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10/30 『キノの旅IX −the Beautiful World−』 著者:時雨沢恵一/電撃文庫
10/30 『キノの旅VIII −the Beautiful World−』 著者:時雨沢恵一/電撃文庫
10/29 『オレ様はワルガキッド2』 著者:阿智太郎/電撃文庫
10/29 『オレ様はワルガキッド』 著者:阿智太郎/電撃文庫
10/27 『黎明の戦女神2』 著者:中里融司/電撃文庫
10/25 『黎明の戦女神』 著者:中里融司/電撃文庫
10/23 『ROOM NO.1301 #6 お姉さまはストイック!』 著者:新井輝/富士見ミステリー文庫
10/23 『かりん 増血記6』 著者:甲斐透/富士見ミステリー文庫
10/22 『バクト!V The Ghost』 著者:海冬レイジ/富士見ミステリー文庫
2005/10/30(日)キノの旅IX −the Beautiful World−
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:時雨沢恵一/イラスト:黒星紅白/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
旅人キノと、相棒でマイペースにボケながら実は狙ってやっているように見えなくも
ないモトラド(二輪車、空を飛ばないものを指す)エルメスの諸国放浪短編集。溜めて
た分纏めて読んだから最初気付かなかったけど、前巻から一年ぶりだったんですな。
この口絵も含めた多数の短編、色々な国と様々な話を交えた構成、キノとエルメスを
メインに置きながら師匠やシズ様へのフォローも忘れない……これらの要素が混ざり合
っている今回みたいなのが個人的には好きなタイプ。スタンダードキノって感じ?
今回はさすがにエピソードが多いので簡単に全部は拾い切れないけれど、好みだった
のは『作家の旅』『電波の国』『日記の国』『自然保護の国』『商人の国』『殺す国』
……結構多いな。強弱の程度の差はあれど、どれも絶妙にオチが効いていたのが好感触
の大きな理由。またまた比べてしまうけれど、前巻ではこういうの少なかったので。
特に良かった一編を選ぶとしたら『電波の国』。何かこれもまた前巻の印象からか、
主役のキノよりもシズ様贔屓が出てしまっている気がするのだけど気のせいという事に
しておく。ティーも引き続きの登場でシズ様をも翻弄させる行動力が微笑ましい。
そして毎度恒例のあとがき祭り。今回悔やまれるのは最初にあとがきの仕掛けを知っ
てしまった事。衝撃的だったのがまともなあとがきも書けるんだ、と思わされた事。次
は一体どんなネタを仕込んで来るんでしょうか? もう生半可なネタでは驚けない。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII
2005/10/30(日)キノの旅VIII −the Beautiful World−
(刊行年月 2004.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:時雨沢恵一/イラスト:黒星紅白/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
旅人キノと、相棒でマイペースにボケながら時にはやんわり突っ込みを入れるモトラ
ド(二輪車、空を飛ばないものを指す)エルメスの諸国放浪短編集。それぞれの巻の構
成によって、また一冊の中で描かれているエピソードによって、好き嫌いが結構明確に
出てしまうのが私にとってのこのシリーズの印象。今回はどちらかと言うとあまり好き
じゃない寄りだったかなぁ。小刻みな短編で軽快に読ませてくれるのが一つのウリだと
思っているのだけど、口絵とショートショートと中編とで尺度がバラバラだった為か、
妙に乗り切れない感が付き纏ってしまったり。この辺は構成面の好みの問題ですが。
あとは好みかどうかは別として印象的だったのは、キノとエルメスの出番がやけに少
ないと感じた事。多分錯覚とかではなくて、後半丸々シズ様エピソードな上に最初から
師匠エピソードも挟まれていて、更にキノメインのエピソードがもう一つだったから。
とは言え中編規模のエピソードでのシズ様の活躍ぶりと、彼とキノとの絡みはなかな
か楽しめた。“旅人”は誰からも縛られない自由な存在でありながら、一つの国の側か
ら見ればそれは“部外者”でしかなくて、その旅人が危険を伴い国の為と思い秩序を乱
そうとすれば……シズ様も損な役回りだなと眺めつつ、これが私の生きる道と信念持っ
た行為なのもよく分かる。キノとの束の間の再会と共闘は予想外ながらも嬉しかった。
最後に触れておかねばならないあとがき。巻を追う毎に進化し続けるあとがき、常に
予想の上を突き抜けてゆくあとがき、今回も期待を裏切らない最高のあとがきでした。
既刊感想:I、II、III、IV、V、VI、VII
2005/10/29(土)オレ様はワルガキッド2
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:阿智太郎/イラスト:ともぞ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
制御装置という弱味を握り潰さんばかりに握られ、えるなにいい様にコキ使われるワ
ルオことワルガキッド。普段散々ワルオを有効利用しまくっているえるなも、いざって
時は気遣いの心を見せるんじゃないかと思ってたら甘い甘い。あとがきでも触れている
“ヒロインとしてかなり問題”なのは確かに。性格的にも行動的にも容赦ないから。
でも最終回までにはもうちょっとワルオを大切に出来るキャラに近付けたい、という
言葉も添えられていたので、いずれは――例えば別れる時が訪れたとしたら(最後は多
分こうなるんじゃないかと予想してる)、ワルオが居た日常がえるなにとってかけがえ
のないものになっている……かも知れない。まだ2巻目だから気が早いようだけど。
新キャラも二十四世紀から続々登場して来るんだろうなぁと思いつつ、一体どれだけ
ゴクアック博士の実験トラブルによるタイムスリップ現象に巻き込まれたのやらと。こ
れまでクワガタ刑事にガネッコにメイドロボのメイア、とハッキリ言わなくてもまとも
でない方々ばっかりだから、今後もそっち方面での笑いの提供を素直に待ってた方が良
いのか。きっと当事者のゴクアック博士も飛ばされているだろうけど、何となく温存さ
せている気がするので到底シリアスにもなり得ないかなぁ。まあ何だかんだでえるなの
性格は嫌いじゃないし、ワルオとのコンビも笑えるし、今の所飽きも来てないし、キャ
ラが増えて楽しくなってゆくならば、このままのんびり引っ張ってくれるのもいい。
既刊感想:1
2005/10/29(土)オレ様はワルガキッド
(刊行年月 2005.06)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:阿智太郎/イラスト:ともぞ/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
二十四世紀の日本で悪逆非道の限りを尽くす人型ロボットワルガキッド。思わぬトラ
ブルによって二十一世紀にタイムスリップしてしまった挙句、腕時計型の制御装置を失
いレベル1の最弱状態。更に強気娘えるなに最初に発見されてしまったのが運の尽き。
SFとジャンル付けしているみたいですが、そう言える要素は二十四世紀という想像
も及ばない遠い未来、タイムスリップで過去に漂流、この二点だけかも。それだけ頭に
入れておけば、あとは毎度御馴染みでお得意の軽快なテンポで展開するコメディ一色。
まあタイムスリップって言えば、前の忍者シリーズでも似たようなネタやってた気も
するけれど、その時は“過去→現在”で今回は“未来→現在”だから受ける印象と雰囲
気は結構異なる。それにテンポの良さと読み易さが相まって「最初は悪くないんだよな
〜最初は」と呟き漏れるのは別のシリーズでも大抵一緒だった。要は似たパターンが延
々続いてマンネリってのがよくあるのですよ。で、今回もまたそういう匂いが……。
ただ、「単純明快なのはいい事だ」「読み進め易いのはいい事だ」と自分自身に納得
させて言い聞かせるのも割と楽な訳で。勝気なえるなが極々稀に見せる思い遣り、弄ら
れまくりの悪役ワルガキッドが偶に発揮する善意の精神。ちぐはぐでデコボコ、偶然が
重なり支配者と従属者になってしまった二人の奇妙な関係をしばらく追ってみたい。
2005/10/27(木)黎明の戦女神2
(刊行年月 2005.10)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:中里融司/イラスト:田阪新之助/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
おおっ! 下手するとまた『プロットディレクター』みたいに話進まないまま埋没す
るのかと心配してたけれど、梓を取り巻く戦況が一気に盛り上がりを見せてくれて面白
かった。全国統一はあまり視野に無くて、とりあえずは現在拠点のある神奈川近隣の勢
力拡大を目的と掲げていた梓率いる繚乱の軍団。しかし大崩壊前の姿を維持する《中央》
に招かれ認められた事が他領のリーダー達に知れ渡り、こちらが動かずとも他が虎視眈
々と隙を窺い戦いを仕掛けようと狙う情勢。戦局の拡大、近隣との共闘による奇襲作戦、
そして宿命付けられたもうひとりの戦女神との一騎打ちなど、見所も多く楽しめた。
まあ《混世魔》や妖星の謎、それに昌樹が《混世魔》に目覚めた理由などは今回も未
だに曖昧な点が多かったのだけど。どうも力ある人間に加担して、更に崩壊を拡大させ
る事を自らの楽しみとしているのが《混世魔》の基本理念のようで、しかしながら昌樹
が追い求める相模はそんな単純な思考ではない気がする。ようやく彼が登場した事から
考えた想像の域を出ないものですが、じゃあ何が目的かと言われてもサッパリ分からな
いから首捻るしかなくて。昌樹と再会を果たせば彼の意図も見えて来るかも知れない。
今回一番の衝撃は梓が一度見事に討ち取ったと思われた景の事。随分あっさり終わっ
たなぁと拍子抜けしてた所で、この不意打ちにはしてやられた。景がどうしてこうなっ
たかは相模の意図と同様に謎ですが、今後面白くなりそうな要素なのは確かだと思う。
既刊感想:1
2005/10/25(火)黎明の戦女神
(刊行年月 2005.02)★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
[著者:中里融司/イラスト:田阪新之助/メディアワークス 電撃文庫]→【bk1】
《混世魔》(カオス)と自ら名乗る異能者集団に滅ぼされた世界各国。日本も例外で
はなく、荒廃と混沌を極めた大地で繰り広げられるのは、かつての戦国時代のような群
雄割拠の陣取り合戦。過去と違うのは絶大な威力を誇る現代兵器を用いた攻撃手段。
舞台背景はこんな具合で。元々《混世魔》として生まれ変わり世界を滅ぼす側に加担
していた主人公・昌樹が、己の犯した過ちに気付き苦悩を重ね、贖罪の為に六年経った
今を戦い生き抜いてゆく展開。なんだけど、昌樹はあまり活躍してなかった気がする。
六年意識を失い続けて周囲の状況からは置いてけぼり、《混世魔》としての異能力は
周囲に晒す事が出来なくて戦いでも無力で役に立てず、初回からこれだけ昌樹に制約が
あるとなかなか前面に出したくても出し難いのかも知れない。まあそれでもキャラクタ
ー同士のコミュニケーション描写はもっと沢山あって欲しかったですが。何せ戦って戦
ってまた戦って……と武器兵器と武力攻防の描写は濃密ながら、逆にそこばかりが強調
され過ぎてるせいか、昌樹や梓の感情描写がちょっと弱く感じてしまい物足らず。
今の所は《混世魔》も裏で暗躍している方が多いようだし、何故昌樹が《混世魔》と
して目覚めたのかも分からず。それに世界崩壊の予兆として突如現れた新しい惑星の存
在も謎に包まれているので、これらが明確になる頃に手応えが得られるだろうか。
2005/10/23(日)ROOM NO.1301 #6 お姉さまはストイック!
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★★☆☆(8/10)
[著者:新井輝/イラスト:さっち/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
内容としては窪塚姉妹編の総まとめ、となるのかな? 佳奈の豹変で始まり、佳奈の
一撃で幕は下ろされた。来るか来ないか半信半疑で眺めていたけれど、シーナ&バケッ
ツが事実上行動不可能となった所で「ああ、ケリがついたんだな」と溜息が漏れた。
はぁ……と溜息一つで寂寥感に包まれてしまったのは、自分がシーナというキャラク
ターを思ってた以上に大きな存在と感じてた事の証なんだろうか? 異色中の異色キャ
ラで、頭ではシーナ=日奈と分かっているのにどうしてもイコールでは結べず、両方で
抱えている想いは同じ方向なのに、男視点(シーナ)と女視点(日奈)の混在で散々混
乱に巻き込み引っ掻き回してくれた。それがここで途切れてしまうとなると……特に寂
しいと感じるのは健一とシーナの触れ合いを心底楽しめていたからなのかなと。
窪塚姉妹については次巻以降も触れられるかも知れないし、もうこのまま離れてしま
うのかも知れない。こんな途切れ方したんじゃ気にならないってのが嘘になりますが、
シーナの部屋がまだ残っている意味を考えると、完全に切れた訳ではないらしい。
あとは遂にホタルの逆襲キター! ってとこですか。どうも今回のプロローグのホタ
ルと旦那のやり取りが妙に意味深で、しかしその意味をさっぱり計れなかったのだけど、
会話の内容を拾ってみると何か訳ありだよな〜と思う。好き合って結婚したのとはちょ
っと違うような……現在進行の健一とホタルと何処かで繋がったりするのかなぁ。
既刊感想:#1、#2、#3、#4、#5
しょーとすとーりーず・わん
2005/10/23(日)かりん 増血記6
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:甲斐透/原作・イラスト:影崎由那/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
もうすぐアニメも放映開始で絶好調の波に乗る「かりん」小説版。原作コミックの合
間のエピソードという位置付けで、小説版オリジナルキャラを登場させて描く内容も毎
度御馴染み。「もう小説も6巻目なのか〜」とこれまでの足跡を思い返していると、頭
に浮かぶのは相変わらず頑として“友達”と言い張る果林と健太の一向に進展しない関
係ばっかりだなと苦笑い。しかし健太の不幸の元が消えた今、増血してしまうのを理由
になかなか近付けなかった悩みも解決したし、一気に進展させるチャンスだぞ果林!
……とか勝手に意気込み盛り上がってはみたものの、もう今回はこれまでに輪を掛け
て「煮え切らねぇなおい!」と突っ込みたくなるくらいの見事な気持ちの擦れ違いっぷ
りで、更にこっちは事情を知ってるもんだから余計モヤモヤさせられてしまった。
ただ、どっちかと言うと果林にだけそういう煮え切らない態度が目立ってたんだけど、
それが健太にも嫉妬という形で見えていたのはちょっとした変化かも知れない。今まで
の健太って果林を意識しているのは明らかながら、自分の抱えている不幸の方が大きか
ったせいか、「果林が好きだ」の感情は抑え気味だった気がするんですよね。それが今
回は果林が健太を意識する以上に、健太が果林を意識していたので妙に嬉しかった。
あと珍しく謎と呼べそうな謎もあった。まあこちらが頭使う必要も無い軽度なもので
したが、隠し子騒動の謎を追う展開とその顛末は結構楽しめるものでした。身に覚えが
ないのに浮気の濡れ衣を着せられ、ママに散々に痛めつけられたパパご愁傷様。
既刊感想:1、2、3、4、5
2005/10/22(土)バクト!V The Ghost
(刊行年月 H17.10)★★★★★★★☆☆☆(7/10)
[著者:海冬レイジ/イラスト:vanilla/富士見書房 富士見ミステリー文庫]→【bk1】
謎に包まれていたヒロトの過去が今明かされる! という展開。何気に前巻から色々
引き摺ったりしてましたが、さすがに温存していただけあって過去回想エピソードはな
かなかのモノ。表向きは二代目バクトを名乗る凄腕の賭博師でありながら、賭博そのも
のを憎み続ける理由、公僕の犬になってまで憎むべき賭博と悪辣な賭博師を完膚無きま
でに叩き潰そうとする理由。今回描かれたものがヒロトの全てではないだろうけど、あ
まり無闇に曝け出そうとしないヒロトの本心が、少しは理解出来たような気もする。
それから毎度毎度のズッコケ素子先生が致命的にズッコケなかった。これは新鮮であ
り刺激的であり衝撃的であり、そして何となく寂しくもあり。いつもは肝心な場面でヒ
ロトの支えになっているものの他では足引っ張りまくりなのに、今回の活躍ぶりは一体
どうした事だろう? 精神的に崩れ落ちそうな美月を一生懸命励ましたり、自由を奪わ
れ傷だらけなヒロトの大きな助けになったり。成長著しいなと喜ぶべき所なのか〜と思
いつつ、でもズッコケぶりが影を潜めると物足りなく感じてしまうのは何故だろう。
本編とインターミッションが交互に描かれる構成はこれまでと全く一緒。ただ、イン
ターミッションの時系列を弄って複雑にしているので、これまでのパターンとは一味違
う。まあ複雑に捻り過ぎな気もしましたが、うまく纏まっていたので些細な事かな。
既刊感想:I、II、III、IV
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