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10/20 『半分の月がのぼる空5 long long walking under the half-moon』 著者:橋本紡/電撃文庫
10/19 『半分の月がのぼる空4 grabbing at the half-moon』 著者:橋本紡/電撃文庫
10/18 『ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭<下>』 著者:三枝零一/電撃文庫
10/16 『ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭<上>』 著者:三枝零一/電撃文庫
10/16 『灼眼のシャナX』 著者:高橋弥七郎/電撃文庫
10/14 『灼眼のシャナ0』 著者:高橋弥七郎/電撃文庫
10/13 『灼眼のシャナIX』 著者:高橋弥七郎/電撃文庫
10/13 『灼眼のシャナVIII』 著者:高橋弥七郎/電撃文庫
10/12 『でぃ・えっち・えぃ そのさん!』 著者:ゆうきりん/電撃文庫
10/12 『でぃ・えっち・えぃ そのに!』 著者:ゆうきりん/電撃文庫
10/11 『でぃ・えっち・えぃ』 著者:ゆうきりん/電撃文庫
2005/10/20(木)半分の月がのぼる空5 long long walking under the half-moon
(刊行年月 2005.09)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:橋本紡/イラスト:山本ケイジ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
山西はホント愛すべき大馬鹿野郎ですね。その発想が素敵過ぎる。これが決意を固め
る裕一の後押しとなった訳では全くとは言えないけど殆ど無いし、仕向けた山西本人は
今回不在で一体何がやりたかったんだオマエは。実は司とみゆきをどうにかしたかった
と言う裏の意図が……ある訳もないだろうし。ただ、裕一の手で無かった事にされた一
枚の書面、もしかしたら次のアフターデイズの伏線になっているのかも知れない。
この巻は裕一が里香と未来を歩んでゆく事の決意固めに費やされたもの。これまでと
比べると随分まったり感が含まれていたように思う。そうか、物語全体の大きな山場と
いうのは既に4巻目で描き終えていたんだなと。穏やかな時の流れの中で、ようやく里
香を支えて歩けるようになり、改めて裕一は自身の決意を示さなければならない時。
そんなに重苦しく沈むような雰囲気ではないですが、それでも里香の症状を思うと深
く沈み込みそうなものを、「そうならない」「そうはさせない」頑なな決意と意思。裕
一も、そして里香自身も、先行きの不安に押し潰されそうになってもこれだけ強く在れ
るのは、共に手を取り寄り添い支え合いながら生きて行く事を心より誓い合えたからだ
と思う。裕一はうじうじ悩むし、肝心の一歩を踏み込もうとすると臆するし、弱々のへ
なちょこ野郎に見えるし実際そうなんだけど、その弱い部分を全部曝け出して里香の母
親と真正面から向き合う姿は凄く格好良くて、また力強さを見せ付けられました。
『チボー家の人々』に記されたイニシャルの仕掛けは見事で、ラストシーンも望んで
た形で描いてくれたから文句無しの満足感。ここから後日談を綴ってゆくとなると、果
たして裕一と里香の未来を何処まで見せてくれるのか? ここが最も気になる所。
既刊感想:1、2、3、4
2005/10/19(水)半分の月がのぼる空4 grabbing at the half-moon
(刊行年月 2005.02)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:橋本紡/イラスト:山本ケイジ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
「最悪の結末」と夏目は言った。もし里香の死を意味しているのだとしたら、初っ端
からそれじゃ続けようが無いので速攻除外。そうであって欲しくないから除外したかっ
た、と言うべきかな。可能性が全くゼロではないけれど、里香が離脱してしまったらあ
とは裕一の負の感情撒き散らすだけになるし。そういう変化球は放らないだろうと。
死よりも最悪の結末なんてもんがあるのか? 少なくとも生きてさえいれば最悪にな
んかなり得ないんじゃないのか? なのに夏目は何故自分に向かって手術の結果を知ら
せた上で“最悪”なんて言うのだろうか? これは喜ぶべき事なんだろう? ……なん
て風に、勿論裕一は夏目に食って掛かれませんでした。里香に何もしてやれない表面上
は“他人”の彼が、実際手術を行った夏目の言葉に抗う事など出来なかったから。
ただ、里香の詳しい容体については終盤まで曖昧なままで、夏目も意図的に裕一から
遠ざけようとしていたから、「一体どう言う事なんだ!?」と裕一の代わりに色々問い
詰めたくはなりましたが。結局夏目の過去回想に触れたら全て納得させられてた。
「ほにゃほにゃ」……何か脱力する響き。でも小夜子を知ると彼女にピッタリ当ては
まる心地良い響きになる。そして夏目と小夜子の日々の結末を知ってどうしようもなく
泣きたくなる程に痛く切なく響いてしまう。夏目は裕一に自分の過去を映し、里香に大
切な人の姿を重ね、二人が自分と小夜子と同じ道を進もうとしている予感を覚えたから
こそ、裕一を自分と同じ方向に進めない様な態度で在り続けたのかも知れない。
一応次で何らかの形の結末が描かれるらしく。里香の症状を考えると裕一との結末は
どんなものになるのか……今回の裕一の夢みたいなのだけは本気で勘弁して欲しいです
が(あの不意打ちにはかなり焦った)、やっぱり二人にとって幸せな結末を望みたい。
既刊感想:1、2、3
2005/10/18(火)ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭<下>
(刊行年月 2005.09)★★★★★★★★★☆(9/10)
[著者:三枝零一/イラスト:純珪一/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
下巻のメインもサクラとイルの激突。魔法士同士の戦い、身が引き千切れるまでI−
ブレインを酷使した壮絶な死闘。根底には互いにどうしても譲れない想いがあり、一見
似ているようでいて決して交わる事のない信念が戦う己を極限までに昂ぶらせる。
サクラの少数を救う為に多数の犠牲を仕方なしと切り捨てるか、イルの多数の為に少
数の死の痛みを罪として自分の心に刻み込むか……両者に同じものは護るべき大切な誰
かの為の戦いである事、違うものは目を逸らさずありのままを受け入れる事の出来る覚
悟、でしょうか? 『仕方ない』と自分に言い聞かせている時点でサクラはイルに完敗
してた訳ですが、彼女が信念を見失い挫折した後に自分を見詰め直して立ち上がる姿、
そしてもう二度と揺らぐ事のない自信を持ってイルとの決着に臨む姿、もう格好良いと
しか言葉が出ない。そしてサクラがこれだけ際立つのも、同じものを抱いて真っ向から
ぶつかって来るイルの存在があればこそ。彼の過去回想からのキャラ描写の積み重ねは
本当に良かった。様々な意味で雌雄を決しなければならない両者の戦い、気が付けばま
だ終わって欲しくない、何時までも追い続けていたいと思う程に魅入られてました。
個人的にもう一つの大きな心配事だったディーとセラ。こちらも(特にディーは)辛
い傷を負ってばかりで、お互い納得のゆく答えに行き着いても計り知れない激痛を伴っ
たまま。でも、V巻のエピソードが始まった頃あんなに遠かった距離が、理解し触れ合
える程に縮まった。良かったと軽々しく言えない結末でも、それだけは嬉しかった。
……さて、七冊かけての誇張ではない壮大な序章がこれで終わり、いよいよ“それで
は「ウィザーズ・ブレイン」を始めましょう”宣言が放たれた。エピローグでのサクラ
の宣戦布告による結集シーンで感極まった。もう早く次が読みたい! と叫びたいくら
いの期待感。続きはいつまででも待ちますが、せめて一年以内に出て欲しいなぁ。
既刊感想:I、II、III、IV<上><下>、V<上>
2005/10/16(日)ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭<上>
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:三枝零一/イラスト:純珪一/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
新刊発表が出る度に「また待たされた!」と地団太を踏み、それでも毎度散々待たさ
れたのが帳消しになる面白さを期待し、そしてその期待に必ずと言っていい程に応えて
くれる。だからどれだけ待ち惚け喰ってもこのシリーズを追うのを止められない。とは
言っても巻数だけで見たらデビューから平均して年一冊以上のペースでは出しているか
ら、そう考えると寡作と言う程でもない? まだ序章段階という展開の遅さが原因か。
今回もIV巻と同じ上下巻構成で、出番待ちだったIIIのディーとセラと祐一、月夜と真
昼姉弟、そしてT巻での錬の対となる今回の主人公・サクラ、ディーと同じくウィザー
ズ・ブレイン・ファクトリーの実験体として生み出されたイル。シティ・メルボルン跡
地に導かれるように集う彼ら彼女らのそれぞれの交錯、紡がれる新たな序章の物語。
黒髪ツインテールツンデレ少女は、ことごとく主導権を奪われてしまうマイペース男
に弱かった……と。当然そこだけが重要ではなくて、それよりT巻の裏エピソードとも
言える内容なのが最注目事項だと思うのですが、サクラが真昼のからかいを意識し過ぎ
てあまりに頬を染めたり顔を真っ赤にしまくったりするもんだからねぇ。他にも見所沢
山あるのに、サクラが可愛くて可愛くてそこばっかり印象に残って困ったもんだ。
魔法士の戦闘は、初っ端のサクラとイルからいきなり最高潮。但し上巻は人と人との
出逢いや繋がりを描くのを重視していたので、戦いでの盛り上がりはまだまだこんなも
んじゃ終わらないでしょう。その辺は様々なものがぶつかり合うであろう下巻に期待。
他に気になる事。本当は相思相愛なのに近付くほどに傷付け合ってしまうディーとセ
ラ。過去に関係がありそうなサクラと真昼。潜伏中で出方を窺っている祐一と月夜。捕
虜扱いのディーに協力を迫るイル。渾然一体となっての怒涛の攻めを見せて欲しい。
既刊感想:I、II、III、IV<上><下>
2005/10/16(日)灼眼のシャナX
(刊行年月 2005.09)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:高橋弥七郎/イラスト:いとうのいぢ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
V巻以来の過去回想外伝。V巻の時はシャナがフレイムヘイズ“炎髪灼眼の討ち手”
となるまでのエピソードでしたが、今回はもっと遡った先代“炎髪灼眼の討ち手”であ
るマティルダ・サントメールの物語。流れとしてはX巻からV巻へ繋がるような形。
前にも考えた事で、「何故このタイミングで過去回想が挿入されたか?」なんてのは
今回も同様に。頭に浮かんだ予想としては、これから本編を結末へ導く前にマティルダ
とアラストールの絆を描いておきたかった……でしょうかね。まあ本編の方でまだ終わ
りそうな気配は見えていないし、予想が合ってるのか見当違いなのかも分からない。
前回が短編集だったので、続きを待ってる本編からまた遠ざかるな〜とか思いつつ、
しかしながらこの激戦、死闘一色の展開は結構久し振りの感触だった気がする。“フレ
イムヘイズ”と“紅世の徒”が互いに抱える信念の為に演じる死闘、それぞれの能力を
駆使してぶつかり合う激戦、真っ直ぐではなく極めて変化球的な癖のある戦闘描写……
など、これぞ灼眼のシャナの真骨頂! と思い出させてくれる熱い内容でした。そうい
や元々はシャナのキャラクター性と同等に戦闘描写にも惚れ込んだんだよなと。
“紅世の徒”側『とむらいの鐘』のメンバーが多量なのと、混迷を極める戦場とでち
ょっと状況を把握し難いごちゃごちゃした印象はありましたが、自ら望んでフレイムヘ
イズとしての戦いに身を投じたマティルダの生き様、その描き方が難点を補って余りあ
る良さでした。ヴィルヘルミナとの友情の絆、アラストールとの愛の絆、そして残され
た者達へ託した願いと希望。回想が終わった後のヴィルヘルミナとアラストールの対話
が心地良い余韻となって充分に満たされました。次巻からの本編再開が楽しみだ。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX
0
2005/10/14(金)灼眼のシャナ0
(刊行年月 2005.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:高橋弥七郎/イラスト:いとうのいぢ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
電撃文庫のオフィシャル海賊本に収録されてた短編二本分と、悠二が最初に巻き込ま
れる一つ前のシャナの任務を描いた書き下ろし分、あとは本編での出番が終わっている
フリアグネ&マリアンヌ主演の質問コーナーとか。海賊本の方はお遊び企画とかお祭り
企画みたいなもんなので、あんまり本編の展開を意識せずに軽い気持ちで楽しめればい
いんじゃないのかな? と言った具合。何かその後の書き下ろしとの空気の差が凄く開
いていたから、ちょっと気持ちを切り替えるのに梃子摺ってしまったけど。
海賊本の一本目はIV巻までの主要キャスト総出演の何でもありなエピソード。上記の
通りの趣旨によって描かれたものだから、あちこち突っ込みたいのを堪えてあえて何も
言うまい。まあ本編の現行ではこんな賑やかな騒動はあまりお目に掛かれないので、そ
ういう意味では貴重なのかも知れない。二本目も同じく賑やかで喧しい主要キャスト総
出演のシャナ版シンデレラ。シャナと吉田さんが悠二を取り合う話ですよと簡潔に。
で、最も興味を引かれたのがやっぱり書き下ろしの「オーバーチュア」。もしかして
ここでの学校体験があったから、悠二の所でも割りとすんなり溶け込めたのか? なん
て現在の部分と色々照らし合わせながら考えられるのも過去エピソードならでは。
今とは違う、悠二と初めて出逢った頃の、まだ「シャナ」とは呼ばれていない、フレ
イムヘイズとしての任務遂行を最優先に掲げていた少女。だけど決して無情ではない、
たとえ形だけであろうと『さよなら』を言える少女の姿が痛く切なく映りました。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX
2005/10/13(木)灼眼のシャナIX
(刊行年月 2005.02)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:高橋弥七郎/イラスト:いとうのいぢ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
既に想いを告げた吉田さんと、遅れてようやく想いに気付いて態度で示そうとしたシ
ャナとの悠二争奪の行方も定まらないまま、シャナをフレイムヘイズ“炎髪灼眼の討ち
手”として育て上げたうちの一人である同じフレイムヘイズのヴィルヘルミナ登場。
目的は“ミステス”悠二の破壊によって零時迷子を無作為転移させる事、ってのは前
巻ラストまでで語られていましたが、その理由までは不明。まあ読み終わってみればヴ
ィルヘルミナの中で様々なわだかまりを抱いていたのがよーく分かるのだけど、根底に
あるのは育てた娘が自分の望む形から脆弱に変わってしまうのが許せない感情か。
冷静、無表情、無感情を装っているヴィルヘルミナも、シャナが関係すると意外と感
情剥き出しになるようで(もっとも悠二を破壊しようとする理由は、零時迷子の前所有
者“永遠の恋人”ヨーハンとの関係も深く絡んでいるのだけれど)。傍からは母親(ヴ
ィルヘルミナ)の娘(シャナ)への依存が強過ぎるせいで起こったようにも見える。
結局はヴィルヘルミナの中の閉じた部分でだけで“事実を知られればシャナの信頼や
愛情を失ってしまう”と最初から決め付けて掛かったから、シャナも悠二も彼女自身も
傷付け追い詰める結果に。でも最悪の事態に陥る前に留まる事が出来てホッと一息。
あとは……まあ……このバカップルが! と嫉妬と羨望混じりで突っ込みたくなった
千草さんと貫太郎パパですかね。とりわけ千草さんの強さがもう圧倒的に際立っていて
素敵でした。何かあるとは勘付いているだろうけど、息子の状況までは知らない筈なの
に……。万一知ってしまった時が恐いですが、それでも強くあり続けて欲しいと思う。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII
2005/10/13(木)灼眼のシャナVIII
(刊行年月 2004.10)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:高橋弥七郎/イラスト:いとうのいぢ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
封絶を展開出来ずに現実世界で起こった大損害。教授とドミノの実験は終わり、彼等
が去って残された幾つかの後始末、それから次の一歩へ繋げる為の準備と、シャナや悠
二が知らない場所で暗躍する“紅世の徒”の集団『仮装舞踏会』の三柱臣の事など。
頁数が少なめなので繋ぎに必要な巻という印象。足並みを整えて新展開へ望むべくの
準備とか、明確な気持ちを示さなければならない悠二が曖昧にしているものとか。前巻
の死闘が熾烈を極めるものだったので、そうそう連続して戦いは起こらない。と言うわ
けで今回は敵対すべき相手との戦闘は無し。久し振りにクラスメートとの日常風景。
とは言っても、親友が非日常に関わっているのを知った上での日常だから、それぞれ
がそれぞれに向けている視線に宿す感情は以前より微妙に変化している。特に顕著なの
は前巻の結果通り誰が見ても吉田さん。“悠二が好き”という気持ちを持て余して表に
出せないでいるシャナでは太刀打ち出来る筈もなく、対等以上の立場から抜け駆けした
くない吉田さんの性格的な面で助けて貰っている状況。どちらが優位かも一目瞭然。
しかし悠二がトーチであり零時迷子を宿したミステスである事実は、壊せない壁とし
て一般人の吉田さんとの間に立ちはだかっている。これは変えられない現実で、どんな
に悠二を想っていようと決して添い遂げられないのではないか? 同じ場所に立てない
のなら、いずれ訪れる別離を待つしかないのだろうか? ラストで“彼女”が登場した
からまだ先延ばしになりそうな感じですが、ちょっと気に留めておきたい所かも。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII
2005/10/12(水)でぃ・えっち・えぃ そのさん!
(刊行年月 2005.09)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:ゆうきりん/イラスト:小宮裕太/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
光を堕落させ《罪》を犯す事に成功した悪魔っ娘達。しかし《罪》を解放した事によ
って愛が好きだという光の心底に眠っていた気持ちも表に出てしまい、それが愛を使徒
とした天使側に有利に働いたので結局は痛み分け。以上が前巻までの進行状況。
愛を即刻排除したいが光を刺激する恐れがあるので迂闊に手を下せない悪魔っ娘達、
そして長年付き合って光の性格熟知してると言うのに、相変わらずモジモジモタモタで
攻めに転じることが出来ない愛。こんなどっちも決め手に欠ける行動ばっかり取って停
滞してるんじゃいつまで経っても決着なんぞ付かんわ! とか溜まる鬱憤の捌け口が見
付けられずに困っていたのですが、悪魔っ娘側の大攻勢で一気に勝負が傾いて来た。
光が七つの《罪》を犯すまで一体どれだけ掛かるんだ? と前巻感想で先行き不安視
してたけれど、タラタラ一つ一つ《罪》を犯させるのではなく一斉解放作戦で問題事項
を回避。いつの間にやら既に三巻終了時点で五つの《罪》を犯してましたよ光君。そう
なればあと犯していない《罪》は二つだから残り二、三巻程度で完結しちゃいそう。
ただ、最後にはどうしてもルシファーが降臨するか否かでシリアスムードが戻るだろ
うから、軽いノリのコメディから転換して上手く乗り切れるかどうか。まあそうなるか
どうかはまだ分かりませんが、でも最後は愛に勝利を掴んで欲しいと思っている。
既刊感想:そのいち!、そのに!
2005/10/12(水)でぃ・えっち・えぃ そのに!
(刊行年月 2005.05)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:ゆうきりん/イラスト:小宮裕太/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
前巻と同じ部分で言葉にするのを躊躇している様子だが、本音は光と“契り”たいん
だろう? おうおうおう、その辺どうなんだよう!? ……と、いつまでもモジモジモ
ジモジ煮え切らずにいる愛を見ていて無性に問い詰めたくなるのです。まあこっちは愛
に無意識にでも好意を持っているらしい光の事を知っているから、とっとと事を進めて
手間取っている悪魔少女達に一泡吹かせてやれよ、と言えてしまうのだけど。でもやっ
ぱりあらすじとか冒頭の愛の独り言を眺めてると後ろから蹴っ飛ばしたくなるな。
そんな前巻同様の駆け出しで、悪魔少女達が自らの《罪》を光の中に植え付けて増大
させて解放すべく本格的に動き始める。七つ全ての《罪》を解放すれば、光の中に眠る
悪魔王ルシファーが蘇るシステム。何となくゲームチックな目的と流れは出来上がりつ
つあるけれど、一体何巻費やせば全部解放するまでに至るのだろう? という別の余計
な心配事が浮上。その前に途中で愛が“契って”はいお終いな可能性もありそう。
愛が躊躇いつつも光の為に抵抗を示し、気圧されそうでも強気な態度に出ているのは
良い傾向(お弁当イベントのシーンとか)。悪魔少女達は人数が多い所をなるべく平等
に均等に描こうとしている感触で、それが逆に個性を起こし切れていない引っ掛かりと
なっている気もする。ただ、今回の倉子《強欲》や久美《憤怒》みたいな主力キャラが
順次入れ替わって行くと思うので、巻が進めば各々の個性も際立って来るかな?
既刊感想:そのいち!
2005/10/11(火)でぃ・えっち・えぃ
(刊行年月 2005.01)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:ゆうきりん/イラスト:小宮裕太/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
聖人君子な性格の光君を、それぞれが背負った《罪》で堕落させようとする悪魔の美
少女七人。対するは天使の目に留まった光君を一途に恋する白鳥愛。背景に天使と悪魔
の抗争図みたいなのもありますが、分かり易く済ますならハーレムコメディですか?
全体的に見て、愛のラストの呟きでようやくプロローグ完了と言った具合(光の中に
眠っているモノに関しては、まあそんなとこだろうとは想像してましたが)。この物語
で扱いが大変なのは、やっぱり数で天使側の愛を圧倒する悪魔少女達だろうなぁ。
お約束で狙い通りの性格のキャラクターはきちっと揃えているようなので、読んだ人
それぞれ「誰か一人は好みな娘がいるんじゃない?」くらいに描き分けは問題なくこな
せていると思う。ハーレムはハーレムでも、そういう状況を描く事に意味があって理由
もある。「何故こいつがこんなにモテる?」な理不尽さを読み手に与えない訳ですな。
ただコメディ特有のテンポの良さ、キャラクターの掛け合いで引き出される軽快さが
足りなかったような印象もあったりで。表層で騒がしくやっていても、根底では“光を
堕落させるとハルマゲドンが起こり世界が破滅する”なんて結構重苦しいムードを背負
っているせいか、軽快にはなり切れなかったのかも。次はあんまり面倒な部分は出さな
いで、光を賭けての愛と悪魔少女達との争奪戦を面白可笑しくやってくれたらなと。
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