しているの
だから余計にね。日女が勇太を想い続けた一年間の学園生活の一端でも、過去回想とかで
描いてくれたら良かったのになと。この辺の掘り下げは続編に期待を込めておこう。
2004/04/28(水)黒闇天女にご用心 ビンボー神は女子高生!?
(刊行年月 2003.01)★★★☆
[著者:伊東京一/イラスト:宮下未紀/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
自称“超絶美少女でナイスバディ〜”な女子高生に扮するは、間抜けな悪戯で高天原か
ら追放され地上に堕とされた貧乏神・黒神宮美。自称でなく多分外から見ても美少女&ナ
イスバディ(イラストで見る限りは)ながら、貧乏神らしく超が付く程の極貧でどーにか
こーにかギリギリのラインで日常生活を送り続けるそのギャップが滑稽で可笑しい。
ターゲットがあからさまに分かり易過ぎる美少女系のキャラクター設定には、これまで
の自身の作風を投げ捨てるかのように、なかなか思い切った事やってくれたな〜と妙に感
心させられてしまいました。新境地に挑戦という意味でも。まあ余所にある既存のキャラ
と被りまくりなので新鮮さの欠片もないし、ストーリー展開にしても読んでいてどこか在
り来りな印象が付き纏っていたわけですけど。ただ、そういうのを取っ払ってから眺めて
みた感じでは、ハートフルコメディとして楽しめた部分は結構あったんじゃないかなと。
宮美の外面を武器に計算高く頭を働かせれば、おそらくその容姿だけで楽々と世の中渡
って行けそうなものを、意外と世渡り下手な不器用さを曝け出している。彼女のキャラク
ター性に惹かれるのは、その外の可愛さと中のしょんぼりな苦労の落差。どうしようもな
く貧乏根性が全身に染み付いた言動には好感が持てていいなと思える所が多い。
世の為人の為にあくせく働いて『徳点』を稼ぎ、いつの日にか再び高天原に帰る事。こ
れが今の所まだまだ遠い宮美の目標。今回のオチは「多分こうなるだろうな〜」というま
さに予想通りの結末でしたが、目的が明確なので続編は割とスムーズに出せそう……な予
感があったんだけど、この続きは1年以上刊行されてないんですよね。前作『クロスオー
バー』も明らかに続き物なのに単発で途切れたまんまだし。望み薄なのかなぁ……。
2004/04/27(火)赤×ピンク
(刊行年月 2003.01)★★★☆
[著者:桜庭一樹/イラスト:高橋しん/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
タイトルの意味は最初よく分からなかった。あとがきによると“女の子×女の子”だそ
うで。読んだ後に言われてみれば納得の内容かな? ごく一部でわりと特殊な性癖も描か
れてはいるけれど、基本は女の子同士の戯れ。そんなに深い関係までは突っ込んでない。
まあ男同士でそういう傾向をやられるよりは全然普通に読めましたが、それでもこれは
“少女達の心理”に特化した物語でもあるので、年齢と精神がどこかアンバランスで危う
さを醸し出す女同士が絡み合い、そこから特有の匂いが濃く香り立つ。百合とかレズにご
く近い位置には確かにあるけれど、ただそこまで決定的な関係で描かれているわけじゃな
くて、大部分はやはり女同士の戯れとかスキンシップとかの趣の方が強い。
本編は3章立てで1章に1人の主役が存在し、計3人の女性キャラの一人称で、それぞ
れ内面の感情を赤裸々に吐露しながら進行してゆく物語。これは読んでいてかなり奇妙な
感覚でした。とにかく中身は主要キャラ3人――まゆ、ミーコ、皐月の多岐に渡る感情描
写だらけ。極端に言えばそれだけで成立している物語でストーリーなどは付属品の如く。
まるで他の全ての要素がこの3人の激しい感情の流れを引き立てる役割に徹しているよ
うな、そういう感覚だった。女性作家視点で描いた女の心理みたいなのが全面に大きく響
いていたような気がする。“奇妙な”ってのは、つまり男視点で彼女達を眺めていたから。
ここまで曝け出されていても、どうしてそういう感情になるのか解からなくもあり、そ
の解からなさ加減が逆になかなかお目に掛かれない新鮮味でもあったり。これを同姓視点
で読んだ場合、もしかしたらかなり違った印象が浮かび上がってくるかも知れない。
2004/04/26(月)ナイトウィザード リプレイ 紅き月の巫女
(刊行年月 2003.11)★★★★
[著者:菊池たけし/F.E.A.R./イラスト:石田ヒロユキ・みかきみかこ・日下部敏行
/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
過去にE−LOGINで行われた読者参加企画『六柱の巫女』と連動して、2002年
4月号から全15回に渡って連載された誌上リプレイの完全収録版、だそうな。実は本書
を読むまで『ナイトウィザード』というTRPGの存在自体全く知らなくて、じゃあ何で
買って読んでんだよ? とか自問してしまう有様で。まず間違いなく500頁以上の厚さ
に引かれたのがあって、あとはE−LOGIN誌上で連載されてたという部分。私、創刊
号から4年くらいずっと定期購読してたんですけど、確かその間では見掛けた事ない企画
だったので、どんなのだろうかと興味を持ったのが結局の所大きかったのかも。
TRPGリプレイだから主役は登場キャラクター達ではなくて、それぞれのキャラクタ
ーを演じるプレイヤー達の方。普段TRPGに触れる機会は全然なく、そのリプレイシナ
リオを読んだ事も片指で数えるほどしかありませんが、本作は特に“楽しくて笑えた”と
いう意味で凄く面白かった。いや、本来ならとても笑えるような雰囲気の物語じゃないん
ですけどね。これを普通にキャラクター主体の小説で描いたら相当シリアス寄りになるだ
ろうし。本当に愉快で楽しいのは、このTRPGのシナリオを実際にプレイされているプ
レイヤーの皆様方で、TRPGの臨場感を読み手に伝える見せ方は実に見事でした。
ナイトウィザードに触れた事があって尚且つTRPGを実際にプレイした経験があるな
らば、両方とも不足していて少々残念な気持ちの私よりも更に数倍は確実に楽しめる筈。
2004/04/23(金)Bad! Daddy3 パパのキッスは苺味
(刊行年月 2004.03)★★★☆
[著者:野村美月/イラスト:煉瓦/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
次で完結って事らしいですが、これで本当に納得のゆく結末を描いてみせてくれるのな
ら私は拍手喝采を送りたい。正直この3巻まで読んだ感じでは「そりゃ多分無理だ」とい
う印象がもの凄く強いんですよね。何故かと言えば、1巻目から張り巡らせている思わせ
振りな伏線が殆ど何一つ紐解かれていないから。読んでいてもずっと何が何だか理解出来
ないままの部分が多いので、もどかしい気持ちが募りに募って欲求不満に陥る一方。
今回ならば美夢そっくりな愛理亜の存在が、本来この物語の持ち味である軽いノリのコ
メディ色を薄めてしまっている。シリアスに方向転換するならそれはそれで構わないのだ
けれど、愛理亜の正体も分からなければ彼女が美夢達に対して何を仕掛けているのかもイ
マイチ分かり難くて、結果的に終盤のシリアス展開はあんまり楽しめなかった。せめても
う少しカノンと愛理亜の素性をハッキリさせてくれれば、また違う手応えだったかも。
しかし謎のままで残されている要素が想像以上に多くて参った。優介が小夜奈を失った
真実、それに大きく関連していそうな優介が悪の秘密結社流流舞への道を選んだ理由、時
が止まる学園の森、小夜奈と瓜二つの天音、“歌姫”と“鍵を持つ乙女達の伝説”、柚に
スイートパティシエールの正体が見える理由、やけに意味ありげな三色三匹のチンチラ達、
何か秘密を抱えていそうな気がするのに今の所まるで見せ場を与えられていない詩帆と聖
……などなど。なんか挙げれば挙げる程次で纏めるのが無謀に思えてしまう。中途半端に
締めるくらいなら、だらだら〜っとでも長く父娘ラブコメを描いて欲しかったかなぁ。
とは言え笑える所ではそれなりに楽しませてもらえたので、辛うじて急激に落ちるまで
には至らず持ち堪えた。毎度のように果てしなくあさっての方向へ突っ走り続ける、美夢
への愛情表現にはやっぱり面白さがある。その為だけに演説まで画策するのかパパよ……
という具合で。あとは噂の場所でキスをゲットした幸福な人達とか美夢のファーストキス
の顛末とか。これで謎含みな展開が濃くなければ、もっと楽しめたような気がする。
既刊感想:1、2
2004/04/22(木)Bad! Daddy2 五月祭にパパは踊る
(刊行年月 2003.11)★★★☆
[著者:野村美月/イラスト:煉瓦/エンターブレイン ファミ通文庫]→【bk1】
訳ありな事情で一応敵味方になっている美夢と優介の父娘。ただ、徐々に正義の味方ス
イートパティシエール対悪の組織流流部による戦いが主軸ではなくなりつつある。完全に
対立関係が崩れてはいないけれど、そこにスイートパティシエールとしての美夢と流流部
の司令官としての優介の戦いは存在していない(そんなの最初から無かったような気もす
るけど)。前巻同様「自軍のキャラにパパパーーンチを繰り出しちゃダメだろ〜」と優介
の行為に唖然となってしまいました。いや、確かに娘である美夢を想っての行為としては
至極真っ当なものなんだけどね。それでも優介には娘が敵とは知らずに戦ってしまう展開
を望んでいたので、そうならなかったのはちょっとだけ残念。美夢に対しても、パパが敵
だと知っていても何とか更生させたいから正義の味方をやっていて、でも本当はパパと争
いたくなんかないという部分をもう少し強調して描いてくれたら良かったのになと。
美夢の機嫌を損ねた優介が、本人だけはその理由もさっぱり分からないまま娘の愛情を
取り戻そうと四苦八苦する部分がメイン……ってこれじゃ優介パパが主役みたいだ。まあ
今回も迷惑の根源は優介のパパパンチ一振りでぶち倒し、そのお陰で学園内では人気沸騰
となったりと1人勝ちしているので、あながち主役ってのも間違いではないのかも。
いつも通りな父娘のスキンシップ以外では、新登場の柚くんと美夢の微笑ましい雰囲気
とか女王候補対決後の美夢とうららの姿などがいいな〜という感じで。最も面白かったの
はミュゼットと雛乃先生の火花散る恋の戦い。優介に全く近づけなかったり実はお互い似
た者同士だったり、2人のその空回りっぷりの数々には楽しませてもらいました。
既刊感想:1
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