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07/31 『とある魔術の禁書目録6』 著者:鎌池和馬/電撃文庫
07/29 『ゆらゆらと揺れる海の彼方5』 著者:近藤信義/電撃文庫
07/24 『シリアスレイジ2 荒廃都市』 著者:白川敏行/電撃文庫
07/21 『想刻のペンデュラム』 著者:鳥生浩司/電撃文庫
2005/07/31(日)とある魔術の禁書目録6
(刊行年月 2005.07)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:鎌池和馬/イラスト:灰村キヨタカ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
改めて振り返って「何か凄いな」と感じたのが作中の時間経過。前巻と合わせて2巻
分消費してもたったの2日しか進まないとは……。如何に当麻が退屈と無縁の、非常識
という名の日常をギリギリの線で生きているかしみじみと実感させられた。日単位でこ
んな騒動(のとばっちり)喰ってたら大変だよなあ。まあ当麻があえて熱気全開で首を
突っ込みたくなる状況ばかりなもんだからしょうがないか。それとは別件で、全く狙っ
ていないとは言え毎度フラグ立ても楽じゃないな当麻。その調子で今後も頑張れ。
それから今回は何やら小難しい裏舞台を見せてくれたり。これまでちらちらとはあっ
たような気もするけれど、明確な描写は初めてかな? それでも土御門の問い詰めをは
ぐらかすばかりで、肝心の思惑はちっとも覗かせてくれませんでしたが。この見えざる
思惑が伏線となって、超能力対魔術みたいな構図が出来上がってゆくのかどうか。何と
なく複雑に糸を張り過ぎると脆く崩れそうな予感もあるので、どんな状況下であれあく
まで当麻の単純明快で熱い突っ走りを中心に置きつつぐいぐい押し進めて欲しい。
で、姫神は放置プレイですか? 口絵ででさえ紹介してもらえないのがちょっと悲し
いよわたしゃ。でもこれ、次にメインヒロインを背負う予兆……ではないよなぁ多分。
既刊感想:1、2、3、4、5
2005/07/29(金)ゆらゆらと揺れる海の彼方5
(刊行年月 2005.07)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:近藤信義/イラスト:えびね/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
とうとう戦局が大きく広がってしまった。これまではローデウェイクとアールガウ、
バストーニュ内乱、と比較的把握しやすい構図で描かれていたのが今回一気に複雑拡大
したので、追い掛けて行くのが大変そうだなと。読み手側じゃなくて書き手側の方が。
そしてバストーニュを巡る戦いはまだまだ続く。冥海での会戦となると、いつも悪く
はないんだけどもう一つ乗り切れない“物足りなさ”が後味に残るのですが、今回もう
ん、まあ、その……何故ストーリーの波に乗れないのか自分でも良く分からない。地上
戦とは異なる奥行がきちんと戦いの中で描けてるので、冥海という特殊フィールドの設
定はしっかり活きていると思うのだけど。人が多過ぎて混乱したのが主な原因か?
どこから眺めても見間違えようがない程アールガウの強さが圧倒的。ただ、どうもロ
ーデウェイクに対してだけは敗戦を喫している苦手意識のようなものがあるらしく、今
回のエルメロー戦でそれが如実に表れていたと思う。まあ今のローデウェイクは一度で
も負けたら再度立ち上がれそうにないので、そうそう敗れる事はないだろうけど。負け
ない事実は崖っぷちの満身創痍でも倒れずに持ち堪えている姿が証明している。
しかしこれは今後どうなってゆくのかちょっと先読みがし難い引き方だな〜。ラシー
ドがローデウェイクに帰還するとして、ロベールやクローデットを伴ってすんなり事が
運ぶ訳はないし。エルメローを落とされたアールガウが黙っている訳もないし。更にバ
ストーニュ内乱も収まるどころか一層こじれているし。注目すべき点は結構多い。
既刊感想:1、2、3、4
2005/07/24(日)シリアスレイジ2 荒廃都市
(刊行年月 2005.07)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:白川敏行/イラスト:やすゆき/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
好敵手登場。こういうのをツンデレキャラと言うのではないだろか? 男に適用する
事が許されるのならば、だけど。だって過去の女性関係が原因でトラウマでも抱えてい
るみたいに栞を“痴女”と蔑んでいるかと思えば、最初ツンツン敵視していた篤志とは
共闘を経て友情を育み急接近、終いには名前で呼び合いメール交換するまでの親密な仲
になってるんだもん。この中で一体誰と誰のカップルが最も恋人同士らしいのやら、と
行ってはならない方向へ想像が膨らみ掛けてる。申し訳程度に出てる幼馴染みは最早眼
中無しですか? まあ妖しい関係に見えるこの目が腐ってるだけかも知れないけど。
ああ、勿論蓮堂貞教の事ですよ。最初は孤高なキャラに見えていたのに、栞への蔑み
からどんどんそのイメージが崩れて行ってしまった。ただ、そういう崩れ方は孤独を抱
えた貞教がずっと得たいと望んでいたもののようにも思える。現状では篤志と栞の間に
出番少量の美雪が入るより、貞教を絡めた方が余程面白い展開になりそうな気がする。
メインのサバイバルアクションは、幾つか不満も出たり引っ込んだり。変異種採集者
(レイスハンター)候補生の篤志に仕向けられた試練、という見方で追っていけば出来
はまずまず。ガチガチの設定固めが少し和らいでいたかなぁ? ただ、敵側でも高い技
能を買われていた赤城が、呆気なく倒されてしまったのにはちと拍子抜けでしたが。
終盤で登場していた闇に蠢く者達。彼等をちらつかせてくれたお陰で続きが俄然楽し
みになって来た。著者の描き進めようと思っているものがしっかり見れればいいなと。
既刊感想:1
2005/07/21(木)想刻のペンデュラム
(刊行年月 2005.07)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:鳥生浩司/イラスト:石田あきら/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
最初に力一杯突き放しておいて、後程外すべき順番に鍵を外しながら、ようやく突き
放した読み手側を扉の向こうへ導いてゆく。そういう手順の物語なので、前半部分が非
常に読み解き難くなっているのも「仕方ないだろうか?」と納得させたい所だけれども、
序盤の躓きから滑って転んで痛い思いをしてしまうのはやっぱり辛いものなのです。
凄く気に入ったものとあまり気に入らなかったものが真っ二つに分かれて、激しくせ
めぎ合った結果『微妙』なラインで落ち着いたのがこの物語の印象。結局最後まで理解
し切れなかったのが、誓人や健太ら“ガド”の背後にちらついていたサリエルの存在と、
その思惑やら狙いやら。ただでさえキャラの立ち位置が読み難い前半のやり取りを、一
層複雑にしている原因はサリエルにあったんじゃないかと。誓人と健太への接触に理由
があり、そうするべき意味がこの物語にあったとしても、それを読み拾う事は出来なか
った。傍観者? 見届け役? そんな感じの役割だったと収めるしかないのかな。
周囲の人間に比べ、主人公である洸の意気込み――今行動を起こしているのは何の為
か、誰の為か――が結構曖昧に映っていたのもイマイチでしたが、相関関係の絡まり具
合はなかなかに良いものでした。そっちの要素では絢の描き方が一番好きだった。
かれんの事は、洸との血の繋がりという壁をなくする為にわざわざこんな回りくどい
事をしたのだろうか? と邪推したくもなるってもんですが、さすがに“それだけの為
に”とは浅慮が過ぎるか。結末は綺麗に収まっていたので、あまり続編は望まない。
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